設計の仕事

昨日SNSでのやり取りでこんなやり取りがありました。

「性能の良さを分かっていない人を神長様が洗脳してほしいです。」

「快適な住宅は高価な事を理解できない素人様に、情熱をもって、洗脳するのが、設計の仕事と思いますが違いますかね?」

 

まず、設計の仕事ですが・・・

役割的な所を順に話していきたいと思います。

下記は建築基準法、建築士法で定義された文言です。

設計者
  • その者の責任において、設計図書を作成したものをいう。
  • 構造設計をきちんと行う人
  • 設備設計をきちんと行う人
これらの人を指します。
建築士
1級建築士、2級建築士、木造建築士
1級建築士が出来る設計・監理
すべて
2級建築士で出来る設計・監理
  • 学校、病院、劇場、映画館、観覧場、公会堂、集会場(オーデイトリアムを有しないものを除く)、百貨店の用途

    で500㎡以下

    簡単にいうと、特殊建築物で500㎡以下という事。
  • 木造の建物で
      ①高さ13m以下
      ②軒の高さ9m以下

    簡単にいうと、3階建て木造住宅は普通に建てたら軒の高さは9m以上になるので、2級建築士では報酬をもらって仕事をする事は出来ない可能性が高いという事。
  • 木造以外の建物で
      ①高さ13m以下
      ②軒の高さ9m以下
      ③延べ面積300㎡以下

    簡単にいうと、鉄筋コンクリートとか鉄骨造の建物で、住宅も含めてですが、特殊建築物で500㎡以下というのも含めて考えると、特殊建築物で木造じゃないなら、結局300㎡になるという事。
木造建築士で出来る設計・監理
  • 木造以外なら、30㎡以下
  • 木造なら延べ面積300㎡以下
  • 木造以外なら延べ面積100㎡以下
  • 階数2以下
簡単に言うと、2階建て木造住宅で90坪くらいまでなら木造建築士が報酬を得る為に自分の名前出せますよという事。
工事監理
その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書の通りに実施されているかどうかを確認する事

つまり、指導監督などは工事監理の仕事ではないという事です。
設計&工事監理
建築士は、設計を行う場合において設計に係わる建築物が法令or条例の定める建築物に関する基準に適合するようにしなければならない
建築士の責務
建築士は、常に品位を保持し、業務に関する法律&法令&実務に精通して、建築物の質の向上に寄与するように、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない

 

とりあえず、建築士の業務範囲や、1級建築士、2級建築士、木造建築士の違いは建てられる建築物の規模や用途によって、制限が決められているという事です。

無資格でも、設計事務所に勤める社員は、設計の仕事をしていますし、監理もしています。

理由は、その仕事を資格を持っている管理建築士である所長などの名前で仕事をしているからです。

僕は15階建てのマンションなどの設計もやってましたし、2級の範囲外の設計も、設計事務所勤めの時はやっていました。

なので、建築士の資格というのは、設計出来る技術・知識や経験とかと比例関係にはないという事です。

 

1級建築士は、2級建築士よりも幅広い知識が求められる為、建築士の試験も2級よりも幅広いけど、近年では1級の試験に2級建築士試験レベルの木造の内容が出題されても、間違える人は多い。

 

例えば、ラファエル設計が行っている温熱設計は、1級建築士でも2級建築士でもほとんど細かい所まで勉強はしない。

一般常識的な事だけ勉強する。

 

つまり設計の仕事というのは、そもそもの話・・・

「快適な住宅は高価な事を理解できない素人様に、情熱をもって、洗脳するのが、設計の仕事と思いますが違いますかね?」

と話されるような、すっごく一部の事柄ではないのです。

 

まず、建築士としての責務は先ほど書いたように、「常に品位を保持する」というのは、トイレを終えた時に手を洗うのが当たり前のように、飲食店でアルコール消毒をするのが当たり前のように・・・

特別意識して、耐震等級3とかQ1.0住宅とかを設計するものではないのですよ。

 

ラファエル設計にとっては、住まい手から要望が無くても・・・

断熱材が壁は210mm、屋根は300mmとして、高断熱・自然素材・耐震等級3+制震構造が標準。

「常に品位を保持する」

という事です。

 

「性能の良さを分かっていない人を神長様が洗脳してほしいです。」

という願いも分からなくはないが、700万くらいの家は土地付きの場合、付録程度の価値しかないという事を、家づくりする人たちは理解する必要があると、本気で思います。

特に、不妊で悩むご夫婦は、Q1.0住宅に住む事で、不妊治療もいい方向へ進む気がすると、僕は思っています。

医学的に解明されたりしているわけではないけど、女性の身体を冷やさないという観点からなど、温熱欠陥住宅に住むより、Q1.0住宅に住むべきなのは、当たり前の事実だと思うのです。

 

  • ラファエル設計的、設計論

『快適な住宅=高価』という概念は持っておりません。
『快適=高気密高断熱』でもないと思っています。

これはあくまでも私の設計に対する思いみたいな話になりますが、設計の仕事は、住宅設計で言うならば、そして単純な言葉で言うならば、住まい手が住みたい家を設計するのが、僕の仕事だと思っています。

Q1.0住宅だから快適とは限らないと思うのです。

どういうことか?

家というのは、衣食住全てを司る場所であり、それらが勿論快適であるように心掛けます。

高断熱などの温熱や耐震等級3は、設計者として当たり前にやることであり、そこは洗脳する部分ではないですし、設計の仕事と特別意識する部分でもないと思うのです。

Q1.0住宅というのは、断熱性能・保温性能みたいなもので、あくまでも性能の話です。

住まい手の「住みやすさ」「使いやすさ」「動線計画」などもきちんと考えなかったらそれは住まい手にとっての快適を満足するのは温熱だけになってしまいます。


「高断熱住宅=高価」なものになってしまったら、新住協が目指す『全棟Q1.0住宅』が達成出来ませんし、富裕層だけが得られるものになってしまいます。

今、本当に予算額無い人にもQ1.0住宅が求められるよう、考えている所でもありますけどね(^^;)

但し限度がありますが…
設計論は、人それぞれだと思いますので、私の考えが正しいと訴える気もありません。

 

ただ僕は、外観のデザインを奇抜にしたり、ただお洒落というだけで内装に大谷石を使ったりする事はありません。

見た目のデザインは何でも良いという事を仰ってくださる方もいらっしゃいますが、「デザイン」というのは、温熱設計や、住まい手の快適性を設計するのも「デザイン」の一部です。

 

「洗脳」というと、捉え方によっては悪い表現かもしれません。

僕が、ローコスト住宅というか、温熱欠陥住宅を批判しているのも、ある意味洗脳と言われるのかもしれませんが・・・

僕は洗脳しようという気持ちで説明はしていません。

 

温熱欠陥住宅で家を建ててしまった後に、Q1.0住宅の存在を知ってしまう・・・

これを

「知らぬが仏」

といいます。

 

僕は、今の仕事の戦場は「住宅設計」です。

1人でやっているので、請負える数に限界がありますが、住まい手に寄り添いながら設計をしていくというスタンスは過去も未来も変らない設計論です。

設計者として、Q1.0住宅の性能はもはや当たり前の話である事に、聞く耳も持たず、真っ向から異論を示してくる人に、説明するのも面倒です。

 

台風の時、サーフィンを楽しもうとする人にその危険さを話しをする人っています?(笑)

住宅においては、毎回言ってますが、とにかく家の中は危険なのですよ。

栃木県は冬の死亡率日本一ですから。

 

これを分かっていながら、温熱殺人住宅を建てようとする人に、真剣にQ1.0住宅の必要性を説いた所で、理解しようとしてくれないのではないでしょうか?

 

台風で避難勧告が出ているのにも関わらず、自分は大丈夫だろうと勝手に思って避難せず、九死に一生なのか、最悪お亡くなりになられる方・・・

 

救急隊の方々はきっとこう思っていますよ。

何故避難しなかった!?

 

住まい手は、新築を建てれば今の時代、暖かい家になると勘違いしている事を本当に理解してください。

 

建築士の仕事は・・・

温熱も面からも人を死なせない

地震に対しても人を死なせない

 

つまり、設計した建物で、人が死なないようにする仕事でもあるのです。

2019年11月03日