家造りにおいて思う事(一番重要なこと)設計監理者の存在意義

先日・・・
今月末発売の雑誌に僕のインタビュー記事が掲載されるのですが、
どんな事を記事として載せようか雑誌の会社の方と打合せをしてる中で・・・

本当に今回の企画で家造りについて色んな事が知れましたと言っておられました。

 

家づくりね~・・・・


雑誌の編集の方、広告の担当の方と話をしていて感じた事があります。

悲しい事に、僕みたいな設計事務所に依頼すると、「設計料」が高くつく
と思っている人って多いんだろうな~って思っています。
そして、設計監理者の存在意義が明確ではないという事・・・
Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン


これは本当に・・・。


 

設計って・・・

ハウスメーカーのような「企画もの」だったら、1か月前まで飲食店などで仕事してた人でも営業として入社して、何の知識が無くたって、パズルのように間取りを組み合わせれば、立派な外観の家が提案出来ちゃうんですよ(笑)

間取りを考えることは、高校生だって出来るんですよ。
だから、少しやり方知れば、主婦の人だって間取りは考えられるんですよ(笑)

動線がしっかりしてるとか、使い勝手がどうこう言う前に、「間取り」は言ってみれば、誰でも出来てしまうものなのです。

多分・・・
設計=間取り考え

みたいな感じの図式が出来上がってる人だと、設計事務所に依頼するメリットって、まず無いに等しいですよね(笑)

 

間取りって、その家族がそこで生活するイメージが出来ないと、最高の間取りにはならないんですよね・・・

 

このホームページは、住宅を考える際に特化したもので考えています。
全部、僕が作っています。
多分、家づくりの当事者になっていない人が見ると、多分訳が分からない、若しくは全部見ようとは思わないでしょう(笑)
このホームページは僕の頭の中の引き出しとして作成しています。
本来、家づくりにはこれだけの引き出しがあって、その中のいくつかを適切に引き出して、そのお客様に合ったものを提案していくのです。

 

僕は、全ての人が家づくりを設計事務所に依頼するべきだとは、全く思っていません。
ただし、「工事監理」は依頼すべきだと思っています。

設計段階では何も問題なく進んでも、工事始まってから問題に直面する人の方が断然多いと思います。

例えばご自身で工事状況を現場に足運んでチェックしていくとして・・・
問題が出た場合、誰に相談できますか?
ネットですか?

的確な判断・回答が出来るのが第三者の建築士です。

 


 

まあ、家造りにおいて、一番重要な事・・・
それは、
家を建てる意味・理由をしっかりと考えられること』です。

根本的な事ですから。
これを見失うと、考えがブレブレになっていきます。

 


 

家造りのきっかけって・・・

  • 結婚した
  • 子どもが出来た
  • 親に家建てろって言われた
  • 賃貸の住まいの家賃払ってるなら家建てる

など、結構同じようなきっかけだと思っています。

 

しかし、家を建てる意味・理由というのは人それぞれで何通りもの考えがあるのではないでしょうか?

いわゆる・・・
現在のお住まいの『問題』を解決しようとするのではないでしょうか?

それらの問題が・・・

  • 設計事務所なら解決できるのか
  • ハウスメーカーなら解決できるのか
  • 工務店なら解決できるのか

 

恐らく、何処に依頼しても「解決できる問題」の方が多いでしょう。

後は、自分のこだわり、付き合いの会社など、
エゴやしがらみを何処まで「許容」できるのかで何処に依頼すべきか絞られると思います。


そして、後は『信頼』が本当に得られるのか。
何処だって工事に関しても設計に関しても、「しっかりやる」と答えるに決まってますので・・・

この「信頼」というのは、基本設計から工事完了まで、各段階で継続してお客様から得られなければならないものだと思っていますが・・・
工事段階での信頼度を、設計段階で適切に判断するのが一番難しい所だったりします。

こういった時に一番ベストなのは、設計事務所のような第三者的存在の「設計監理者」がいて、工事が進む事です。

 

例えば工務店などで、自社チェックのようなシステムが出来上がっていて、その家の工事監理担当の監督さん以外の監督さんなどが、第三者的目線でチェックしてくれる工務店ならば、設計事務所の監理者はそれほど必要では無いかも知れません。


 

  • ここからは、工事監理についてお話致します。

 

多分、こんな疑問を持っている方が非常に多いと思います。

工事監理って、現場監督がいれば別に設計事務所に依頼する必要なくない?

まあ、そう思うのも普通の考えというか・・・
間違っているわけではありません。

工事監理というのは、図面通りに工事が進むのを監理出来ればそれで何が問題なの?って思うかもしれません。

 

設計監理者の存在意義が不明確問題・・・勃発です(笑)

 

家が建つ
・・・という事に関しては何処に依頼しても、見た目はしっかりしたものが出来るでしょう。
意図した欠陥住宅なんてこの時代に出来る事の方がレアケースですが・・・

ただ、

  • デザイン優先にしたばっかりに結果として「欠陥」になる部分
  • 無知の為に「欠陥」になる部分


が出てくるケースもあります。
最悪な事に同時に出る場合もあります。

厄介なのは、どちらもお客様の事を思って、「カッコイイデザイン」「丁寧な施工」をしたとしても結果として「欠陥」となってしまう場合です。

そして可哀想なのは、そのハウスメーカー専属みたいな形でずっと何十年も同じ施工方法で工事を進めている大工さんなどで、
凄く真面目に家造りに取り組んでくれているのに、最新の施工方法を知らなく、そのハウスメーカーからも特に指摘などをされてこなかった場合です。
いってみれば、それが正しいと思い込んでいる場合・・・。

 

「そんなのちゃんと勉強しない大工さんが悪い」
なんて考えては余計に可哀想です。
特にパソコンやインターネットを使えない年配の大工さんとか職人さんにそこまで求めても、「情報収集」するツールや方法を知らないんですから、そこらへんは設計者等がフォローしてあげる所だと思っています。

 

これらは工事段階で発覚する問題となりますが、こういった問題に直面した場合・・・
ハウスメーカーや工務店の設計・施工であった場合・・・
恐らく「いつもやってるやり方」
という認識&お客様の事を思って施工しているという意識の為に、「欠陥」とは思わないでしょう。

 

まあ、いずれにしても、職人さんがどんな方法で施工しようと思っているのかを聞くことが大切かなと思っています。

 


 

どういうことかといいますとね・・・
外壁の窯業系のサイディングを例に出して説明しますね。

窯業系サイディングとは、ガルバリウムのような金属ではない、よく見る外壁です。

↓こんな感じの木っぽいやつとか

 

実はこの窯業系サイディング、に張るかに張るかで若干取付け方が変わったりもするのです!

窯業系サイディングの取付には、釘で留める方法金具で留める方法があります。

上記は釘なんて見えませんよね?
金具で留まっているからです!
※↓金具は見えないようになっているので、金具留め工法は非常にきれいなのです。

 

 

KMEWというメーカー(PANASONIC)の窯業系サイディングを例に出して説明していきますが・・・

下記がはサイディングの種類・厚みによって
釘止めNG
金具留めOK
が分かる表です。

厚みが14mmは釘止めで、金具留めは出来なくなっています。
逆に、厚みが16mmになると、釘止めが出来るシリーズのものもあれば、釘止めNGのものも出てきます。

なので、いつも16mmで釘止めOKの「エクセレージ」「セラディール」というシリーズを標準で扱っていて、お客様の希望から「ネオロック」にオプションとかで変更したとします。そうすると、標準施工という『存在』を知らない場合は、悪気はないけれども、釘NGなのに釘で施工してる事例が実際にあります。

結果・・・全部交換

これは、実際に相談が来て、実際にあった事例です。
※僕の全く関与していない現場です

 


 

下記はKMEWの縦張りの場合で、『金具留め工法』のメーカー標準施工例です。

まず、この標準施工を知らない、又は標準施工通りに工事が行われている事がたまにあります。
こういったものをチェックするのも『工事監理』なのです。

基本的に金具留め工法なので、」は使用不可です。

しかし、コーナーのような所や窓廻りには金具が留められない為、「仕方なく釘OK」という事になります。

ここで問題なのが、ニチハですと、全部釘の場合もあります。
なので、いつもニチハというメーカーの外壁で工事してる人がKMEWのサイディングだとしても、同じ「窯業系」なので、
「釘打ち」をしてしまう問題です。
工事自体は真心込めてやってくれているのです。

しかし、結果として「知らない」事による不具合となるわけです。

上記の種類や厚みで変わるといった場合と違って、「メーカーによって標準施工が変わる」事例です。

そして、釘問題とは異なり、上記赤丸の1つ
「ロングスターター」
を使わない所もある衝撃の事実・・・。
バルコニーのような場合だとしても、例えば下部が釘で止まっているとしたら、サイディングの荷重(重さ)を釘が支える事になるので、割れやひび割れなどの破損に繋がります。
ロングスターターとは、「支え」でもあるわけです。


 

そして釘の場合は、サイディングの色と似たような色で釘の頭を塗って、カモフラージュするのですが、ここにも標準施工は存在します。
↓こちら

 

↓結構平気で上記で大きなX印がしてある「ベチャ」をやっている事が多いです。

釘頭等の不適切な補修です

※これも僕の関与していない現場からの相談事例です。
僕の現場でもベチャはありますが、よっぽど酷くなければ、そして目立たなくて、お客様が許容出来れば、それでOKとしています。

 

この標準施工は、不具合が出るのを防ぐ為というよりは、「見た目が悪くなるのを防止」という観点から考えられていますので、目立たないサイディングなら、目立たない範囲でいいと思いますが、上記のように凄く目立つ場合は、しっかり標準施工を守ってやらないと駄目ですよね
(;´▽`A``

 

↓こちらは木目調なので、目立たないですが塗り方もキレイです。「ベチャ」ではないです。
ここまでキレイだと、遠目からでは全然分かりません!
釘はどこだ~って探さないと一般の人には分からないレベルです。

 

 

何でこういう差が出るかというと、外壁工事に見ている日数の単価(金額)が違うのも理由の一つと考えています。

Aという会社は仕上げの工程を外壁張り終わる日とは別に1~2日考えてる場合はその分「外壁工事」の金額は上がります。
Bという会社は仕上げの工程を0日(外壁張り終わる日に仕上げる)と考えている場合、Aより「外壁工事」の金額は安いです。
そして、その分仕事もになる可能性は高いと思います。

工程を1~2日と考えている場合、そこに入る職人さんが1人なのか人なのかによっても変わってきます。
見積金額には、書面ではこういった見えない所を考慮しているかどうかで差が出てきます。

 

こういったリスクの心配が不安な場合は設計事務所に監理まで依頼すべきだと思っています。
というか、設計事務所のメリットです。
ただ・・・
設計事務所でも上記の事を知らない可能性はあるので、難しいですが・・・
(;´▽`A``

ただ、現場に行ってお茶飲んで、進行状況どんな感じ?
みたいな感じが「監理」となっていれば問題外ですけどね・・・

 

Raphael設計が「設計・監理」の仕事依頼をお受けすれば、監理者はです。

 


 

設計事務所に依頼すると高くつくという考えで、一番困るのは、こういった状況をお客様が見つけた場合ではないでしょうか?

場合によっては、ハウスメーカーなり、工務店と闘わなくてはなりません。

正直、丸め込むために嘘の説明がなされる場合だって実際にあります。

それらのような状況で、キチンとした方向性を示してくれるのは、
ネットの掲示板ですか?
キチンとした知識をもった建築士ですか?

 

僕は、釘の場合など、サイディング以外にも軒天にも釘は出てくるのですが、きちんと施工後の状況もお客様に見てもらって納得して工事を進めています。

というより、初めて付き合う事になる業者さんとは、新たな工事が始まる前に「意思の疎通」を図って、
施工前・施工後の確認をするようにしています。
そういった事が非常に重要だと思っています。

何故かというと、自分の中での「常識」と相手側の「常識」にズレがある事があるからです。

 


 

 

今回、何が言いたいかと言いますと・・・


家づくりに一番大切な事は非常にたくさんあるのですが・・・


『家を建てる意味・理由をしっかりと考えられること』

が大前提であり、

設計の仕事というのは・・・
間取りだけ考えるのではないんですよ
という事です♪

 

監理の仕事を依頼するというのは・・・
いつもやってる工法が正しいとは限らないので、色んな引き出しが重要であり、
問題が起きた時に、一番にお客様の味方になってあげる事ができる
という事です♪

 

家造りには特に

設計・監理

がセットで重要という事です。

 

今回、工事監理にしても、ほんの一部に過ぎない部分をピックアップしていますが、

家造りというのは、色々な・様々な『問題』がつきものです。

問題が起きてしまった時、しっかりとした対応が本当に重要なのです。

 

家造りが終わってから一番大切な事は、

お客様も我々作り手側も、お互いが出逢えて良かった

家造りの仕事を依頼して本当に良かった、依頼されて本当によかった

と思える事が大切な事で、当たり前のようで非常に難しい事でもあると思っています。

2017年02月12日