病院で熱中症5人死亡。エアコンのせいだというのか?
病院で熱中症5人死亡のニュースが取り上げられていますね。
しかし・・・エアコンのせいだというのか?
完全に、建物の断熱性能のせいです。
古い病院などの場合、鉄筋コンクリートの建物が多いだろう。
学校なんかも、基本は鉄筋コンクリート。
3階以上のマンションも基本はコンクリート。
デザインマンションとか、デザイナーズマンションとかで、鉄筋コンクリート打ち放しの室内にしている設計者とかいますが、完全に温熱の事なんて無知だって証明している感じですよね。
もし、住宅で鉄筋コンクリート打ち放しにしているなら、これはちょっとヤバいです。
夏は暑く、冬は冷たくなったコンクリートに熱が奪われて、コンクリートがお腹いっぱいに熱を蓄えた後に、室内が暖まってくる。
ラファエル設計は、結構しつこく言っているつもりですが、「熱中症」というのは、屋外よりも、屋内での発生が圧倒的に多いのですよ。
- 熱中症
- 熱中症は、外よりも夏の家の中で起きます!
東京都福祉保健局 東京都監察医務院のデータ
平成27年の熱中症死亡者数(死亡場所別)によると・・・
「7月」
屋内:43人
屋外: 5人
「8月」
屋内:50人
屋外: 3人
圧倒的に室内の方が危険です!!
屋内で亡くなられた方の90.3%はクーラーを使用していなかったのが原因です。
高齢者や女性の方で冷房の風が苦手な方は多いように個人的には思います。 「省エネ」という事で室内の温度を高めに設定していますが、完全に自殺行為だという事が分かっていません。
皆さん、卓上扇風機などを使用しているし、正直意識がもうろうとしますよね。
クールビズとか取り組んでいますが、まさに「我慢」して省エネという現状ですよね。
25℃が一番快適に作業できる環境のようです。
ちなみにですが、日本の家は、交通事故で死ぬ確率より、数千万も出して買ったその家の方が、圧倒的に死ぬ確率が高いのですよ。ご存知ですか!?
昨日、栃木県庁で住宅性能のセミナーがあったのでCPD単位を取る為に受講したのですが、住宅政策に係わる課の人達に、栃木県は冬の死亡率全国1位なのを知っているか聞いた所、「知らなかった」という答えでした。
交通事故による死亡者数は96年頃から2015年まで右肩下がりで約14000人から約4000人くらいまでの約1万人も減少しているわけです。
しかし、家庭内の不慮の事故では96年から右肩上がりで13000人以上・・・
交通事故での死亡者数より3倍以上も多いのです!!
「いってらっしゃい!気をつけて!」と我が子や旦那様を送り出す奥様が、一番デンジャラスゾーンにいるという事です。
「いってらっしゃい!気をつけて!」と言われた人は「貴方がね!」という返しが出来るくらいの話です。
皆さん、住宅展示場とかに行って、「床暖房」を迷われたり、標準で付いている会社に「魅力」を感じるようですが、これは基本的に、自分たちの造っている家が、床暖房がないと寒いと言っている事に気づいて欲しい。
一条工務店は、つけなくてもいいけど、つければ文句言われないという考えのもと、つけているようですが、床暖房って、電気代高くなるから2年目から付かなかったりするんですよね。
「夏涼しく、冬暖かい」っていう家も、思ったほどではないとかね・・・。
もう、こういった話って、ギリシャ神話に出てくる「セイレーン」のようなもんだと思っています。
セイレーンは、上半身美女で下半身が鳥の怪物で、海を航海中の人々を美しい歌声で魅了して、遭難させたり、食い殺すというやつ。
冬の日射取得&夏の日射遮蔽が出来ないのに、UA値が低くて良い数字の為、「夏涼しく、冬暖かい」って言えちゃう。
かたや、「床暖房で暖かくなりますよ」って言えちゃう家たち。
何も知識がない人たちからすれば、セイレーンという名の営業トークが美しく魅了されてしまい、買ったはいいが、電気代がかかる、冬寒いという、光熱費難民・騙された状態難民の人達が大勢いるのですよ。
とにかく皆さん、家の性能に着目する人はかなり少なく、学校でもそうですが、エアコン設置が急務というより、建物の性能をUPさせる事が急務だと思うのですがね。
ただ、昔ながらの学校は、内断熱にすると廊下の幅が基準法違反になってしまうので、やるなら外断熱になるかと思いますが、これまた結構難易度は高いと思いますよね。
まず、費用の問題があると思いますが、単純に外断熱にすると、窓が夏も日射ガンガン入りますので、夏は多分サウナになります。
僕の実体験ですが、周りが畑や田んぼのような立地の学校なら結構風入ってきて気持ちいいです。
夏休みに、かなりの棟数の耐震診断・耐震補強・老朽度調査の為の現場調査をしましたので、体験済みです(笑)
家もそうですが、冬の日射取得と夏の日射遮蔽はセットで重要事項なのですよね。
じゃあ、窓も一緒に改修すればいいじゃん!って思いますが、鉄筋コンクリートについている窓は、簡単に取り外しが出来ないので「カバー工法」という方法で金額が高い方法を採用しなくてはなりません。
なので、エアコンを取付けた方が、現状打開という観点からすると、妥当ではあるのですが、エネルギー削減にはならないですよね。
結局ね、昔の負の遺産を、現代の人達がお金負担して、どうにかしなくてはいけないのですよ。
しかも、死亡者まで出す事態。
「建築」って物に対して、「未来」の事を考え、「未来の人達」に「今の時代に自分達が守っているものを託す」という事をしているのって・・・
「林業」だけだと思うんですよ。
木造住宅は、50年とか60年以上経った樹齢の木を使わせてもらっている。
木の持つ命のバトンですよね。
そんな大切に育てられてきた木を使うのに、その木を使った家なのに、交通事故死亡者数よりも多い、危険な家を造ってきているんですよ。
高断熱高気密の家というのは、「寿命」も長くなるのです。
50年、60年以上の木を使わせてもらう以上、使って出来た家も、同じ年月以上持たなくてはダメというか、我々が持たせる設計をしないといけないんですよ。
いずれにしても、今のこの時代、異常気象も頻回に起きているこの時代に、昔から建っている建物は、完全に合っていないのですよ。
ベストマッチしていないんですよ。
40年以上も前に、地震で倒れて死亡者多数で問題になった「塀倒壊問題」が、今のこの時代にも平気で見過ごされ、平気で新たに建てられている。
この程度の意識の低さなのですよね。
何か問題がないと動かない。
起こりうる問題を回避しようとすると、「確率論」で片付ける。
設計者というのは、「人の命を守る為の仕事」なのです。
これを学校で教わった人はどれだけいるだろうか?
僕は、高校で初めに建物に問題があったら逮捕されるのは設計者という事を聞いた。
これを聞いた時、命に係わる仕事をしようとしているんだなと思いました。
ラファエル設計は・・・
温熱の観点から、命を守る為に、Q1.0住宅を造ります。
地震の観点から、耐震等級3+制振装置の家を造ります。
その上で!命の基本仕様である上記を「標準」と考え・・・
アレルギーの観点から、自然素材の家を造ります。
そして、地球環境の為に、「脱炭素・超低炭素の家」を造ります。
「設計料」というのは、こういった考えをする為に、いただくものでもあります。
ラファエル設計は、間取りなどもしっかりと使いやすいものを考えますが、まずはこの「命の基本仕様」を理解していただける方のみ、依頼を受けます。
値引きなどの安さ勝負の仕事は、しようとも思ってませんし、そういった仕事を取りに行く事もしません。
家づくりをスタートさせた皆さま、もう一度、家づくりにはどんな事が大切なのかを考える時間を造りましょう!