形に出来ない設計者より、形に出来る大工は最強?

元請けや設計者は形に出来ないくせに○○!
カタチに出来る大工が最強!

文面祖もままでは無いですが、このような投稿をSNSでたまたま見かけました。

僕はあまりこういった誰が凄い!とか最強!という考えは好きではない。

例えば、外科医は手術できるから最強で、麻酔科医は手術できねぇじゃねーか!という議論と同じように感じる。

 

そもそも、その人は下請けになるから元請けとか設計者の事を文句言う立ち位置になるのでは?

誰が偉いとか、最強とか、そんな事はなく、皆さん設計者も職人も平等だと思うけど、下請けで入った人なら、立ち位置的には元請けよりは下になるのは当然。

だって、責任とか、施主との関係性は元請けの方が近いんだから。

下請けは、仕事をもらっている立場だから。

自分の考えを優先して、設計図通りにやらないなんて事があったら、ダメですよね?

 

設計図書があって、それをカタチにする職人さん・・・

という関係性であれば、形にする職人さんよりも、設計図書の方が

「絶対」

なのです。

つまり、それを作成した設計者の立場を飛び越えられないのですよ。

 

設計図を作成して、つくるのもその大工さんなら、すべて自分で好きにすればいいですが、他人が描いた図面のものを造るという関係の大工さんが、設計者とかの事を自分よりも最低だ!とか発言しちゃうことに、残念に思いますよね。

その理屈から言うと、現場でものをつくらない大学教授よりも、現場でものをつくる職人の方が最強だ!

っていっているのと変わらなくないですか?

そもそも、作り手は、設計図というものがあるから造れるのでないのですかね?

職業とかもそうだけど・・・

それぞれ「役割」というものがあるのです。

 

自分は最強と言っている大工さんに言いたい。

「確認申請おろせますか?」

 

確認申請下ろせなくちゃ、家は建てられないですよ?

 

最強の腕をふるう機会を与えてもらえないですよ?

 

つまり、ほんの少しでも誰かの手助けが必要ならば、最強じゃないんですよ。

その人同士は「対等」なんですよ。

だから、家づくりというのは、施主も、設計者である僕も、職人さんも、

「対等」

なんですよ。

 

ただ、僕の考えているものを作ってもらっているので、僕の考えたもの通りに、基本は造ってください

という部分が生まれます。

職人さんには、「設計図よりもこっちの方が納まりいいよ!」

ってのがあれば、それはどんどん言ってくださいという感じです。

 

「立場的」に、対等という考えはあっても、

「優先順位」という考えで行けば、それには上下関係の順位が発生する。

 

対等の関係であっても、誰かがタクトをふるう必要があるわけで、指揮する人が最強とか、そういった考えをすること自体、

ナンセンスだと思いますけどね。

2020年07月20日