窓は本当に弱点なのか?
去年11月に発売した建築知識ビルダーズで、連載第一回目が開始されましたが、今月号では、
「窓を強化したのに暖かくならない理由」
という内容で執筆始めました。
皆さん、工務店のオープンハウスとか行くと・・・
「窓が弱点なので、窓をとても強化しています」
って、口酸っぱく言われません?(笑)
こういう工務店は、大抵UA値0.5前後というか0.47辺りの家で、そういう感じに勝手にですが、思います。
窓が弱点なのは、間違いではなく、正解です。
アルミ樹脂とか、昔の単板ガラスの窓が基準であれば、窓は弱点なのは、疑いようもない事実です。
でも、家ってね、熱が逃げる所は窓だけじゃないんですよ。
窓が弱点といっても、樹脂窓にすれば、冬の室内での死亡率日本一の栃木県でも、非常に効果あります。
ですが・・・
樹脂窓で複層(2重)ガラスとトリプル(3重)ガラスでは、室温に大きな差は出ません。
むしろ、南側にトリプルを持ってきた場合、複層より室温は上がりません。
室温を上げる為に考えようとすると・・・
南北に長い家ですと、また話は変わってきます。
真北方向の角度によっても変ります。
トリプルガラスは窓からの損失が小さいのですが、カタログに載っている数値って決まった大きさに対してなのをご存知ですか?
YKKAPのAPW430というトリプルガラスの窓になります。
この熱貫流率0.90w/㎡・Kというのは・・・
突き出すタイプの窓とFIX(はめ殺し)窓の連窓で1690x1370の窓に対してです。
熱貫流率は、窓の大きさやガラスの種類によって異なる数値になるのをご存知ですか?
数値が低い方が、熱を通しにくく、熱も逃げにくいという事です。
この同じサイズをQPEXで入力してみると・・・
- 遮熱トリプル(ガラス:透明)
- U値:0.99
- 遮熱トリプル(ガラス:ブルー)
- U値:0.95
- 断熱取得トリプル(ガラス:透明)
- U値:1.22
となります。
では、これを1690x2030の掃き出しテラス窓にしてみます。
- 遮熱トリプル(ガラス:透明)
- U値:1.03
- 遮熱トリプル(ガラス:ブルー)
- U値:0.99
- 断熱取得トリプル(ガラス:透明)
- U値:1.26
次に640x970の突き出しタイプの窓にしてみます。
- 遮熱トリプル(ガラス:透明)
- U値:1.15
- 遮熱トリプル(ガラス:ブルー)
- U値:1.12
- 断熱取得トリプル(ガラス:透明)
- U値:1.33
という事で、窓が小さくなると、U値は悪くなります。
何でか?
要は、このU値というのは、ガラスとガラス周囲の枠のU値を合計して、中心で考えられたものだからです。
つまり、ガラスは性能がいいけど、ガラス周辺の枠の性能が悪いという事です。
窓が小さくなるという事は、性能がよいガラスの面積が小さくなり、性能の悪い枠部分は変わらない(ガラスより大きくなる)からですね。
じゃあ、窓は小さくしない方がいいじゃん!?
って思うのは、早とちり。
窓が小さくなれば、断熱された外壁部分が増えます。
まあ、こんな感じの事実を、プロの人達がどれだけ知ってる?
って事なのですが、カタログ値を見て、そのシリーズ全ての窓が性能が良いと判断するのはちょっと間違いですよね。
連載2回目では、ここまで詳しく載せる事は出来ないのですが、結構面白い内容に仕上がりそうです。
重要なのは、窓の強化ではないんですよ
(*´艸`*)
それをシミュレーションを通じて、書いてみました。
僕のブログなどを熟読している方には簡単な答えかもしれませんが(笑)
今度2/23,24日に開催される構造見学会では、その辺の答えや、家づくりの本来在るべき姿、大工さんの腕ってどんな所をいうのか・・・
そんなのも発見できると思います。
大谷石を使った、太陽熱の蓄熱システムは日本初です。
とにかく・・・
窓を強化しただけで、家が単純に暖かくなるわけではありません。