素人同士の家づくり

素人同士・・・

ここで言う素人とは、一般ユーザーの方。

もう一つの素人とは、家づくりをするプロ側の素人の事を指しています。

 

一般ユーザーの人に質問です。

 

一級建築士が家を設計してくれたら、凄く嬉しいですか?

 

嬉しい?

もうその時点で、ダメですよね。

 

二級建築士と一級建築士、または、木造建築士、どの資格の人に家づくりをお願いしたいですか?

 

やっぱり一級建築士ですかね?

 

まあ、それが普通かもしれませんよね!

 

皆さん、とりあえず、一級建築士について、ご説明しましょう。

今年までは、建築系の大学を卒業したら、実務経験2年を経て、一級建築士の受験資格が得られます。

そこで、まず、学科試験に合格して、次に製図試験に合格したら、晴れて一級建築士となれます。

来年からは、大学生の段階で、受験資格が得られます。

同じ様に合格したら、実務経験2年を経て、一級建築士の免許がもらえます。

 

どちらも24歳か25歳くらいで、最短で一級建築士となる事ができます。

 

はい、ではもう一度聞きます。

一級建築士が家を設計してくれたら、凄く嬉しいですか?

 

質問を変えます。

25歳の一級建築士、40歳の二級建築士、50歳の木造建築士・・・
どの方が家を設計してくれたら、信頼出来そうですか?

 

ここでも、まだ先入観でしかありませんよ(笑)

 

はい、前置きが長くなりました。

家づくりというのは、経験も勿論大切です。

その経験というのは、「住宅設計」に関しての経験です。

 

木造住宅で、1級建築士の免許が必要なのは・・・

  • 高さ13mを超えた場合
  • 軒高さ9mを超えた場合
  • 3階以上

 

これ以外は、2級建築士で十分なわけですね。

設計の知識・技術はあるのですが、僕の名前で設計者にはなれないという事です。

そして、報酬ももらってはいけません。

 

大きな設計事務所に勤務していると、住宅なんて、非効率なので、ほとんど依頼を受けません。

 

自分の家も設計出来ない一級建築士も実際にいます。

UA値やQ値を知らない一級建築士も沢山います。

 

つまり、温熱欠陥住宅を造る知識しかないということです。

住宅なんて、設計できない方が可笑しいのですが、二級建築士の試験でも、一級建築士の試験でも、温熱設計について、細かい勉強はしません。

広く、浅くって感じです。

なので、資格を持っていても、温熱環境に関する知識って、自分で勉強する以外、得る事が出来ないんですよ。

 

特にハウスメーカーの家づくりが、まさにタイトル通りなのですが・・・

営業マンって、素人ですよ。

お客様も素人ですよ。

打合せするのは、素人の営業マンと素人のお客様ですよ。

 

これを、素人同士の家づくりって言います。

僕の中で。

 

営業さんの打合せによって、図面は、1級建築士か2級建築士の人が、1/100くらいのスケールで描きます。

で、施工できる図面を描くのは、僕ら、設計事務所が外注で受けるのが多いのではないでしょうか?

1/50くらいのスケールで、細かい図面です。

 

ハウスメーカーで温熱の話をしても、ハッキリ言って無駄ですからね。

階段の下や、昇り口に、扉やカーテンやロールスクリーンを設けるとか、クレイジーな提案が飛び交います(笑)

暖房効率とか冷房効率を考えて・・・

とかいうのですが、それって、そもそも冬寒くて夏暑い家ですよ!って言ってるようなものです。

しまいには、「熱交換」とか言い出しますが、気密処理もしないで熱交換とか、暖気ダダ漏れで、超無意味ですよ。

僕は、ハウスメーカーの人にこれを伝えた事がありますが、改善はされませんでしたね。

住まい手さん、可哀想に・・・。

 

これからの時代、家づくりのプロと呼べるのは、新住協に加入して、温熱について勉強しているような会社だと思います。

新住協じゃなくても、他の団体のセミナーとかで、温熱について勉強している人たち。

 

例え話します。

 

「折り紙」って、△みたいな形は誰だって折れますが、「象」を折れと言われて、折れますか?

クオリティの高い象を折れる人は、プロです。

 

雪だるまって、誰だって作れますが・・・

札幌雪祭りの様な作品を作れる人はプロです。

 

「おにぎり」って誰だって作れますが、冷めても美味しいおにぎりを作る人は、それだけではプロとは言いません。

 

「写真」って誰だって撮れますが、「プロ」に写真を撮ってもらいたいから、写真スタジオに行きますよね?

 

見せかけだけの家は、日本に沢山あります。

その遺産が、「空家問題」です。

 

寒いしボロいし・・・

誰も買おうとしないわけです。

 

今、性能の悪いローコスト住宅を建てれば、遠い未来、

同じ様に空家問題は未解決のまま、もっと増えるでしょう。

そして、治安も悪くなるでしょう。

 

一般ユーザーの人も、ネットで調べてプロ意識持たれるのも、非常に厄介ですし、そういう人は、正直相手にいたしません。

 

だってさ・・・

そのネットで勉強した情報・・・

何処でよ?(笑)

 

学んだなら、先生がいますよね?

その先生誰よ?

って事です。

 

住宅展示場にモデルルームを構えていたとしても、お客さの質問に全然答えられないなら、それはプロではないんですよ。

フランチャイズに加入していて、知り得た知識だけの人、その会社の基準・規定に沿って設計すれば、おのずと見た目は良いものが出来てしまうような環境・・・

僕は非常に問題だと思っています。

 

僕も、日々勉強しています。

シミュレーションもやりまくって、色んなパターンの家の研究をしています。

それは、まだ独立して実績がないから。

お客様に、僕という存在を認めてもらい、また、信じてもらえるように、日々勉強しています。

2019年07月03日