サイディングを絶対に使いたくない理由

最近、相談に来られた方や、事前メールで、このような事を度々聞かれます。

「ラファエル設計さんは、サイディングは使わないのですか?」

「サイディングを使って欲しいと希望すれば使ってもらえるのですか?」

 

まあ、このような質問に対して、理由は・・・

  • シーリング(コーキング)の劣化
  • シーリング(コーキング)の線が見える

というのが理由です。

 

まあ、どうしても使いたいと言われた時は今まで、

  • バルコニー
  • 外部の壁や柱

という、室内と絡まない所で使用してきました。


で、サイディングというのは、基本的に一枚が
0.45m×3m

なので、「繋ぎ目」には「シーリング(コーキング)が出てきます。


これを「シーリングの線が見える」

という言い方をしています。

これが出ないサイディングの工法もありますが、大抵はこのシーリングが出る工法です。

これがシーリングする前で、サイディングには必ずこのコーナー材がきますので、左右にシーリングする必要が出てきます。

下記は左右がシーリング後ですね。

 

下記は中央がシーリングですね。

 

でね・・・

このシーリング・・・

年月とともに劣化するのです。

 

僕は、学校施設を100棟くらいは大規模改修の為の診断や劣化などの老朽度診断をしてきましたので、雨漏りなどの原因がこのシーリング(コーキング)にある事は、分かり切っているのです。

 

昨日、急きょ調査依頼があったので、良い参考写真がGetできましたので公開致します。

こんな感じにシーリングは切れてきます。

裂けるという感じかな。

これ、築16年のお宅です。

↓少し離れた写真ですが、窓廻りのシーリングも隙間が出てきてしまっています。

 

別な場所。

こっちは何となく、当時の感じを保っていますが・・・

 

下部になるにつれて、こうなります


とある高校ですが、鉄筋コンクリートの窓廻りも下記の様にシーリングは劣化してきます。

下記は、うちの近くの公園の用具置きの建物ですが、タイル張りでシーリングしている所、上の方隙間あいちゃっているのわかります?

 

これまで見てきたように、基本的にシーリングでの納まりというのは、好きじゃないのです。

防水なども、シーリングだけに頼るというのも、数年後には防水の役目を果たしません。


サイディングって、塗り壁とか木の板張りよりも大好きな人が沢山いますが、シーリングというのは、色々と悪さをします。

 

シーリングというのは、「防水が目的」のものと、そうでないものとがあります。

打ち継ぎなんかは基本NGなのですが、打ち継ぎする場合はどうするか?というのも決まってますし、建築士の試験でも良く出てきます。

 

下記はH25年公共工事標準仕様書のものです。


塗り壁は外壁にヒビが入るとか、木の板張りは黒くなるとかを気にする人がいますが、サイディングは、こういった「シーリング」の劣化を気にする人がいないのですよね。

 

住宅メーカーの営業マンはこう言っている人が多いでしょう!

「サイディングは10年以上持ちます」

「うちで使っているサイディングは30年持ちます」

とね。

 

ですが、サイディングは長持ちするかもしれないけれど・・

「シーリングの寿命は長くはない」

という事です。

 

今では、「通気工法」というものが主流ですが、街で建築中の家を通りすがりに見ると、結構基本が出来ていない所、いっぱいありますよね~~

通気層工法の湿気の放散・雨水の排水の仕組み(イメージ縦断面図)
通気層は湿気を逃がす役割を担います。※出典:デユポン タイペック カタログ
通気層が取れなくなるダメな施工(横胴縁)
茶色の部分が木材で胴縁と言います。
横に取りつけてあるので「横胴縁」といいます。
赤くなっているのは、矢印の向きに湿気が逃げて行かない事を表しています。
こういう施工をしちゃうなら、ウレタンは有効かもしれませんが、そもそもこんな施工してたら経年劣化以前の問題で劣化します。
通気層が取れる最適な施工(横胴縁)
窓廻りが特に、通気が遮断されるポイントなので、横胴縁をさっきみたいにぶつける人が多いんですよね。
下図のように通気が出来れば、OKです。
グラスウールでも、全く問題ありません。
通気層が取れなくなるダメな施工(縦胴縁)
茶色の部分が木材で胴縁と言います。縦に取りつけてあるので「縦胴縁」といいます。
赤くなっているのは、矢印の向きに湿気が逃げて行かない事を表しています。
先ほど同様、こういう施工をしちゃうなら、ウレタンは有効かもしれませんが、そもそもこんな施工してたら経年劣化以前の問題で劣化します。
やはり、窓廻りでこういった事が起きやすいです。
初めて付き合う職人さんにはこの辺をしっかり説明しないといけません。
僕に依頼する設計監理というのは、こういった所もチェックします。
こういった所に、住まい手はお金を出さずに、自分でチェック出来ますかね?
通気層が取れる最適な施工(縦胴縁)
窓廻りで縦胴縁を離します。
こうする事で、通気が正常に働きます。
これもまた、グラスウールでも全く問題ありません。

縦の通気胴縁よりも、横の通気胴縁は、上記の様に1.8m以内に30mmの間隔をあけても、全然通気されないのは実験で明らかになっています。

こういった所も、外壁を長持ちさせるポイントです。

本当に、ダメな施工をしている会社、沢山います。

 

こういった所もしっかりと「監理」するのが、設計監理なわけです。

現場監督は、こういった所を監理出来る人と出来ない人がいますからね。

 

こんな小さな事かも知れませんが、こういった所の監理をしっかりしてもらえるのかどうか?

それが設計監理にお金を払う理由でもあります。

 

このブログを読んで、依頼先に

「こういった事ちゃんとやってくれますよね?」

なんて聞いたとしても、

「やります」

とかしか答えようがないですよね(笑)

 

まあ、いずれにしても、サイディングを使いたくない理由というのはこういった事です。

木目調とかいっても、シーリングの線が見えただけで、

「ああ~~~・・・木じゃないのね、サイディングなのね」

って思う感じです。

2020年02月19日