自立循環型住宅研究会の関東ゼミ第2回目

先日、タイトル通り、

自立循環型住宅研究会の関東ゼミの今年2回目のセミナーというか、勉強会でした。

 

講師は、第1回目に続いて野池政宏さんでした。

今回の勉強内容というのは・・・

感想から申し上げると、『最強に面白い!!』でした。

 

ネットでも話題になっていますが、24時間エアコンか、ON/OFFを繰り返す、間欠運転どちらがいいのか?

床下エアコンについて、などなど・・・。

 

結構、ラファエル設計のブログやQ&Aでも書いてる内容でしたが、世界の論文などを追っかけて、導き出している野池さんの結論というか、お話は、とても興味深く、面白かったのは間違いないです。

 

何処かで、レポートを書こうかと思っています。

 

ただ、再認識したというか、本当に当たり前の事と思ったのが・・・

ネットの情報というのは、『伝言ゲーム』であるという事です。

しかも、『途中で間違えて伝わるパターン』です(笑)

 

例えば「24時間連続運転の方がいい」という話は、『冷房に関して』という前提がある。

それが何処かで抜け落ちているのが現状です。

 

エアコン24時間運転が良いか?という話は・・・

・健康を第一に考えるのか

・エネルギーを第一に考えるのか

・快適性を第一に考えるのか

という論点で、全く違う回答へ導かれる。

 

ラファエル設計では、24時間運転でも、年間の冷房費が1万円台とか2万円台という家づくりを目指します。

ただ、これは、「24時間運転でも・・・」「これだけ安いのですよ」

というものをお見せする為です。

そもそもエアコン自体が稼働しないのなら、エネルギーは0という事です。

24時間運転よりも、エネルギーは使わないし、光熱費はUPしないです。

で、これが、「我慢」をしてエアコンを使わないのか?という視点になります。

ラファエル設計の家づくりは「我慢」をしません。

つまり、住まい手にとっては、「快適」という要素もプラスされる。

 

例えば冬場にエアコンを極力使わないのであれば、「過乾燥」についても防止できる。

乾燥が防止できるという事は、「喉」をやられる事もなくなる。

寒さを防止できれば、冬のヒートショックを防止できる。

 

ちなみに、このヒートショックというのは、50歳を過ぎると防御力が落ちているので、受けやすくなります。

30歳で家を建てたら20年後には、今より生死と隣り合わせの状況が生まれるのです。

安さ勝負の家づくりをすると!

 

いずれにしても、家についての快適性とか温熱の話というのは、色んな引き出しが合って、キチンとした論点の説明が出来ると思っています。

何事にも、『前提条件』というのが重要なのです。

 

ちょっと突っ込んだお話をしましょう!ちょっと特別に(笑)

これからする話は、セミナーでも細かく話されていない内容です(笑)

 

良く、高気密高断熱の家にすれば「快適になる」と思われる方がいますが、半分間違ってます(笑)

これも以前、触れた事がるのですが・・・

快適性の目安となる指標があるのはご存知ですか?

これはプロの方でもあまり知らない事なのですが・・・

PMVとPPDというものがあります。

 

PMV「予想平均温冷感申告」
「予想平均温冷感申告」という意味です。

はあ!?という感じだと思いますが、一級建築士試験でも頻繁に出てくる単語です。


『一級建築士試験問題』
Q【新有効温度ET*は,人体の熱負荷に基づき,熱的中立に近い状態の人体の温冷感を表示する指標のことである】
A:正答×【PMVは,人体の熱負荷に基づき,熱的中立に近い状態の人体の温冷感を表示する指標のことである】が正しい文言です。

さらに・・・

Q【PMVは,空気温度,平均放射温度,湿度,風速,着衣量,活動量をもとに,ある条件下における個人の温熱感を評価する指標である】

A:正答×「個人の温熱感」って所が誤りです。大人数を対象にして、快適かどうかの判断をする感じです。
温熱感を・・・
非常に寒い(-3)
非常に暑い(+3)
の範囲の数値で表します。

例えば100人を対象として・・・
不快を訴える人を【予測不満足率】という言い「PPD」で表します。
PPD【予測不満足率】
PPDが全体の・・・
99%(100人中99人)になるとPMVは【3】
75%(100人中75人)になるとPMVは【2】
25%(100人中25人)になるとPMV【1】

って感じです。
PMVが1か2か3でどれくらいの人が不満を訴えるか分かる
PMVは・・・
「1」だとそれなりに暑いか寒い人の割合が多い
「2」だと結構暑いか寒い人の割合が多い
「3」だとほとんど全員が暑いか寒いを訴える
という事になります。

これも一級建築士試験でも出てくる問題ですが・・・

Q【ISO(国際標準化機構)ではPMVによる快適範囲として、-0.5<PMV<+0.5を推奨している】
正答:〇
となっています。

さっきのグラフ拡大です。 ISOでの快適範囲は・・・

PMV-0.5~+0.5の範囲で
PPD=10%って事になります
目指すべきPMVは?
つまり・・・
温冷感(PMV)が、暑いか寒いかが「どちらでもない(+0)」は
PPD=5%ですから・・・
目指すべき温熱環境というのは、どちらでもないという・・・
何も感じない
という環境が、大人数に対しては「快適」となる。

またまた一級建築士の試験問題
【予測平均温冷感申告(PMV)は、主に均一な環境に対する温熱快適指標であるため、不均一な放射環境,上下温度分布が大きな環境及び通風環境に対しては適切に評価できない場合がある。】
正答:〇

つまり、エアコンや扇風機の風が人によってばらばらに当たるような環境や、局所不快感の限界温度4℃を大きく超えているような環境では、PMVは適切に評価出来ないという事です。
家での様子を思い浮かべてください
奥様は、家事をしている

旦那様は、寝ながらスマホゲーム

子どもは、トレーニングしている

この人たちが、真冬に同じリビングの25℃の室に「ユニクロのヒートテック着用」でいたら、どう感じますか?

奥様は若干暑いと思います。
旦那様は、丁度よく快適だし、独りだけ楽しいと思います(笑)
子どもは汗だく過ぎると思います。

つまり、体型や体質でも違ってきますが、高断熱の家を造ればそれが「快適」となるかは、自分がどんな状態か?によって、その時で人それぞれなのです。

例えば「暑い」と感じた時、窓を開ければ「気持ちいい」と感じるのか・・・それは、窓の設計までしっかり把握できているのか?という事にも繋がります。

これが、窓が弱点だからと言って、窓が小さい、少ないという家では、通風による気持ち良さを感じる事が出来ないかもしれませんよね。

室内環境においては、快適かどうかを評価するのにこういった事が『前提条件』によって全く異なる回答になると思いませんか?
住まい方
暖かい・涼しいという事をうたうのは簡単ですが、1月~12月まで、その季節によって、どのような住まい方をすれば「快適」になるかは、そういった快適となる設計をしているか?という事になります。

なので、『快適』という事を、何の根拠もなしに一番に豪語するのは、ナンセンスだと思っています。

『快適』というのは、人それぞれの発汗量が違いますので、「何も感じない」という空間がよいとなるわけですが・・・
その何も感じないという空間というのは、「着衣量で調整できる」という事が大切になってきます。

 

という事で、今回のセミナーは、これらの事を思い浮かべながら受講できましたね。

皆さん、ネットで色んな情報を集める事は、今の時代、とても簡単ですが、それらが正解なのか・間違いなのかというのは「多数決」によって、自分が調べ上げたデータで同じような考えの人が多ければ、それが正しい考えと思っていませんか?

正直、私の様な説明や考えを述べられる人は、少数派だと思うのですよ。

そうすると、ラファエル設計のホームページに書いてある内容と、他のデータを集めたら、間違いなく僕は少数派になると思うのですよね(笑)

そこで、僕が間違った事を言っているのかと判断するのは、それはおまかせ致しますが・・・

初めに申し上げた通り、他で調べているものは『伝言ゲームの間違った断片』かもしれませんので、それはご注意願いますね(笑)

2018年05月24日