長期優良住宅をデメリットとかコストアップと考えているのは間違い

先日、お客様から「長期優良住宅」についての質問をいくつかされたので、Q&Aに追加しました。

長期優良住宅は、Q&Aでも書きましたが・・・

「いいものを作って、きちんと手入れをして長く大切に使う」ストック活用型の社会への転換が目的です。

 

でもね、長期の認定を受ける為の省エネ基準は、外皮計算だけでよくて、エネルギーに関しては、一切関係ないというのが残念なポイント。

「いいものを作って」というが、別に大した事ない性能なのが、長期優良住宅なのです。

だって、次世代省エネ基準でOKなのですよ?

外気温が3.3℃の朝8時・・・
学校や会社に行く前のリビングですが、ラファエル設計が提供するQ1.0住宅は無暖房で20℃です。
しかし、次世代省エネ基準は同じく無暖房なら7.4℃です。

 

だから僕は、長期優良住宅を取得した家が、温熱の観点からすると、全くもって大した事ないと言っている理由の1つです。

ラファエル設計の考えの中に、断熱性能を上げるのがデメリットとか、長期優良住宅にするとコストアップになるからデメリットという概念は、一切存在しません。

それらのデメリットは、住まい手の事を全然考えていない家を考えた場合にしか、デメリットとして浮かんでこないからです。

正直、低燃費住宅とか、Q1.0住宅のデメリットを語る上で「コストアップ」なんて項目を上げる時点で、終わってます。

そんなモノはデメリットでもなんでもありません。

 

長期優良住宅なんてものは、正直、そういった制度を作らないと、レベルの高い家を造らないのが日本の家づくりだからです。

メンテナンス費用というのは、家の性能が悪いほど、高くなるし、メンテナンスする必要ヶ所も増えてきます。

 

住宅メーカーなどの広告チラシ含めて、皆が同じように、「住まい手の事を考えた家づくり」をアピールしてます。


まず、UA値が低くなるほど、高性能という事になっていく訳ですが、これが0.5くらいの数値なら「超高性能」みたいにうたっちゃうわけですよ。

UA値もQ値も

「熱がどれだけ損失するか?」

「室温をどれだけ保てるか?」

というイメージで考えると、分かりやすいと思います。

 

その上で、改めてお話しますね。

『UA0.5!家族の未来を考えた高性能住宅!』

って広告を見たら、「まじ?すごそうじゃん!」って思っちゃいますよね。

 

もし、このようなUA値による性能値で、高断熱をうたう会社の所に相談に行く場合、是非聞いてみて欲しい事があります。

『燃費ってどれくらいなの?』

 

これの答えとして・・・
こういった冷暖房費を提示してもらえるか・・・

 

↓のような計算書を見せてもらえれば、その会社は、しっかりと住まいの性能と燃費を考えてくれると思います。

 

メンテナンスが掛かるという事で、皆さんが真っ先に思い浮かぶとしたら、外壁ですかね?
↓有名なハウスメーカーが建てた、もうすぐ10年の家の外壁です。
黒ずんでいるのが藻だったりカビも存在するでしょう。

 

サーモカメラで見て見ると・・・

梁と柱で思いっきり熱橋(ヒートブリッジ)が発生しているのが分かりますか?

 

 

つまり・・・
↓白っぽく汚れていない部分が、柱と梁の部分です。

 

付加断熱のQ1.0住宅なら、まずこうはなりません。

つまり、ここで10年の点検だとします。

カビや藻が発生していたら、当然メンテナンス費用が発生しますよね。

 

でね、ここで「長期優良住宅にしたら、10年で更新や交換が必須」と言っている人がいるとします。

どうですか?

10年後、汚れるのが当たり前と思って家を造ったなら、そういう答えになるでしょう。

また、こうなる事が普通と考える人でも、そう答えるでしょう。

 

ここには、長期優良住宅とか、関係ありますか?

長期優良住宅ならメンテナンスする必要がないと思います?

陽当たりが悪いせいだと思います?

 

これは、外壁から内側での、結露が原因です。

陽当たりではありません。

施工も設計も悪いのが原因です。

 

長期優良住宅なら、コストかかるって考えになりますかね?

 

基本的に、防水や窓などもそうですが、メーカー保証は、10年です。

それを考えると、10年というのは、一つのメンテナンス・点検が必須な時です。

長期優良住宅だからとか、全く関係ありません。

 

外壁のサイディングには、シーリング(コーキング)が使用されますが、これが金額が高いとメーカー推奨品ではなく、安いものを使うのが、当たり前のようになっていますが、僕はそんな事しません。
高くても、きちんと使用します。

 

家づくりというのは、建てた後もずっと住まいの相談役になるのが、当たり前だと考えています。

ラファエル設計は、ずっと家の成長も見届ける考えでいます。

正直、長期優良住宅仕様の事を当たり前にやっているのなら、補助金や減税含めて、メリットがあるのか?というのはあります。

単純に、補助金の為というのが、長期の認定を取る大きな目的だとしたら、それは住まい手の為の家づくりか?という疑問が残りますよね。

 

一般ユーザーの皆さんも、「長期優良住宅の認定を受けないなら、長期優良住宅の仕様にならないんですか?」と依頼先に聞いたらいいです(笑)

 

最後に、再確認しますが・・・

長期優良住宅というのは・・・

従来の「つくっては壊す」スクラップ&ビルド型の社会から、「いいものを作って、きちんと手入れをして長く大切に使う」ストック活用型の社会への転換を目的として、長期にわたり住み続けられるための措置が講じられた優良な住宅(=長期優良住宅)を普及させるため、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が平成20年12月5日に成立し、平成21年6月4日に施行されたという物だという事。

 

自分の代で建て壊す予定だとか考えている人たちは、専門家も含めて、従来の「つくっては壊す」考えの人です。

自分の子どもや孫たち世代に向けて、どんな住宅を普及させていけば、未来の子どもたちによって、良い環境の日本になっているか?と考えてみてください。

自分達の子どもに、辛い思いをさせるような住環境、日本社会でいいと考えないですよね?

僕は、ラファエル設計は、自分の設計した家に住む家族の未来へ向けて、現時点で最高と思える家を、心から提案したいし、実践します。

年間に何棟も設計出来ませんが、少しでも多く、資産価値のある家を造っていく事が、僕の設計者としての使命だと思っていますよ。

2018年12月02日