風配図って知ってる?
最近SNSで「高気密高断熱」に対して・・・
・息苦しい
・何となく好きじゃない
・高気密にせずに昔のように風通しがよい
みたいなことが流れてくるんだけど・・・

ですよ。
まあそんな中で、色々と吠えたい衝動は押さえて、今日は「風配図」について書きたいと思います。
- 風配図とは?
ある地点での風の吹く方向や強さの頻度を円形のグラフで表した図のことです。
- 風配図の構成
方位:北・北東・東…などの風向(どの方向から風が吹いてくるか)
頻度:各風向から風が吹く割合(%)
風速: 風の強さを色分けや棒の長さで表示する場合もある
中央から放射状に伸びる線があり、長いほどその方向から風がよく吹くことを意味します。
下記は宇都宮の風配図

資料:気候データに基づき1981~2000年の風向・風速を集計した風配図
●平均風速(基準5 m/s):主要風向は 北北西~北西方向。
●頻度傾向:冬季(11~2月)は北~北西からの風が強く、夏季は北東~南東方面からも風がくる傾向があります。
【設計ポイント】
冬の寒風を避けるため、西側の窓や開口部は小さめに設計。 夏や春には北北東~南東方向の風を通す配置が通風対策に有効。
夏とかは通風によって冷房を使わないという選択肢は今の時代難しいが、南東に常に日影を作り出す樹木だったりバルコニー、屋根などがあれば、そこを通過した風は温度が低く、湿度が高くても風を受ける事で風の気持ちよさを感じる事ができる場合もある。
エアコンが壊れた場合などに、このような設計をしておくと有効だったりもする。
- 日光の風配図

資料:気候データに基づき1981~2000年の風向・風速を集計した風配図
●平均気温:年間を通して宇都宮より冷涼(年平均7.2 ℃、最低-13.5 ℃) 奥村(びお)ソーラー 。
●風向傾向:冬季は 西~西南西方向から風が中心。夏季は南西~西南西の風も見られます。
●注意点: 奥日光や山間部は地形による風向変動が大きく、局所的な設計対応が必要。 標高が高く冷涼なため、冬期は寒風遮断と断熱設計が重要
- 風配図の使いどころ
●建築設計:通風・自然換気・日射制御のために重要
●都市計画:風害対策やヒートアイランド現象の緩和
●気象・環境調査:大気汚染の拡散予測など
●空港・風力発電:滑走路の向きや風車の設置場所の検討
- 建築での具体例
家の設計時に風配図を見ることで、
●夏はどの方向から風が入りやすいか
●冬は冷たい風がどこから来るか
を把握し、窓の配置や庇(ひさし)の設計、植栽の位置などに活かせます。
- 設計・住環境への活用例
●冬の寒風対策:宇都宮北西/日光西~西南西風を防ぐため、生垣・塀・バッファ空間などで遮断。
●夏の通風設計:宇都宮では北東~南東、日光では南西~西南西風を取り入れる配置に。
●地形・環境に応じた調整:奥日光のように地形風が顕著な場所では、風配図と現地調査を組み合わせた設計が有効
- まとめ
【宇都宮】
●「冬の卓越風向」:北北西~北西
●「夏の傾向風向」:北東~南東
●「設計のポイント」:西側を閉じ、東~南東を開放し通風を促進
【日光】
●「冬の卓越風向」:西~西南西
●「夏の傾向風向」:南西~西南西
●「設計のポイント」:西~南西方向の遮断+標高差を活かした換気設計
まあ、こういった事は見えてきます。
もちろん、風配図がすべてとは言いませんし、その通りでない場合だってあるでしょう。
それでも、何かの根拠をもって設計をしなければなりません。
宇都宮と日光は特に卓越風が違います。
こういったことで、窓の配置だったり考えるポイントの一つになります。