何処よりも為になる断熱材選び。住宅の断熱材にグラスウールは絶対使ってはいけない?

住宅の断熱材にグラスウールは絶対使ってはいけない?

アホか!

 

そんな事言ってる人は知識無さ過ぎです。

プロの人も含めて、「断熱材は何がいいの?」と言う人が沢山いますので、改めて解説します。

いきなり答えを言うと、
ラファエル設計は、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバーが良いと思っています。


  • 断熱材は何がいいの?

 

まず、「断熱材選定」というものに対して、ネットで調べようとすると、正確な答えを述べているものは、まず見られません。

「断熱材の選び方」なんて書いてあるサイトでも、特に答えは言ってない。

大体、以下のような事は、どこのサイトにも書いてある。

  • 断熱材の種類
  • 断熱材の熱伝導率
  • 断熱材の熱抵抗
  • 各種断熱材のメリット・デメリット
  • 断熱工法(充填断熱、外張り断熱)
  • 断熱材の費用対効果

まあこんな感じの事は書いてありますよね。

それらのサイトで共通していえる酷い所は・・・
「賢く断熱材を選べるといいですね!」
とか
「断熱材は業者としっかり打ち合わせして選ぶ」
なんて書いてある(笑)

誰がそのナビしてくれるんだよ!って感じですよね(笑)

全ての業者が断熱材について詳しいとは思えないです(笑)

では、各サイトで調べた時に、自身が迷わないようにする為のポイントを解説していきましょうかね。

 

  • 断熱材の種類について

断熱材は、〇〇系という感じで分類されます。

発泡プラスチック系
ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンなど
繊維系
グラスウールやセルロースファイバー、ロックウール
自然素材系
羊毛など

これらについて、施工上のメリット・デメリットをいくら調べても、住まい手に取っては、全く関係ありません。


大体、ウレタンがグラスウールより優れているような内容のサイトが多い感じしますが・・・

ウレタン系を推すようなサイトは、グラスウールのデメリットとして、
「施工性の悪さ・難しさ」
を上げています。

よく考えてみてくださいね?

施工性の悪さ・難しさはデメリットかもしれませんが、新住協の会員さんたちのような人達は、しっかりとグラスウールでも施工しているのですよ。

つまり、キチンとした知識と施工技術がある場合、批判されるような程のデメリットではなくなるのですよ。

 

そうなれば、別に施工上の問題から、グラスウールが選択肢から外れるとか、グラスウールよりウレタンの方がいいとか、そういった話は無駄になります。

グラスウールをしっかりと施工できない方々が多いから、こういった議論が生まれる要因でもあります。

ラファエル設計の場合、安価ですむグラスウールを基本的に選択します。

 

  • 断熱材の性能(熱伝導率)について
熱伝導率【単位:W/(m・K)】※数値が小さいと熱が伝わりにくい
吹込みセルロースファイバー:0.040
グラスウール断熱材:16K(kg/㎥):0.045
グラスウール断熱材:24K(kg/㎥):0.038
高性能グラスウール断熱材:16K(kg/㎥):0.038
高性能グラスウール断熱材:24K(kg/㎥):0.036
吹付け硬質ウレタンフォーム断熱材A種(1,2):0.034
吹付け硬質ウレタンフォーム断熱材A種(3):0.040
熱抵抗値R ※数値が大きいと熱が伝わりにくい
熱抵抗値R「厚み÷熱伝導率」 の計算をすると、実際の壁の 厚み&断熱材で、 熱抵抗が分かります。
抵抗なので、数値が大きければそれだけ抵抗してくれるという事で、断熱性が高いといえます。
つまり、 厚みが重要ですよって事です。

 

こんな感じなのですが、あるサイトでは、この熱伝導率・熱抵抗だけに注目して、ウレタンが一番いい断熱材と評価している所もあります。

まあ、確かにこれだけ見たら、ウレタンが一番いいです。

ちなみに、セルロースファイバーがもの凄く断熱性が良いと思っている方は、この熱伝導率を知らず、高性能グラスウールより、多少熱伝導率が悪い事にビックリします。

これらのサイトなどで言える事は・・・

「断熱材のみの勝負」をしているだけにすぎません。

それだけで家の性能が決まる訳ではありません。

つまり、熱伝導率・熱抵抗のみに注目して、断熱材を選ぶ意味は、全くないという事です。

そんなのウソだろ?って思うかもしれませんが、本当です。

例えば、105mmの断熱材で家を包んだ場合の比較であれば、当然熱抵抗の大きいウレタンが一番性能が良くなるのは当たり前ですが、安価なグラスウールでも、しっかりとした性能を出す為に、ラファエル設計は充填断熱+外断熱のダブル断熱(付加断熱)という手法を取り入れます。

下記は、ラファエル設計のグラスウールでのダブル断熱と、ウレタン使ったダブル断熱ではなく充填断熱との差です。

高性能グラスウール105+105mm付加断熱(1階)
Q値:1.19
UA値:0.32

ウレタン105mm充填(1階)
Q値:1.64
UA値:0.50

高性能グラスウール105+105mm付加断熱(2階)
Q値:1.19
UA値:0.32

ウレタン105mm充填(2階)
Q値:1.64
UA値:0.50

はい、いかがでしょうか?

熱伝導率・熱抵抗のみで判断しても、全く意味が無い事が分かりますね?

所詮、充填断熱レベルでは、柱や間柱からのヒートブリッジ(熱橋)により、熱が逃げてしまうのですよ。

充填断熱による熱が逃げるイメージ
ダブル断熱(付加断熱)による熱が逃げるのを防ぐイメージ

はい、こんな感じで、家と言うのは、「熱が逃げる部分」というのが数多く存在します。

つまり、いくら熱伝導率や熱抵抗を追い求めても、柱や間柱などから熱が逃げる事を考えなければ、全く意味がない議論だという事がお分かりいただけたでしょうか?

水道に例えるなら、蛇口が緩んだ状態でしかないという事です。

 

  • 断熱材の湿気の弱さ

これもまた、意味ない事言ってるな~って感じの話なのですが・・・。

あるサイトには、グラスウールは湿気に弱いからウレタンの方がいい!とか書いてありますが、そもそも、湿気がグラスウールに到達すること自体、「ずさんな施工前提」という話ですよ。

キチンとした施工が出来れば、グラスウールが湿気を帯びる事なんて、まずありません。

その為のものが、下記の黄色い気密シートです。(赤いのが裸のグラスウール)


外壁側に関しては、夏型結露の話とかありますが、通気と施工がしっかりしていれば大丈夫です。

     

     

    • グラスウールは結局おススメできないの?

    これまでお話したように、絶対にグラスウールは使ってはダメ!なんて言っている人や会社では、それだけの施工技術がないと言っているようなものだと僕は思いますけどね(笑)

    グラスウールの場合、湿気などの話の他に、「気流を生じさせてはいけない」というのもあります。

    壁の中のグラスウール内で空気が動くと、断熱性能は6倍くらい低下します。

    なので、こういった問題から、グラスウール否定派がいるわけですが、これもしっかりとした「気流止め」が出来れば解決できます。

    やはり、これも施工上の問題ともいえますが、設計上の問題でもあります。

    グラスウールをおススメしない人たちは、単純に扱いの難しいグラスウールから逃げているだけだと思いますけどね(笑)

     

    • ここまでのまとめ

    はい、という事で、一旦ここまでの考えをまとめますが、施工がしっかり出来れば、断熱材は好きなの選びなよ~~ってのが、ラファエル設計の考えです。

    施工が難しいとか、知識がない施工する側の要因によって起こる問題が、断熱材の問題点と言うか、デメリットにはならないという考えがラファエル設計の考えです。

     

    一旦これまでをまとめましたが、なんだかんだで断熱材選びに一番重要なのは、「火災」だと思います。

    • 誰も触れない問題

    結局ね、家の断熱性能だけの話で言えば、どんな断熱材だろうが、無暖房で20℃近く行く家は設計出来るのですよ。

    その上でね、しっかり考えなくてはいけないのが「火災」だと思うのです。


    で、皆が触れもしない、考えもしないのが「落雷火災」です。

     

    建築基準法では、落雷による火災を想定していません。

     

    火災レベルの炎で、燃えないウレタンは存在しません。

    燃えないのが、セルロースだったりグラスウール、ロックウールです。

    有毒ガスが出る断熱材なのか、出ない断熱材なのか・・・

    そういった選択肢も考えの1つに入れなければなりません。

     

    • ラファエル設計は、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバーが良いと思っています。

     

    これが冒頭にも申した通り、ラファエル設計が良いと思う最大の理由であります。

    施工がしっかりと出来る自信がありますので、断熱材は、何を選んでも断熱性能は担保できます。

    後の決め手は、落雷火災。

    ここが全てだと言っても過言ではないです。

    田んぼ・畑の真ん中に建っているような家では、周囲からの延焼は発生しませんが、「落雷による火災」という確率は、雷の度に危険があるわけですから、高いですよね。

     

    耐震に関する話でもそうですが、「確率論」での家づくりは、ラファエル設計はしません。

    人間のせいで起きている地球温暖化によっての自然災害。

    今までの常識が通用しないのが今です。

     

    家づくりと言うのは、色んな角度から物事を考えなくては、何がベストなのかが見えてきません。

    なので、僕から言わせれば、「断熱材は何がいい?」って聞かれたら、

    「落雷火災を考えて、安全で安いグラスウールorセルロースファイバーがいい」

    という答えで終わります。

     

    室温シミュレーションを見て見るよくわかると思いますが、結局は断熱材を活かす「腕」「知識」さえあれば、最高の室内環境は提供できるんですよ。

     

    なので、住まい手が一番考えるべき視点は「落雷火災」だと思うのです。

    それをクリア出来る断熱材の中から、熱抵抗が高いものを選ぶというだけで、いいと思います。

    施工がしっかりするのというのは当たり前の話ですがね。

     

    というわけで、断熱材選びのサイトは、「断熱材を選定」という視点では、
    ほとんど参考にならないものばかりという結論でございます(笑)

     

    だって、最後は「業者としっかり話し合って」とか「賢く断熱材を選びましょう!」とかさ・・・

    皆さん、どの断熱材を使ったらいいのか知りたいわけですよ(笑)

    それが最後は他人任せとは(笑)

     

    他社様の事は詳しく分かりませんが、少なくとも、新住協の会員さんで研修会にも毎回参加しているような会社は、しっかりとした施工知識を思っていると思いますよ。

     

    2018年08月20日