耐震等級3+制震構造の家

耐震等級3の家づくりのページでは、耐震等級3の家についての概略を知る事が出来たと思います。
このページでは「制震」をプラスさせるさせる意味・メリットを詳しくご説明いたします。

ラファエル設計の『制震』は『制震ダンパー』を使用します。

これは基本的に「制震」とする場合、名前はどこも同じだと思います。
ですが、違うのは、制震ダンパーの種類です。

『エヴォルツ』制震ダンパー
※以下の画像などの出典はすべて千博産業となります。↑子どもが持っているものです。
車で有名な『ベンツ』のサスペンションにも使われている信頼性の高いものです。
いわゆる衝撃吸収です。
製作工場も同じところでです。

揺れを吸収する為に、車にもサスペンションが使われるわけで、このサスペンションがただ硬いだけのものだったら、一発で壊れますよね。
少し前までは↓な感じ小さかったのですが、現在は、大きなものに、生まれ変わったようです。
損傷する限界を限りなく低く

建物には、家が倒壊する領域の揺れ幅があります。

地震で家が揺れた時、柱1本分である「100mm」横に揺れると、倒壊に繋がるような揺れ幅となります。
柱が瀕死の状態になります。

それを約15mm程度の揺れ幅にするのが、ラファエル設計の選定する『エヴォルツ』制震ダンパーです。

イメージ的には↓は感じです。
15mmが生命線
わずが1mmからの揺れも効く!「超バイリニア特性」
バイリニア特性とは、制振装置がエネルギーを吸収する「減衰力」の増大に伴って、柱や梁などの構造躯体を傷める事のないように考えた特性。

地震が弱まるのを減衰(げんすい)っていいます。

エヴォルツL220は、この特性をさらに進化させて、商品として大きくなりました。
それにより「超バイリニア特性」の実現に成功したのですね。
バイリニア特性の他社との比較
エヴォルツは右の方です。
通常の制震ダンパーは、筋かいのような感じで、ダンパー自体にも耐力を負担させるので、揺れが大きくなってきて、効果を発揮するような商品が多いです。
線が右上がりですよね?
しかし、エヴォルツは、1mmの揺れから効果を発揮するので、制震構造としてもとても優秀です。
ラファエル設計の考える制震構造
耐震等級3の考えてもありますが、建物を強くするというのはどういう事をするかと言いますと・・・
外壁や内壁に「倍率」を与えてやり、「耐力壁」とするのですね。
この倍率の合計が大きくなると、筋肉ムキムキな感じになるということです。一般的な筋かいを斜めに1つだけ入れると、壁倍率は1.5とか2.0となります。
エヴォルツは、商品自体が耐力を負担しませんので、この倍率はエヴォルツによって、上がりません。
ここがポイントなのですね。
エヴォルツは耐力を負担させませんので、地震力はラファエル設計が耐震等級3としてあげる事によって、
エヴォルツ君は、他の部材に守られている状態です。
よって、自由に地震力に対応できるのです。

つまり、「共振現象」にならないように動いてくれるのです。
他社の耐震等級3
制震構造+耐震等級3ですが、ハウスメーカー含めて、『耐震等級3』というのはエヴォルツではなく、
○○ダンパーといった商品を使って、壁の倍率を上げていきます。

○○ダンパーが倍率を上げる役割がありますので、普通では耐震等級2しか取れないけど、〇〇ダンパーを設置する事によって、耐震等級3となるという事でダンパーを使う会社もあります。

逆に、普通であれば耐震等級1だけど、ダンパーなど、兎に角倍率があがる商品を使って耐震等級3とする事もあると思います。

つまり、ダンパーが、耐力を負担するという事なのですね。

これは「共振現象」が起きるように動いてしまう事もあるのです。

こうなると、ダンパーを取付けている部分の接合部が、場合によっては損傷します。
つまり、ダンパーを設置している意味が、無意味になります。
制震ダンパーは必要なのか?
そもそも、制震ダンパーは必要なのか?と思う人もいると思います。

『必要ない』と思う人は、ダンパーに耐力を負担させる=『壁の倍率を上げようとする考え』
の人だと思います。

「共振現象」というポイントに着目出来ていないのですね。

ラファエル設計は、この共振現象を起こさない為に「必要」と考えます。

東日本大震災が起きた時に、そもそも栃木県では倒壊なんてしてないから「不要」と考える人もいると思います。私の実家のも新耐震前(昭和56年以前)の建物ですが、見た目は無傷です。

私は思うのです。
自然災害に対して、過去のデータから「不要論」を唱えるのはナンセンスだと。


例えばブロック塀。
近畿地方の大地震により、小学校のプールのブロック塀が倒壊して、尊い命が失われました。
ニュースをみた瞬間、基準法違反の塀だと瞬時に分かりました。

違法だと騒がれたのは、それから少し経った後でした。

それからどうなりましたか?
一斉に「違法ブロック撤去」となりましたよね?

そうです。日本の法律や、皆さんの「意識」というのは痛ましい事故などが起きないと、改善されないのです。
誰かの犠牲があって、考えが改められるなんて、おかしいです。

僕は新築の際、ブロック塀がある場合、施主様に「控え壁」が無い場合は設置が必要という説明を毎回行ってきました。

制震ダンパーにしても、他がやっていない事が多いので、
多くの人は設置する事が「特別」だったり「やりすぎ」と思うわけですね。

制震ダンパーは必要なのか?と疑問に思う人は、何が一番心配なのですか?
不要だと思う理由が聞きたいです。

聞かなくても、想像は付きますが・・・
コストアップしてまで、建物が壊れないんじゃ、ダンパーやらなくてもいいんじゃない?
と思うわけですよね。

で、専門家に相談すると、

「そこまでいらない」
「壁の倍率を筋かいで上げれば大丈夫」
「伝統的な日本の工法には不要」

といった考えから、

「ダンパーはいらないと思います」

なんて回答をするのですよね。

ダンパーに耐力を負担させる=『壁の倍率を上げようとする考え』
が殆どの専門家だと思います。
つまり、ダンパーの接合部がダメになったらどうだとか、そういった回答は専門家から、もらえると思いますよ。

基本的に、「共振現象」を考えの1つにして、ダンパーの必要性の有無を回答している専門家の人はいるのだろうか。
共振すると、長期優良住宅の家でも倒壊する
ラファエル設計の場合、耐震等級3に制震をプラスさせる理由は、『共振させない』が一番の理由です。

下記映像は、ナレーションでは原因不明となりますが、共振現象により、長期優良住宅の家が倒壊する映像です。
エヴォルツの効果
これまで色々と考えを述べてきました。
YOUTUBEで、体験の様子が公開されていますので、ご確認ください。
これを見ていただくのが、一番理解しやすいと思います。
耐震等級3を取得する為の検討項目【建築基準法と品確法住宅性能表示の比較】
耐震等級3を取得る為に、基準法とはどんな違いがあるのか、ちょっとこちらで詳しくご説明します。

耐震等級3をクリアするという事は、最終的に住宅性能評価を取得する為に、行政に申請する必要があります。下記の内容が、耐震等級3を取得する為に、基準法よりも構造計算などを追加で行う内容となっています。

住宅性能評価とは、長期優良住宅と思っていただければ、少し分かりやすくなると思います。

赤字の部分が、主に追加になる部分です。
建築基準法と品確法では・・・
  • 壁量
  • 接合部
  • 基礎
  • 横架材
について、品確法の方が、より詳細な検討を行います。
例えば、壁量については、建築基準法では考慮されていない「準耐力壁」を考慮します。
  建築基準法 品確法(住宅性能表示)
壁量 ■必要壁量の算出
 ・地震に関する必要壁量
 ・風に関する必要壁量

■存在壁量の算出
 ・耐力壁存在壁量

■判定
 ・なし
■必要壁量の算出
 ・地震に関する必要壁量(積雪考慮)
 ・風に関する必要壁量

■存在壁量の算出
 ・耐力壁存在壁量 
 ・準耐力壁存在壁量

■等級判定
 ・耐等級(等級2,等級3)
 ・耐等級(等級2)
壁の配置 4分割法または偏心率 4分割法または偏心率(準耐力壁は考慮しない)
床倍率 なし ■耐力壁線の設定
 ・チェック(耐力壁線間距離8m)
 ※耐力壁線間が8mを超えると、この時点で耐  震等級の話は無効になります

■必要床倍率を求める

■平均存在床倍率を求める

■等級判定
 ・耐等級(等級2,等級3) 
 ・耐等級(等級2)
接合部 ■「筋かい端部」と柱・横架材との接合部のチェック

■「柱頭・柱脚」と横架材との接合部のチェック
■「筋かい端部」と柱・横架材との接合部のチェッ ク

■「柱頭・柱脚」と横架材との接合部のチェック

「胴差の端部と通し柱」の接合部のチェック

「床・屋根の外周の横架材」の接合部のチェック
基礎 ■建築基準法の告示に基づく仕様のチェック ■建物条件に基づいて、構造計算、またはスパン表より基礎の仕様を選択
①基礎形状の選択 
②基礎の各部寸法の選択 
③基礎の配筋の選択
横架材 ■建築基準法の告示に基づく仕様のチェック ■建物条件に基づいて、構造計算による断面算定、またはスパン表より選択

※スパン表を使用する場合、直下率100%でなければスパン表は意味を持ちません。
耐震等級3「相当」
耐震等級3相当という言葉を聞いた事がありませんか?
耐震等級3には「相当」とつくものと、つかないものがあります。

上の表で見ると分かりやすいと思いますが、「相当」とつく場合、ほとんどが「壁量を増やしての耐震等級3」だと思います。

耐震等級3は、基準法と違い、壁量の他に、床などの「水平面」の倍率も求められてきます。
無垢材を使う事に強いこだわりがあり、水平面の倍率が取れないと、「耐震等級3相当」としている場合が多いのではないかと思います。

ちなみに住宅の場合、構造計算は確認申請に不要という事で、「構造計算はやらなくていい」という誤認識を持つ人が、大量に溢れています。

やらなくて良いのではありません。
確認申請には不要なだけです。

「当然、建築が設計する家(建物)なんだから、構造計算はしているよね」

という暗黙の了解ではないですが、そういう事で、住宅の場合は確認申請の審査する人たちの負担軽減みたいなもんです。

住宅の場合、構造計算は2つ種類があると思ってください。

・許容応力度計算
・壁量計算

許容応力度計算の方が、計算の詳細度がかなり上です。
専用ソフトがないと、よほどの構造設計専門者でなければ出来ないです。
※ラファエル設計が行う構造計算は「許容応力度計算」です

基準法で決められているのは「壁量計算」です。
先ほどのもご説明致しました、壁の倍率を高めることと、その耐力壁をバランスよく配置するという感じです。
床などの「水平面」の倍率は求められていません。

なので、それを構造計算と呼べるのか?という疑問はありますが・・・
「相当」とつくのは長期優良住宅を申請するかどうか?という所が一つの分かれ道だと思います。

ちょっと話を難しくすると「性能評価」というものを行政に申請して、取得するわけです。

一般の方が、性能評価とかいうと、話が難しくなるので、長期優良住宅の申請を性能評価とイメージしていただければ、今回の説明を理解するには良いかと思います。

耐震等級「相当」とつく場合にも、レベルというか、種類があります。

【ケース1】
長期優良住宅の申請をしないだけで、耐震等級3で行う計算と同じことをやっている・・・
でも申請してない・・・

という事から、行政に認めてもらってないから「相当」とつく場合。

【ケース2】
後は、水平面の倍率がきちんと取れていないから、長期優良住宅の申請をしても認められない・・・
でも、同じような計算はして、壁量だけ満足させる・・・
みたいな感じですと、場合によっては「相当」とついたとしても、「自称」に近いと思われます。

よく、無垢材にこだわって、屋根の合板を無垢にすると、水平面の倍率が取れないという事になるので、
「相当」にしている会社もあります。



水平面の倍率がしっかり取れないのに、耐震等級3「相当」ってのは、都合よすぎな感じですよね。

はやい話・・・
【ケース1】は耐震等級3に限りなく近い、等級3相当であり、
【ケース2】は耐震等級3とはかけ離れた、等級3相当であり、倍率などが取れなくて、単純に「壁の部分だけ耐震等級3と同じ計算としているだけ」という話です。

つまり、同じ「相当」の中でも、もの凄く差があるという事なのです。

建築基準法では、水平面の倍率は考慮しないというか、計算もしません。
なので、水平面の倍率が取れない時点で、
それは品確法で定められた耐震等級云々の話の土台には乗ってこないんですよ。

普通の基準法通りの家ですよね?って感じですね。

なので、壁だけ考慮して「相当」と言っている会社もあるかもしれません。


ラファエル設計は、お願いされたとしても、倍率が必要な部分に無垢材は使用しません。
無垢材の良さをこだわるよりも、水平面の倍率をこだわりたいと思いますね。
そして、しっかりと許容応力度設計を行った上での耐震等級3を目指します。

つまり、「相当」というのは・・・
  • 公的に認められていない(性能評価と取得していない)
  • 勝手に等級3は取れているだろう思っている「自称相当」
  • 公的に認められないけど、行政に出せば等級3と認められるレベルの「相当」

こんな感じです。

いずれにしても、倍率などがしっかり取れないのに、壁だけ倍率高い「相当」はちょっと怪しいかなと思いますよね。

このようなケースが心配な場合、ラファエル設計が設計・監理者として家づくりに参加する事で解消されますが、一般のお客様が私のような監理者を依頼しない場合、知識として持っていなくてはなりません。

やはりこの辺の話になってくると、一般の方は・・・
  • 素人では限界がある
  • 設計事務所のような第三者に監理者として依頼するべきだった
このようになってしまう可能性が高いです。

耐震等級3をうたう会社に依頼する場合「相当」かどうなのかを必ず確認してください。

当然ながら、「相当」に該当する基準なんてありません。

結構、契約後に「相当」という事に気が付くパターンが見受けられます。
工務店は「耐震等級3【相当】です!」なんて、強調しては言ってこないですからね。
まとめ
如何でしたでしょうか?
なるべく、一般の方がイメージしやすいように書いたつもりです。

ラファエル設計の考える、耐震等級3と制震というのは、これまで述べてきたような考えになります。

耐震等級3と制震構造については、まとめると↓こんな感じです。
  • 耐震等級3は壁量の他に、水平面の倍率も必要
  • 耐震等級3「相当」は水平面の倍率がきちんと取れていないなら、「自称」相当の可能性あり
  • 耐震等級3は確かに強い、でも共振が起きたら危ない
  • 共振をさせない為に、エヴォルツのダンパーを使用する
  • エヴォルツのダンパーを使用するのは、壁の倍率を上げる為じゃない
  • 耐力自体は、建物が耐震等級3としてのステータスを持つ
  • 柱・壁の直下率も重要(これらが低くて耐震等級3は危ない)
家の性能(余談)
家の性能は、これまで断熱・温熱をメインでHPも作成してきました。
さりげなく耐震等級3というのは記載してましたが・・・。

家の性能というのは、耐震性だけ良かったり、温熱だけ良いのでは性能が良いとは言わないです。

長期優良住宅をクリア出来れば性能が良いとか、それは勘違いでしかありません。
長期優良住宅は、省エネとか耐震性だけクリアすれば、「長期で優良」と認定されるのです。

勿論、メンテナンス性とかも必要にはなってくるのですが。

ラファエル設計の家づくりは・・・
  • 省エネ性
  • 耐震性
  • 自然素材
これらを標準と考えてます。

これらを、兼ね備えた『Q1.0住宅』という設計を、自信をもって提案していきます。