毎日朝型まで仕事。設計の仕事はブラック?
先月から、朝方まで仕事をするのが増えています。
何だか、設計事務所に勤めていた時代に戻っている感じがします(笑)
4月に入って、建築士を夢見る学生さんたちに伝えたい事があります。
『設計事務所は、基本的にブラック企業です』
ただ、そう思うかは気持ちの問題でもある。
僕は、勤務時間がきついから設計を辞めたいと思った事は、一度もありません。
設計事務所は、基本的に初めの2年は修行という感じもあります。
どの辺がブラックかと思う基準としては・・・
・残業代出ない
・勤務時間がたまに24時間
・新卒の場合、給料が手取りで6万~12万くらいだったりする
大学卒業してから、県内の設計事務所に新規採用の電話をそれなりにしましたが、6万だったらいいよ!とか、
10万くらいとか・・・
10万くらいなら、実家から通わないとまず無理でしょって感じですよね(笑)
6万とか・・・
PIZZA-LA(当時バイトしてた)でバイトした方がましだわ!!って感じでした(笑)
東京に就職した友人でも、15万~16万って言ってたかな。
設計事務所で働いて貯めたお金はね・・・
車検で消えるんですよ!!(笑)
大学の時、設計事務所に入りたい人は・・・
寝る前に『ドラフター』に座らないとダメなくらいに図面描くのが好きな人
じゃないと、面接しないように!と言われた記憶があります(笑)
今や、コンピュータで図面を描くCADといわれるソフトで図面は描くので、昔に比べたら遥かに楽だと思います。
でね・・・
これからの設計事務所にはこんな人たちに分かれます。
・最新のCADソフトを操作出来ないが、知識がとてもある人
・CAD自体、ほとんど触れず、役職・地位が上の人
・CADなどの操作がかなり得意だけど、知識が全然ない人
・それなりに全て網羅している人
忙しい設計事務所の場合、誰かの下につく場合でCADオペみたいな役割の場合、ソフトをバリバリ使える人が重宝されます。
パースなど、プレゼンが強い人は、コンペなどの時に重宝されます。
重宝されるという人は、頼りにされているかもしれませんが、単に使われているだけになります。
つまり、「ただ忙しいだけ」状態になるのです。
学生の時は、設計事務所に就職して、デザインのある建物を沢山設計したいと思うはずなんです。
しかし、現実とのギャップが生まれます。
例えば、日影の計算、天空率の計算など、特定の事が他より出来るけど、新人の場合、その辺の技術は評価されない事が多いのではないでしょうか?
一生懸命、図面を描くのを人一倍頑張ったとしても、それが毎日23時までやってる新人と、18時で帰宅する上司。
完成したら、その頑張った新人くんが、会社から、上司と同じ様に評価されるのであれば、新人君は忙しくても、その仕事に誇りを持てるかもしれません。
上司はなにもしなくて、図面もほとんど描かなくて、出来たら自分の手柄・・・
これは世界の巨匠たちはそうかもしれませんが、一般の会社でやっては、その上司は「大先生」と呼ばれます。
大先生とは、馬鹿にした呼び方です。
設計事務所は、この時代・・・
ソフトを如何に使いこなせるか!
ここに評価ポイントを置くべきです。
これからの時代、知識だけあって、置物のような人より、知識が多少なくても、それ以外では他の人を凌駕するような人が必要とされる時代な気がします。
経験がないから給料が安いという、『悪しき習慣』が続いていたら、建築士を目指そうとする人なんていなくなります。
建築士というのは、医者の役割と同じです。
医者には内科医、心臓外科医、脳外科医などなど、専門職で分かれているように、建築士にもそういった分類があります。
1級建築士にはすべての知識が必要ですが、1級建築士の試験に、木造の内容はあまり出題されません。
つまり、2級建築士の方が、木造住宅を勉強しているという事です。
1級建築士でも、自分の家を設計出来ない人もいます。
資格がなくても、経験が何十年もあるので、大きな建物でも設計出来るという人もいます。
建築士にも・・・
木造が得意な人
鉄骨が得意な人
鉄筋コンクリートが得意な人
構造設計専門の人
設備設計専門の人
電気設計専門の人
実際には、色々専門職みたいな感じに分かれています。
栃木県の場合、建築士の資格って、大変な思いして取得しても、資格手当で1万円とか2万円、多いところで一級なら3万って感じでしょうか。
今の一級建築士の試験は、学校に通わないと、大学卒業して、初受験の場合、合格はまず無理でしょう。
凄く勉強して、お金を掛けても、それに見合った分の評価は、直ぐには返ってきません。
今、総合資格という学校ですと、「学科+製図試験」のセットで90万くらい行きます。
勤め先で資格手当3万つくなら3年で元は取れますね。
超大手は、もっともらえると思いますが、地方の設計事務所なんて、そんなものではないでしょうか?
一級建築士、二級建築士って、設計事務所に勤めている場合は、自分にとっては資格手当以外に、メリットはあまりないんですよね。
1級と2級の差は、設計・監理が出来る規模、が違うだけです。
設計事務所の場合、その事務所自体で1級登録をしていれば、無資格のベテランさんだって、ばんばん設計・監理してますからね。
1級を取ったからと言って、いきなり仕事が出来るようにならないのが設計の実務です。
今の1級建築士の試験は、正直実務と関係ないような歴史とかばっかり出題されますからね(笑)
試験は試験です。
実務でやってる事と違う部分も多々あります。
いずれにしても、設計事務所は、朝までやるのが結構普通だったりします。
そうしないと、色んな図面を描き終わらないのが現状です。
残業代だって出ない所が多いのではないでしょうか?
とにかく、設計という仕事は、「経験」が必要です。
「資格」は、自分の名前を出して、自分に責任の発生する仕事を自分が請け負う為に必要です。
会社から給料をもらうのであれば、本来、資格は必要ないのが現状です。
「経験」は、とにかく必要です。
やはり、「気づき」というものが、ただ図面を描く力があるだけでは備わらないです。
詳細な図面を描くほど、「施工図」levelの知識が無い限り、描いた図面は「絵」で終わります。
要は、「絵を描いただけだから、細かい部分は現場の方で考えて、納めてね~」という状態です。
設計の仕事は、正直つらいです。
自分の働いた分、報酬が欲しいと思う方は、絶対に設計の道に進まない方がいいです。
夢を潰したいわけではないですが、現実がそうです。
「とにかく設計が好きでたまらない」
という人以外は、進むべき仕事ではありません。
30歳超えて、ある程度の役職がついて、月の手取り¥25万前後って、どう思いますか?
多分、20万前後の人だっていますよね。
将来、独立を絶対に考えている人で、修行させてもらって、給料ももらえるなんてありがたいと、50%くらいの気持ちがないと、設計は無理です(笑)