『貫イゲタ工法』って、熱橋だらけじゃない?

栃木TVでも放送されている、「女性が考えた女性の為の家」ってのがあるんだけど・・・

まあ、キャッチコピーに差別的感覚を覚えるので、僕は好きではないのですが、そんな事よりも、「貫イゲタ工法」について、ちょっと考えたいと思います。

テレビを初めて見た時、初めにいきなり思ったのが・・・

『うわっ!!ヒートブリッジ(熱橋)だらけだな!』

ですね。

 

 

普段は柱と間柱だけ・・・つまり、縦の木しかないのですが、ここは「横」の木もあるわけです。

ここの木から熱は沢山逃げて行きます。

つまり、僕には普段よりも多く逃げている部分が、こう見えています。

 

 

ラファエル設計のように、付加断熱(ダブル断熱)にしない場合、下記の様に、柱から熱は逃げていくと思ってください。

 

窓が一番弱点と言うけれど、実はこの柱、間柱からの熱の損失がとても大きい事が、シミュレーションでも証明できます。
それはまとめで掲載します。

付加断熱というのは下記ね。

 

で、HPを見て見るとこんなデータがありました。

午前6時、外気温0℃に対して、一般の家では5℃ぐらいまで部屋の気温は低下します。

しかし、ここの会社の家は・・・
2階主寝室の温度は平均17.5℃、
1階リビングは17℃、
和室は16℃、
洗面脱衣所は16℃という結果を得たようです。

『このことから20℃に設定した場合、暖房を深夜12時に切って6時間放置し、早朝6時でわずか3〜4℃の温度低下に抑えることができる結果となりました。』

ってことなのですが・・・

 

下がり過ぎじゃね!?

 

ちょっとラファエル設計のQ1.0住宅の無暖房での室温変動を、深夜0時から朝6時までを見て見ましょうか。

 

Q1.0住宅は付加断熱です。
1階リビングは、22.7℃からスタートして朝6時には20.2℃です。
2.5℃の低下です。

一方で比較対象の省エネ基準住宅は、付加断熱ではなく、充填断熱(内断熱)です。
10.7℃からスタートして朝6時には6.4℃です。
4.3℃の低下です。

 

ここで注目すべきポイントは2つあります。

1つは、「一日中無暖房」での室温で、スタートが20℃超えているのに対し、

このグラフの家は、「0時まで暖房を付けていてスタート」って所です。

 

2つめのポイントは、付加断熱をしていない省エネ基準住宅と、このグラフの家の温度下降が、同じ様に急激だという事。

グラフの家は3〜4℃の温度低下で済んだというけど、省エネ基準住宅も4.3℃です。

 

つまり、『温度を保ってられない』という事です。

もっと分かりやすく言えば『保温性が無い』という事なのですよ。

 

このグラフの家は、高性能グラスウールで20Kという、ラファエル設計のシミュレーションしたQ1.0住宅の高性能グラスウール16Kよりも、高性能な断熱材を使っています。

そして、シート付ではなく裸のグラスウールを使っているので、断熱・気密施工はしっかりしていると思います。

 

では、何故!?

暖房を付けていて9:00時で17℃くらいからスタートで、12:00時でも20℃以下、14時くらいでようやく20℃越えなの!?って所なのですが、問題は窓にあると思います。

 

HPにはこんな事が書かれています。


 

全ての住宅の窓に国内最高水準を誇る『樹脂サッシ&アルゴンガス入りLow-Eペアガラス(高遮熱断熱複層ガラス)』を採用。
アルゴンガスは空気中に存在するガスですが空気よりも熱を通しません。
いわば空気の断熱材です。
真夏の太陽熱を約60%カットするとともに、冬は室内の暖かさを逃がしません。
冷暖房効率を向上させるだけでなく、カビやダニの原因になる結露の発生や有害な紫外線も防止します。
また樹脂サッシはアルミの枠を使用した場合より約1000倍の断熱性の違いがあります。
この差は大きい!この高品質で高価な『樹脂サッシ&アルゴンガス入りLow-Eペアガラス』をなんと標準採用しているのがこだわりなのです。


 

この説明から、考察していきます。

赤字の所をポイントとして。

高遮熱断熱複層ガラス
遮熱というのは、冬の日射もカットしてしまいます。
つまり、南にもこのタイプの高遮熱を採用しているって事ならば、冬に暖房付けないと17℃にならない事は納得できます。
真夏の太陽熱を約60%カット
これは先ほどと同じ説明になりますが、真夏だけでなく、真冬だって太陽熱を約60%カットしてしまうのです。
これは、最悪です。
全然エコではありません。

そして、これは建築知識ビルダーズの連載3回目でも書いた事でありますが、60%カットするという事は、40%は日射が入ってきてしまうという事なのです。
つまり、冬はこの40%に無暖房では頼るしかなく、夏はこの40%を外付けブラインドとか断熱ブラインドで熱の侵入を防ぐ必要があります。
樹脂サッシ&アルゴンガス入りLow-Eペアガラス』をなんと標準採用しているのがこだわり
樹脂窓使うのは、もはや当たり前だし、全然凄い事でもありません。
樹脂窓を使う事が拘りだと思っているようですが、ガラスの日射取得率にはこだわっていないようですよね?

ちなみに、ラファエル設計の使う窓の日射取得率は74%です。

ここに、無暖房での室温の差に、大きな違いがあるのです。
一般の人は気が付かない部分でもありますし、プロの人達でも分からない人が多い部分です。

 

で、ちょっと最後にもう一度みていただきたいのが温度低下のグラフの急勾配。

そもそも、一日中、どの部屋も一定温度じゃないし、和室は0時で25℃から16℃まで下がります。9℃も下がってますよ。

リビングも23℃から17℃に下がっています。

6℃も下がっています。

 

まあ、このグラフから言える事は、暖房切る寸前まで、エアコン設定温度20℃って本当か!?って事ですよね(笑)
和室、別にストーブつけたりしてなかった!?

 

もう一度HPよく読んでみると、ちゃんと書いてあった。


第三者機関による実測で立証(計測は専門機関(株)システック環境研究所)

暖房を連続運転するのだから家の中が暖かくて当然。では切った場合はどうでしょうか。
グラフの家の高断熱性能・保温性能を調べるために実測試験を平成14年1月17・18日に福島展示場(ブルーローズプラン)にて実施いたしました。
室内の暖房温度は20℃の設定で和室にFF式石油ヒーター1台(4 kw)、リビングにエアコン1台にて運転。一般的な生活習慣に合わせるため測定者2名が居住する状態(人間の体温、呼吸時に発生する二酸化炭素により室内の温度は若干上昇します)で午前0時に暖房を切り、翌朝6時に再び暖房を入れる少し前に室内各所の温度を測定しました。


 

やっぱり、予想通り。

本物の高気密高断熱住宅は、下記のようにエアコン20℃設定ならグラフは20℃を保つようなグラフになります。

 

ちなみに、これはエアコン1台です。

 

 

一応、この会社をフォローする為に言っておきますが、このグラフの家は、2002年というのがこのブログを書いていて終盤に理解しました。

多分今やってる断熱材とかと、違うと思いますよ(笑)

 

同じだとしたら、ちょっと保温性無さ過ぎです。

そして、室温にムラがあり過ぎる。

エアコン20℃設定のようなので、ほとんどがストーブによる室温上昇なのではないだろうか?

 

「3〜4℃の温度低下に抑えることができる」

という所を売りにしているなら、これは、一般ユーザーに対して、

「どうせ素人だから細かい事は分からないだろ」

って考えているようにしか思えません。

 

室温を1℃上げるのって、結構大変ですからね!

皆さん、2℃というのを冷房の27℃と25℃で想像してみてください。

 

たかが2℃かもしれないけど、快適性にとってはもの凄く大きな2℃じゃないですか?

 

 

  • まとめ

建築知識ビルダーズの連載では、これらの事を根拠に、高断熱にしたのに寒い家とかをまとめて書いています。

ちょっとこれを見ていただきたい。

よく初めの頃に登場していた室温シミュレーション。

 

これはね・・・

某、有名ハウスメーカーでのものです。

UA値は0.46です。

 

ここのハウスメーカーの営業さんは、こんな事を言っていたそうです。

「窓は全てトリプルガラスだから暖かいですよ」

「2x6工法なので断熱材は140mmで、一般の家は断熱材105mmですから暖かいですよ」

「UA値も0.46なのでHEAT20のG1グレードをクリアしています!だから暖かいですよ」

 

だそうです。

ですがそれは何を根拠に「暖かい」ですか?

 

これの何処が暖かいんですか!?

これを、窓をあえてトリプルではなく、ダブルにして、付加断熱にして、その他Q1.0住宅仕様にしたのがこちらです。

 

どうですか!?

これによって、受注出来て、現在Q1.0住宅レベル3のお宅に住んでいるわけですが・・・

本当にラファエル設計に依頼して良かったと言っていただけました。

 

「もの凄く快適です」

と言っていました。

 

ここでのポイントは、「トリプルガラスと断熱材の厚み」です。

断熱材は、勿論厚くすれば、熱抵抗が高まりますから、熱の損失が防げます。

トリプルガラスにしても、熱の損失は防げます。

 

では、何故!!こんなにも寒い家が

出来るのでしょうか!?

それは、「トリプルガラスと断熱材の厚み」だけでは、損失は抑えきれないのと、「熱損失」があっても「熱取得」が無いからこうなります。

熱損失が抑えきれないのはどこか!?

 

こういう「木の部分の熱橋」っすよ。

建築知識ビルダーズ連載2回目では、「窓を高性能にしたのに暖かくならない理由」です。

つまり、今までの事を書いています。

 

  • 夏涼しく冬暖かい
  • トリプルガラス採用
  • 断熱材が厚い

 

何か一つだけ優れているから快適な家になるわけではありません。

 

今回は、暖かい家をつくっている家の判断基準として、窓の性能に加えて、付加断熱という事をやって、「熱橋を如何に少なくするか?」という説明をしてくれる住宅会社に依頼すべきという事を伝えたくて、このブログを書かせていただきました。

今回の住宅会社を批判したいわけではなく、家づくりをしている一般ユーザーが、どんな所にポイントを絞って、専門家の話を聞けばいいのか?という所を知っていただければと思うのです。

こんな内容、無料で公開する事にためらいも感じますし、競合他社にとって、私の手の内をさらけ出すような感じですので、本心はブラックボックスにしたい部分でもあります。

 

しかし、一般ユーザーからしてみたら、何処の住宅会社に行っても、正確な判断基準がないうえに、プロ側からすれば、有利な部分しかお客様に説明していないように思います。

 

広告でこれらの室温の事が書いてあるなんて、まずありません。

今回の室温低下の話もそうですが、何も知らない人が見たら、凄いと思う事でも、私からしたら、本物を知っている分、全く凄いとも思いません。

 

これを初めて見て凄いって思うのか

 

下記の本物を知っているから

 

 

これを凄いとも思わない。



そんな感覚です。

 

というわけで、今回は家づりセミナー的な感じでブログ書いてみました。

そして、このブログを楽しみにしている読者の方にお伝えします。

 

これから試験まで、試験勉強に専念する為、一旦所長ブログ②をお休み致します。

今回もそうですが・・・

専門的な内容を如何に一般ユーザーに、簡単に伝わるか?って所を考えながら描いているせいもあり、もの凄く時間がかかります。

この時間を試験勉強時間に当てて行きたいと思います。

所長ブログ①の方は、時間があれば簡単な内容を書いて終わりにします。

2019年07月12日