これでダブル断熱だと!?ふざけんな!
朝から、面白い内容というか、怒りを覚える内容が大工さんから広告(チラシ)の写メが送られてきました。
アホか!
こんなふざけた広告に騙されない為に、全てにおいて突っ込んでやる!!
まず・・・
- 「超贅沢なW断熱」
- W断熱とは「充填断熱+外断熱」のダブルで断熱という事。
内容を見て見ると・・・
充填(内側)は吹付け断熱で、外側が「外反射断熱」・・・
ん?「外反射断熱?」
ん?「だから涼しい!?冬は!?」 - 外反射断熱
- 衝撃の・・・
「タイベック!!(;´Д`)」
タイベックとは、外壁を張る前の、「防水シート」です。
正確には「透湿防水シート」
湿気は通して、雨水は通さないという役割を担います。
湿気を何故通すのかというと、「結露」を防止する為ですね。
タイベックは、新住協の鎌田先生が世に広めたものでもあります。
で、今回は正確には「タイベックシルバー」
次で説明します。 - タイベックシルバー
- 皆さん、これまでの説明で「タイベック」とは、「シート」であって、「断熱材」ではない事が何となくイメージ出来たと思います。
「タイベックシルバー」というのは、上記のタイベックの性能そのままに、「遮熱」効果がプラスされたというもの。
で、まず初めに言いたいのが、遮熱効果がうんぬんよりも、こんなペラペラなシートが「断熱材」じゃね~~んだよ!!って事です。
メーカー含めて、実験結果を出してますが、これについても解説してあげますよ。
↓メーカーHPでもタイベックシルバーについてこんな検証実験結果が載っている。
まず、一番の突っ込みどころは、「グラスウール10kg」
これは、階段部分とか、上下階の防音的な部分に使うレベル。
ハウスメーカーとか、そういった部分に使ってるんじゃないですかね?
ラファエル設計は「高性能グラスウール16kg」を使っています。
外壁に普通のグラスウール10kgとか、使っている会社あるのか!?って感じです(笑)
グラスウールは、重さによって断熱性能が高くなるとイメージしてください。
次に、方位が何℃振れているかは分からないが、写真は「北東面」らしい。
2棟の燐棟間隔も不明ですね。
タイベックシルバーは、下記の様に夏場は外壁に当たった熱を、室内に伝わらないよう(低減)にするようだ。
まあ、当然冬だって同じですよね(笑)
でね、よく考えて欲しいのは、室温が2℃高くなっているという事。
ラファエル設計のHPでも説明している事ではあるけど、室温を上げる要素というのは、下記である。
- 外気温
- 生活熱
- 日射熱
- 暖房熱(エアコンなど)
これらが合計されて、室温を上げる事になる。
日射熱というのは、窓ガラスからによるものです。
でね、もう一度見て見よう。これって、まず条件が「同一仕様」
つまり、窓は同じという事。
それなのに、2℃高くなっている。
PM13時。
方位が分からないけど、北面と東面に直射日光が当たっている事は、あまり考えられない。
しかも、北面(多分)の壁表面温度が高い。
何故だ?
つ~~か、こんな近距離の測定ポイントで2.5℃も違うとか、「超低断熱仕様」の特徴です。天井と壁がぶつかる所が、右の画像は黄色ではなく、緑になっている。
ここが「熱橋(ヒートブリッジ)」という事。
高断熱住宅なら、こういった色変化は見られても、2℃も違わない。
これを見ただけで、「タイベックシルバー」にほとんど、断熱材としての効果がない事が理解出来る。
つまり、 - ラファエル設計のW断熱住宅(Q1.0住宅仕様ではない)
- 黄色い部分のSP4と青い部分(柱が見えてます)のSP3のポイント。
それぞれ23.5℃と23.2℃です。
熱橋部分になるような所でも、熱橋(ヒートブリッジ)になっていない事が証明されますよね。 - では、「従来製品の住宅」と「タイベックシルバーの遮熱住宅」、何故タイベックシルバーの方が表面温度が高いのか?
メーカーHPを見て見ると、冬場は「屋外への熱移動を低減」と書いてある。
これも当然夏だって同じ。
まあ、これから推測します。
熱移動を低減するという事を、全面的に否定はしません。
でも、上記の様な図が成り立つのは、低スペックな断熱材の場合ですよね?(笑)
本物のダブル断熱なら、上記の図の様な感じにはなりません。
「従来の住宅」も「遮熱住宅」も、低断熱住宅という小者同士の対決なんだけど、窓から入った熱が、壁からは「従来の住宅」より「遮熱住宅」は逃げていないから表面温度は上がっているけど、コーナー部分の「熱橋(ヒートブリッジは)」による熱損失は、ほとんど抑えられていないという事。
下記写真の10.1℃と13.2℃の所ね、。
下記を再度見てもらいたいが、熱橋部分(コーナー部分)と他の天井・壁面の表面温度との差は
「従来の住宅」も「遮熱住宅」もほとんど変わらない。
つまり、同じくらいの熱損失があるという事。
つまり、遮熱シート(タイベックシルバー)に断熱効果はないという事が言える。
室温が上がっても、損失が変わらなければ、いづれ0℃に近付くのは早いという事。- この検証結果でわかる事。
-
- 断熱材がグラスウール10kgという、断熱材の役目にもならないような仕様である事。
- 断熱材がしょぼいという事は、「熱」を通しやすいという事。
- 遮熱シート(タイベックシルバー)に断熱効果はないという事。
いいですか?
高気密高断熱住宅というのは、上記の様な「熱橋(ヒートブリッジ)」をいかに無くすか?を考えるのです。
熱橋を無くすには、遮熱シートでは役不足だという事です。
断熱材にはならないのですよ。
高いお金出して、全く効果が無いのですよ。
遮熱シートにかける分のお金を「断熱材」に回すのが、どれだけ住まい手の為の設計か。
つまり、費用対効果が低いという事なのですよ。
そして、遮熱シートを使った家がW断熱なんてありえないし、そんな事を言ってる時点で、
「私はなんの知識もありません」
と宣伝しているようなもんです。 - これは夏しか言ってない
家というのは、「夏」と「冬」と「春・秋」を考えるのです。
断熱という観点からは、「夏」と「冬」になるのですが、多くの会社はどちらかにしか、重点を置けません。
一般の人もそうですが、高断熱にすると、「夏場が暑い」を想像するのです。
日中、冬の場合は「日射」という無料の暖房機がありますが、夏は、冷やす為のものが「エアコン」しかありません。
なので、夏に日射が窓から侵入してはいけません。
冬は窓から侵入させて、夏は侵入させない。これがとても大切であり、両方考える事が出来ないのが多くの会社です。
では、ラファエル設計の夏のQ1.0住宅を見て見ましょう。
ちなみに、パッシブエアコンを入れているのですが、今年の夏、エアコン設定温度を殆ど27℃以下にしていないと言っていました。
下記は外気温が29℃ですが、外気温35℃でも快適だったようです。
- 2Fサブリビング&廊下&子供室入口
- 外気温29℃
エアコン設定温度27℃
各部分の表面温度25℃台
カメラの中で、温度差が無いと一面同じような色になります。 - 1Fキッチン・ダイニング
- 外気温29℃
エアコン設定温度27℃
各部分の表面温度26℃台
※窓のガラス部分は約28℃
窓部分と温度差があるので、天井面などは青くなっていますが、窓ガラス部分約28℃に対して天井面は26.5℃くらい。 - 玄関の床と玄関ドアの枠とガラス部
- 外気温29℃
エアコン設定温度27℃
各部分の表面温度25℃台
ガラス部分が28.6℃
枠下27.5℃ - 玄関上部
- 外気温29℃
エアコン設定温度27℃
各部分の表面温度25℃台
ガラス部分が29℃
枠上29.9℃
如何ですか?
遮熱シートなんて使っていません。
玄関ドア枠とか窓枠は流石に壁とかと同じ温度にはなりませんが、床・壁・天井の表面温度はほとんど変わりません。
これは、本当のダブル断熱により、コーナー部分とかの「熱橋(ヒートブリッジ)」を徹底的に防いでいるからです。
- 究極のウレタン吹付けとか・・・
- 何が「究極」なんだよ・・・。
まあ、熱を通しやすいかどうかの熱伝導率は、数値が低いのが高性能なので、ウレタンが他を圧倒しています。
ラファエル設計が採用する「高性能グラスウール」は下記にはありませんが、数値は0.038です。
じゃあ、ウレタンの普通家と高性能グラスウールでのW断熱住宅、室温の違いをお見せしますよ。
究極のウレタンが、Q1.0住宅に惨敗する惨劇を目に焼き付けてください。
はい!!
- 高性能グラスウール105+105mm付加断熱(1階)
Q値:1.19
UA値:0.32
- ウレタン105mm充填(1階)
Q値:1.64
UA値:0.50
- 高性能グラスウール105+105mm付加断熱(2階)
Q値:1.19
UA値:0.32
- ウレタン105mm充填(2階)
Q値:1.64
UA値:0.50 - 遮熱シートは貼ってないけど
- 上記のシミュレーションは遮熱シート貼ってないけど、仮に2℃上がったとしても、Q1.0住宅には勝てませんよね。
Q1.0住宅という「究極」の住宅を知っている人からすれば、究極のウレタンとか言わないし、
遮熱シートが「究極の断熱材」とは考えないわけです。
ウレタン+遮熱シートでW断熱とか・・・
詐欺に近いと思いますよ。
定義は無いですが、「言ったもん勝ち」状態と言えます。
ダブル断熱をする目的は、繰り返しますが「熱橋(ヒートブリッジ)」を防ぐことです。
ダブル断熱は付加断熱とも言いますが、下記の様に、断熱材を付加しないと、柱や間柱などから熱が逃げたりする訳です。
それを防ぐのが、ダブル断熱。 - そもそも、断熱材選びとか、断熱材だけで性能を図るのが間違っている
- よく、断熱材の性能だけを見て「高性能」と考えるのが間違いです。
そんな事を説明する会社がいれば、依頼するのは即刻辞めた方がいい。
致命的です。
実際の「家」で考えた場合、例えばW断熱ではない場合、
外壁であれば・・・
外壁材+タイベック+構造用合板9mm+断熱材+石膏ボード12.5mmという構成になり、
断熱材の部分が「ウレタン」なら熱貫流率U値は0.32となり、
付加断熱の高性能グラスウールなら熱貫流率U値は0.2と、圧倒的に勝ちます。
単純に、屋根とか窓とか外壁とか基礎とかのU値が全て0.32なら、UA値は0.32となります。
逆に、屋根とか天井の断熱材が155mmしかなく、屋根のU値が1.0ならその家はUA値0.46となります。
つまり、断熱材だけで家の性能は決まらないって事なのですよ。
実際の住まいは、そんな数値だけでは推し量れません。
なので、今回のチラシは「究極のダブル断熱」と解釈する人が必ずいると思うのです。
僕からすれば、同業者として「恥」です。
ハッキリ言って「恥」です。
こんな、なんちゃってダブル断熱とQ1.0住宅のダブル断熱が「同じダブル断熱」という括りになってしまうのかと思うと、怒りさえ覚えますよ。
皆さん、車の遮熱シート使ったことあります?
あれ使っても、全然車内は暑いですよね?
それは、リアウィンドウとかサイドウィンドウは遮熱シート設置してないからです。
- 超贅沢な「W断熱」とか・・・
究極の勘違いです。
大して効果もない工法のくせして、住まい手から高価なお金もらって、贅沢しているのはお前らだろ!
って感じです。
「遮熱効果」に関しては別に否定しません。
ラファエル設計も屋根には「遮熱タイプ」を選定してたくらいですから。
でも、遮熱塗料とか含めて、「遮熱」と「断熱効果」は全然違うのですよ。
遮熱が優れていれば断熱材なんて不要!という人がいますが、これは間違っています。
と僕は思います。
メーカー含めて、色んな検証するのは自由です。
しかし、それが今の住宅の工法に合ってなかったり、その商品の効果が絶大というような宣伝は、止めた方がいいと思うのですよ。- ダブル断熱なら夏涼しいの勘違い
基本的にW断熱って、「外壁」の事言ってます。
下記を見ていただきたいですが、夏は、外壁などの「鉛直面」より、圧倒的に屋根などの「水平面」に日射が大量に当たるわけです。
水平面って書いてあるもの以外は鉛直面の事です。
つまり、屋根面・天井面の断熱材の厚みを155mm程度では、2階は殺人的な暑さになるという事です。
ラファエル設計は以前セルロースファイバーの200mmにしていましたが、現在300mm入れています。
つまり、夏はチラシのようなW断熱にしても、「だから涼しい」には絶対ならないのですよ。
絶対に!です。
屋根面の下地に、この遮熱シートを使えば、意味がないとは言いませんが(本当はいいたいけど)、ラファエル設計のQ1.0住宅なら、使う必要がないという感じです。
外気温30℃以上ある日でも、天井点検口から小屋裏に顔出しても、全然暑くないですから。
屋根面からの表面温度を測れば、そりゃ効果絶大に撮影できると思いますが、基本的に、遮熱シートを「究極」とか言って、「贅沢品」だというのは違うんじゃないかなと思いますよね。
まあ、使いたい人は使えばいいんじゃない?と思いますが。
がしかし、使うのはお客様のお金ですよという事は忘れないでくださいね。- 断熱材含めて、すべてはアイテムの1つでしかない
- 家というのは、色んな建材が集結して、出来上がります。
なので、断熱材とか遮熱シートも、その一部でしかないのです。
良いものも、適材適所という考えのもとに使われなければ、本来の性能を発揮出来ません。
高価で性能が良いのもを使わなくても、安価なものを組み合わせて、高性能で良いものよりも高性能に変身できるなら、そうするべきだと思っています。
そもそも、「タイベック」は透湿防水シートとして、絶大な信頼度があります。 - まとめ
- 今回は、タイベックを否定するものではなく、「チラシの内容」を否定しちゃってます。
超贅沢なW断熱とか・・・
そんなわけあるか!!
断熱シートを断熱材と一緒にするんじゃね~~!
「だから涼しい」わけね~~だろ!!
ってのが結論です。
ダブル断熱というだけで、
「冬暖かく、夏涼しい」
と思っちゃう所が、多くの会社が勘違いしている事です。
皆さんも、気をつけてくださいね!
って言っても、簡単には判断つかないと思いますが・・・
僕の様な立場の設計事務所に設計・監理を依頼せずに、自分達で工務店に依頼する場合、自分達が工務店以上の知識を得なければ、真実は闇の中です。
嘘情報であふれたネット掲示板で、多数決の意見を探して、自分で納得するしかありません。
家づくりというのは、一般ユーザーの自分で「素人」と思っている人が、ネットで得た知識で、出来るほど、簡単なものではないのです。
今時、ビー玉が転がるような欠陥住宅を造っている会社なんて、まず無いと思います。
それよりも問題なのは、勘違いによる、実際は高断熱でもない「温熱欠陥住宅」が沢山建ち始めているという事。
優良工務店か見極めるのに、UA値、Q値、C値を聞く事をおススメしていますが、
是非「室温何℃になりますか?」
って質問してみてください。
暖かいですよ!とか涼しいですよ!
と言ってきたら、根拠を聞いてください。
そこで、ウレタン使っているからとか、遮熱シート使っているからという答えだったら・・・
そこで試合終了です。
帰っても問題ありません。
Ua値とかを言ってきたら、日射取得で考えている窓はどれか?を聞いてみてください。
その窓を聞く事が出来たら、その窓には何時間くらい日射があるのか聞いてみてください。
そして、暖かいというのは、「無暖房で何℃くらい、外気温と差がありますか?」と聞いてみてください。
「自然温度差」をしっかり答えられる会社は、任せても大丈夫だと思います。
最後に、はっきり言わせてもらいますが、W(ダブル)断熱を「究極」とか「贅沢」とか言っちゃいけません。
何が「贅沢」なのですか?
それが、当たり前です。
だって、日本の家は下記の様なイグルー(かまくら)よりも室温低いんですから。このイグルーは室温13~15℃らしいです。
暖房を我慢する日本の家は・・・
冬寝る時に、室温14℃で、朝起きる時は10℃以下になるのが「笑える日本の常識」だそうです。
次世代省エネ基準の家が↓です。
1/26日、朝7:00時の宇都宮です。
無暖房です。
まさに、かまくら以下の家。
こんな家づくりが「標準より上」の次世代省エネ基準なのですよ。
ダブル断熱が「贅沢」と思うのは仕方がないかもしれませんが、それを「普通」と考えられないのは、悲しいですよね。
こんな仕様の家しか知らない場合、「吹抜け」だって、暖房効率が悪い、吹抜けがあると寒いって思いますよね。
ちなみに、ラファエル設計のQ1.0は下記(左)です。
右はさっきの上記のものです。
無暖房です。
拡大します。
この室温は、吹抜けが大きく作用してます。
吹抜けが有効に働いているという事です。
Q1.0住宅・・・これが贅沢か!?
ラファエル設計は、「当たり前」に住まい手に届けたい。
皆さんも、ダブル断熱が「超贅沢」なんて思わないでください。
そして、チラシの会社の様に、「超贅沢」と言っていながら、何も理解していないと思われる会社にだけは、家づくりを依頼しない事です。
メーカーの言っている事を全面的に信用して、自分では全く勉強していない人・会社の典型だと思います。
- 高性能グラスウール105+105mm付加断熱(1階)