建築知識ビルダーズ連載6回目について
さあ、建築知識ビルダーズの連載6回目も校了となりました。
今回のテーマは「日影」
タイトルは「日影の特性を理解する」
です。
自分でテーマを設定するのですが、今回は一番苦労したな~・・・
初め、私の原稿を編集の方がまとめるのですが・・・
終始日影の説明で終わる感じで、最高につまらない内容になってしまってました。
そこから、色々改善させて、いつもの連載の様になりました(笑)
最後まで「日影図」の伝え方に苦労しましたね。
編集の方がノロウイルスにやられたらしく、最終の誌面を確認できていないので、出来上がりが少し心配な感じがします。
今回の連載はですね・・・
自分の家の周りで、ハウスメーカーによる新築工事が始まり、今まで日影にならなかったのに、すげ~日照悪くなったとか・・・
親の土地を一部分けてもらい、親の家の南側に家を建てる場合、自分の家はどのように影を落とすのか?
という所にフォーカスしています。
そして、ちょっとおもしろい室温シミュレーションも登場します。
要は、北側に建つ「親世帯」の家が省エネ基準住宅以下の性能の場合、南に建つ「子世帯」の家の影が少し親世帯の家にかかる場合、どのように室温は変化するのか?
という所です。
ハウスメーカーの家ってさ、ほとんどが自分の家だけ良ければいい!って感じでさ、分かりやすく言うと、「片流れ屋根の家」なんて、北側が10m近くなっている家、沢山ありますからね。
高さでいうと、3階建てマンションですよ。
3階建てマンションは高さ9.8mくらいにしますので。
家づくりってさ、建物を高くすればするほど、相手に日影という攻撃をするわけですよ。
建築基準法では、10mの高さを超えないと日影規制は発生しません。
※低層住居地域以外
で、日影規制にかかったとしても、栃木で言えば、地面から4mの高さの部分で3時間と5時間連続で影になる範囲を検討するのが、基準法で言う日影規制です。
つまり、相手の家の2階の床くらいの高さの所で、連続日影にならなければOKなのです。
日影というのは、当然、地面に近い方が影の面積は大きいわけですが、4mの位置って、全然ですからね?
なので、基準法で言う日影規制をクリアしているから問題ないというのは、ナンセンスな話なのですよね。
住宅地に土地を買って家を建てる場合、周りの家の人ともある程度、付き合いも生まれる可能性もあるわけです。
設計者としては、やはり、相手の敷地に対して、家に対して、日照に対して・・・
キチンと気づかって設計する事が大切だと思うのです。
東大の前先生は、最近のセミナーでこのような家を
「エゴハウス」
と名付けています。
連載の内容は、きちんと読んでも、難しい内容かもしれません。
ですが、これを難しいと感じる場合、日影の話には無頓着だという事です。
ハウスメーカーの人に、ビルダーズ持参して、
「この日影の話ってどういうことですか?」
と質問する為の道具として使用しても良いでしょう。
連載の内容としては・・・
下記の様な等時間日影図を見た時に・・・
下記の赤枠範囲の3時間日影になってしまう部分を減らしたい。
では、この土地の真北方向に関して、建物のどの部分が影響しているのか?
というのを見極める方法を書いています。
皆さんは、どこだと思います?
右上だと思う人~~~~!?
いやいや・・・
左上だと思う人~~!?
え~~~!?
右下だと思う人~~~!?
正解は・・・
ビルダーズを読んでください。(笑)
これ、日影図なんかを普段当たり前のように書いている人は、直ぐに分かると思います。
しかし、どうやれば、日影は減るか?
まで設計出来ますか?
その手法を執筆しております。
この手の話は、建築士の試験でも出題される事はありません。
日影の問題は、試験で出題されたとしても1問です。
たかが1点。
ほとんどの受験生は、難しいと感じ、捨て問題にします。
1級建築でも、2級建築士でも学科の点数は合計点なので、この日影の問題を1問出来なかったとしても、合格出来ます。
つまり、日影の話を全く知らない1級建築士、きちんと知っている1級建築士が存在する訳です。
例えば、結露の話や、熱損失の話、照度の計算が出来なくても、この3つが問題だとするならば、3点です。
他が出来れば合格します。
つまり、温熱の話を全く知らない1級建築士、きちんと知っている1級建築士が存在する訳です。
何が言いたいかといいますと・・・
「資格」というのは、必ずしも実務に直結しないという事です。
日影も知らない、温熱も分からない一級建築士が家を設計する場合・・・
相手に日影を落とすわ、自分の家にも相手の日影を考慮出来ないわ、結露ビチャビチャの家が出来るわけですね。
この連載で書いている内容もそうなのですが・・・
家づくりというのは、決して「資格」の有無で設計者を判断するのはよくないという事です。
究極はですね・・・
隣家からの日影図の提案が一度もないまま、図面作成が進み、契約となった場合・・・
ラファエル設計からしたら、有り得ない事ですね。