構造見学会2日間終了

2/23~24で開催していました、Q1.0住宅構造見学会ですが、合計で5組の一般ユーザーの方が見学に来ていただけました。

大体、皆さん1~2時間くらいの滞在だったかと思います。

 

制震ダンパーの説明上映会も開催しました。

 

 

正直・・・

ラファエル設計で依頼されなかったとしても、今回の構造見学会を体験できたことは、しっかりした施工をする工務店に出逢う術を学んでいただけたのではないでしょうか?

自分で言うのもなんですが・・・

今回の様な構造見学会は、中々無いのではないでしょうかね?(笑)

来てくださった方々、ありがとうございました。

一般ユーザの方以外では、茨城の方、練馬の方など、県外からの職人さんも数名、襲来を受けました(笑)

とてもマニアックな人たちですけどね。

 

皆さん、構造見学会より、完成見学会の方が人気があるのは、不思議に思いませんか?

当たり前だろって思います?

 

ちょっと質問します。

貴方はお見合いをします。

相手の方は、顔面偏差値が高ければ、それでよいですか?

 

中身って、重要だと思いませんか?

 

中身が悪い家だと、家族の健康も脅かされるし、何より冬寒くて夏熱いですよ。

 

今回、見学会に来ていただいた方からは、数名から「UA値」などについて、どれくらいなのか?
という質問を受けました。

 

正直、このUA値ってのは、これまでしつこく言ってますが、あまり意味のない数値だと思っています。

 

ラファエル設計は、UA値はどうでも良くて、Q値も別にどうでもいいです。

「重要な数値」としてきちんと認識しています。

では、何故どうでもいいのか?

 

じゃあ、逆に聞きますね?

 

UA値とかQ値聞いてさ・・・

室温が何℃?って分かります?

室温は何度になるか、教えてくれた会社はありますか?


燃費(冷暖房費)がいくらか?って分かります?

燃費(冷暖房費)がいくらか教えてくれた会社はありますか?

多分、こっちはQPEXなどで教えてくれた会社はあるかと思います。

 

下記は、見学者様のおさらいと共に、皆さんに共有できる話をしたいと思います。

 

ラファエル設計は、UA値やQ値よりも、住まい手にとっては、「室温」の方がよっぽど分かりやすいし、重要だと思っています。

何故室温かって言うのは、健康被害に関する基準があるからです。

21℃(推奨温度)
昼間の『居間』の最低推奨「室温」です。
18℃(許容温度)
夜間の『寝室』の最低推奨「室温」です。
16℃未満
呼吸器系疾患に影響あり
9~12℃
血圧上昇、心臓血管疾患のリスク
×5℃
低体温症を起こすハイリスク

(出典:英国保健省 冬季室内温度指針 2010.3及び慶応大学 伊香賀研究室)

 

これらを訴える人は、設計者も含めて、いらっしゃいます。

 

「夜間の寝室の最低推奨室温は18℃です。」

だからUA値0.34くらいの家を目指した方がいいですよ!っていう人がいたら、それはある意味おかしいのですよ。

 

室温とUA値はリンク・比例しないですから。

今回の構造見学会の建物のUA値は0.34、Q値は0.91です。

とってもいい数値ですよね。

下記は、今回の建物の無暖房での室温シミュレーションです。
外気温-6.2℃で朝5:00時です。

 

ここは南側の山の影響でこのくらいしか無暖房で室温が上がりません。

ちなみに、これは「熱交換」を考慮しての室温です。

これが第三種になると下記程低い室温になってしまいます。



これが、一般的な工務店とかハウスメーカーの話としてしてみると・・・

「UA0.34だから、heat20のG2グレードです!栃木の省エネ基準を遥かに超えているから、北海道並みです!かなり凄い数値で暖かい家になりますよ!
だから、熱交換換気なんて不要ですよ!」

って無知な営業とか、もしかすると、普通に少し温熱に詳しいプロの人も、こんな発言をしてしまうことでしょう。

「熱交換換気なんて不要ですよ!」

なんて、室温シミュレーションをした事ない人たちは、UA値だけで判断する訳です。

普段、暖かい家を造っている人は、経験値でそれが発言の根拠となるかもしれませんが、本当の真実というのは、実際に建てる土地にしか存在しません。

敷地の周辺環境だったり、真北の角度にもよる訳です。

 

もっと言えば、外気温にもよるわけですね。

 

暖かい家を造る要素というのは単純に下記です。

外気温
生活熱
日射熱
暖房熱

 

日射熱をしっかり取込めれば、熱交換は不要だったりしますが、やっぱりそれの根拠となるのは、経験則とかではなく、シミュレーションだと思うのですよ。

 

  • 栃木の気温

これ、ほとんどの方が知らない事だと思っていますが、栃木県は、12月とか、外気温が午前と午後は札幌とあまり変わらないのです。

下記は2017年12月です。

栃木の午前中(2017/12/16)
北海道の午前中(2017/12/16)
栃木の夜(2017/12/19)
寒冷地の夜(2017/12/19)

 

 

  • 省エネ区域区分と外気温

現在の日本は、簡単に説明すると、寒さの度合いによって、目指すべきUA値の基準が決められています。

それが下記ですね。

地域区分 地域詳細(一部) 熱損失係数 外皮平均熱貫流率 冷房期の平均日射熱取得率
1地域  北海道(旭川・富良野・釧路・稚内) Q1.6 UA値0.46
2地域  北海道(札幌・苫小牧・室蘭) Q1.9 UA値0.46
3地域  函館・青森・山形・秋田(一部) Q2.4 UA値0.56
4地域  秋田(一部)宮城・福島・栃木県(那須、日光) Q2.4 UA値0.75
5地域  宇都宮(4地域以外の栃木県) Q2.7 UA値0.87 ηA値3.0
6地域  千葉・横浜 Q2.7 UA値0.87 ηA値2.8
7地域  長崎・鹿児島 Q2.7 UA値0.87 ηA値2.7
8地域  沖縄 Q3.7 ηA値3.2

 

で、僕は何が言いたいかというと、こんな省エネ区域区分で、家の性能を決めるなよ!って話です。

家の性能をしっかり考える必要がある根拠として、自分が建てる土地が冬は何℃くらいになるのか?

という事を理解すべきなのです。

 

下記は2018年12月のものです。
解説を入れながら各地の気温をご紹介します。
大きく表示されている数字と、下部に表示されている今後の予想気温も併せて見てください。

北海道釧路市(1地域)超超超寒冷地
北海道札幌市(2地域)超超寒冷地
2地域の札幌ですが、早朝以外のこの0時くらいだと1地域と同じ気温ですね。
函館市(3地域)超寒冷地
3地域の函館は、1地域よりも寒くなっていますね。
秋田市(4地域)寒冷地
秋田市は4地域になりますが、1、2地域の北海道と同じですね。
仙台市(4地域)寒冷地
同じ4地域でも仙台は0℃です。
栃木県日光市(4地域)寒冷地
4地域の日光ですが、2地域の札幌とほぼ同じですね。
栃木県那須町(4地域)寒冷地
日光と同じ4地域ですが、日光よりは1℃くらいの差があります。
栃木県黒磯(4地域)寒冷地
那須と近いので、一緒ですね。
栃木県宇都宮市(5地域)温暖地
ラファエル設計もある宇都宮。
おや!?
温暖地のはずですが、早朝では4地域の仙台とか秋田よりも寒いですね。
また、1地域の一番寒い北海道と2℃しか差がありません。

これだもん、ヒートショックで亡くなる人が多いのも納得できませんか?
栃木県鹿沼市(5地域)温暖地
鹿沼市も宇都宮と同じく5地域で温暖地域です。
ですが、早朝を見ると、札幌なみに寒いです。
大きな表記は0℃ですが、下の気温変化予想を見ると-1℃です。
栃木県佐野市(5地域)温暖地
大きな表記は0℃ですが、下の気温変化予想を見ると-1℃です。
栃木県栃木市(5地域)温暖地
大きな表記は0℃ですが、下の気温変化予想を見ると-1℃です。
栃木県小山市(5地域)温暖地
大きな表記通り-1℃です。
札幌と1℃しか違いません。
栃木県でも南に位置するのに、寒いですよね?

 

これね・・・

見学会の時に宇都宮とか鹿沼が0℃の時、札幌は何℃くらいだと思いますか?って質問したら、

マイナス7とかマイナス10℃くらいですか?

って答える人もいましたね(笑)

 

まあ、兎に角、来てくださった方々は本当にお疲れ様でした。

そしてありがとうございました。

 

見学会の面白かった内容は、後日、所長ブログ②の方で書きたいと思います。

2019年02月24日