「家づくり日々勉強」という題名のメルマガの内容が酷い

パースソフトを使用しているのですが、そのソフト会社から送られてくるメルマガで思いっきり突っ込みたくなる内容のものだったので、このブログで突っ込みます。

こういう家は設計がきちんとされていないと思ってください。

では、行きます。

風通しについて
「風通しを家全体で考える」というタイトルだったのですが・・・
こんな図で解説されていました。
※画像は加工しています。
青の線が風の流れだと思ってください。まあ、これで、空気がこもらない風の流れを確保したというわけです。
おそらく、こういったのを見れば、「へえ~」とか思いますよね。

でもこれって、自分で勝手に風の流れを作っているだけにすぎません。

都合よくLDkの掃出し窓から風が入っていますが、その方向から風は来るのですか?って話です、
つまり、こんな絵が描けるのは、風の流れを魔法によって自由自在に操れる人という事です(笑)

しかも、↓こんな考えまで描いちゃってました。
赤矢印が風を表しているのですが、窓の開く向きによって、風が遮られちゃうよって話。
これはごもっともで、ラファエル設計でも、当たり前のように考えています。
でも、これもあくまでもこんな絵だけ描いているならば、それは自分で風を操作している状況となんら変わりありません。(笑)
例えば宇都宮は、就寝時には赤矢印のように南東から風はほぼ来ません。
北東から沢山風がくるので、上記のような窓の開き方は、就寝時を考える場合、適切と考えます。
風の流れを考えるとはこういう事
皆さん、風には「卓越風」というものがあるのをご存知ですか?
年間を通して最も吹き易い風向きの事です。

簡単に説明すると、ある方角から強く吹く風の事です。

実はその地方によって様々なのです。

『窓は対角線にあればいいと思っていませんか?』
実は・・・窓は単純に対角線にあればいいってものではないのです。

ラファエル設計は、夏の『熱風』対策をポイントと考えています。

下記は宇都宮市と日光市の卓越風のデータです。
風配図と言います。
宇都宮市の風配図
日中は7月、8月の暑い季節に南東からの卓越風が一番強い事が分かります。
よって、ここからの熱風対策を考えます。
逆に、就寝時は北北東から1年を通じて卓越風が吹きます。

就寝時は北東あたりから強い風が吹くので、先ほどの寝室の窓の開き方の方が、寝ている時に通風を感じられることになります。
日光市の風配図
日中は7月、8月の暑い季節に東からの卓越風が一番強い事が分かります。
よって、ここからの熱風対策を考えます。
逆に、就寝時は西から1年を通じて卓越風が吹きます。
二つの都市の違い
いかがですか?
全く風の性格が違うのがお分かりいただけたと思います。

あくまで理屈上の話かもしれませんが・・・
例えば日光市で、何も考えずに通風を『南北』で考えていると、ほとんど強さのある風を室内に取込めない事になります。
逆に、風配図からきちんと風の性格を読み取れば、自然風を取り入れる事が出来ます。
更には、縦辷り窓(突き出し窓)はこれらの事を考えて、窓の開き方を考える事が重要だと思っています。。

再度・・・
窓は単純に対角線にあればいいってものではないのです
卓越風が抜けるように対角線になければならないのです。

日光市では、ほとんど東西からの風が強いわけです。
なので、下記の様な風の流れは、日光市では当てはまらない可能で高いのですよ。

お分かりいただけたでしょうか?

風の流れを考えるという事は、きちんと風配図を活用したりしなければ、自分で都合よく風の矢印描いているだけにすぎません。
勿論、敷地の周辺環境によって変わります。

家を建て替えるのであれば、元々、どこの窓から気持ちいい風が入ってきたのか?などの、体験・経験もきちんと聞き込みしてから設計するのが当たり前の事です。

以前、この辺の風の流れを設計時にきちんと伝えて、ラファエル設計の設計で建てたお客様が、住んでみると、西側の窓とか小さいので、風通しを心配したが、実際はすごい風の通りでびっくりしたと言ってました(笑)

リビング階段からの風通しは「もろ刃の剣」
そこに書かれていたのはこんな感じです。

「2階廊下と1階リビングが繋がっているので冬には冷たい冷気が1階に流れてくる」
というもの。
さらに、住まい手も暖房の効き目を当初から心配していて、
複数の住宅会社から「最近の家の断熱性能であればリビング階段でも寒くない」
と聞いていたというもの。

で、実際住んでみると、冬場は階段から降りてくる冷気が気になり、食事中特に寒さを感じるらしい。
階段入口に扉を付ければよかったと思っているようです。

ちょっとビックリしたのが、冷気対策で、階段入口に「のれん」を設置している。

でも、暖かい季節にはよく風が通るので満足しているらしい。
風の流れより大切な事がすっぽり抜け落ちていますよ
残念な事に、「最近の家の断熱性能であればリビング階段でも寒くない」というかなりの勘違い。

僕は何度も申し上げていますが、ゼロエネルギーハウスや次世代省エネ基準の家って、無暖房では冬は極寒ですからね?
この10年、断熱性能に関する基準は変化してきましたが、悲しい事に、なんら大きな変化はないのですよ。

まず、冷気が降りてくるなんて、ありえません。

そもそも、家じゅう一定温度という設計をしていないのですよ。

下記は同じ間取りですが・・・
左がラファエル設計が提案する家
右が次世代省エネ基準クリアの家です。
無暖房での室温シミュレーションです。
ラファエル設計の家は積極的に吹抜けを採用します。
空気は暖かい方が上昇するので、1階よりも2階の方が室温は高くなります。
上記を見ても分かる通り、特に右側の次世代省エネの家はリビングが2階の方が約2℃高いですよね。
しかし、ラファエル設計のQ1.0住宅は吹抜けの同じ室温です。
1階も2階も、室温にほとんど大きな差が無いのがお分かりで頂けますでしょうか?
冷気が降りてくるとか暖房効率が悪いなんて話は出てこない
ラファエル設計のQ1.0住宅であれば、無暖房でも快適な室温が保たれます。
吹抜けがあるから暖房効率が悪い?
そんな話は出てきません。
下記はさきほどの室温シミュレーションでの年間の冷暖房費です。
24時間連続運転です。
年間約1万円です(笑)
家づくりはバランス
家づくりというのは、風の流れを考えたらすごい設計をしてもらった!とはなりません!
凄い高断熱住宅を考えてくれた!と思っても、窓が小さかったりしたら、通風の気持ちよさなんて皆無です。

これからの住宅設計には、省エネの設備を沢山つけて、太陽光で相殺しましょうなんてふざけた事をやっていては駄目だと思っています。

これから電気代ってどんどん上がり続けていて、売電価格も安くなっているので、どちらかというと、売電とかよりも、蓄電して、自分の所で使おうという動きになってくると思います。

如何でしたでしょうか?

僕はいつも同じような話のブログを書いていますが、皆さんに大切な家づくりがどんなものなのか?というのを分かって欲しいのです。

現在、年間の光熱費が20~25万かかっている人が、今の時代の家を建てればもっと安くなるという勘違いをしている人が殆どです。
それは、ハウスメーカーも、工務店なども含めてです。

光熱費は殆ど変わらず、18~25万って感じではないでしょうか?

去年、ラファエル設計のダブル断熱で建てたお客様は、年間光熱費13万でしたね。

月々1万ちょいの光熱費です。

 

家づくり日々勉強ってメルマガ・・・

かなり間違った方向へ進ませてしまう可能性もあるので、配信している人はもうちょっとよく勉強した方がいいと思っております。

2018年03月25日