腕の良い大工を用意する
最近・・・
「腕の良い大工を用意する」
といううたい文句が、ハウスメーカーに相談行った際に言われる事がある事を知りました。
「良い家は大工できまる」みたいな看板出している所もありますよね。
「腕の良い大工」
インタビューします!
皆さんは、どうお考えですか?
多分ですが、多くの人は、
「しっかりした家を造ってくれそう」
「地震に強い家を造ってくれそう」
「欠陥住宅は回避できそう」
「丁寧に造ってもらえそう」
こんな感じですかね?
僕は違います。
さっき述べた事は、大工なら当たり前に出来なくては大工とは言えないと思っています。
つまり、それらが当たり前に出来るものは、
「大工の腕」
とかの問題では無いという事です。
大工じゃないお前が偉そうなこというな!って感じですよね(笑)
だって、設計士というのは、図面が描けるのが大前提で当たり前だし、図面を描けるのが設計者としての腕なんて言わないでしょ?(笑)
では、僕が思う、「腕の良い大工」とはどんな大工さんか?
多分、それはQ1.0住宅を現在一緒に造って下さっている坂下棟梁と話をして、実際に建っているQ1.0住宅や、工事中の現場を見てもらうのが一番手っ取り早いのですが・・・
それが出来ない人の為に話しますね。
あくまでも、僕の持論で、一緒にチームとしてやっていく大工さんの条件的な所での話になりますからね!
それが外れたからダメな大工とは言いたいわけではありませんので。
まず一つは・・・
「設計者と一緒に勉強しようとする心があるか?」
これは、設計者が「俺様仕様」の偉そうなやつだと初めっから成立しない話なのですが・・・
基本的に、温熱などの技術や考えというのは、その都度アップデートしなければなりません。
新しい技術を知れば、それをお互い共有するという事です。
設計者が描いた設計図をそのまま建てるのは勿論当たり前ですが、
「ここはこうした方がよい」
「こうすればコストダウンになる」
「この方法はまずい」
こうした事を、共有できる大工さんかどうか?という所が、まず・・・
「腕が良い」
という大工さんの条件として考えています。
設計者にそんな事いうなんて!!って思わせるような関係ではダメだと思っています。
設計者が一番偉い!みたいな考えは、令和の時代は辞めにしませんかね?(笑)
設計者より、現場の事は現場の人間が良く知っている場合も多いですから、どんどん職人さんは意見すべきです。
次・・・
さっきの話のような感じですが・・・
きちんと設計の意図を理解して、自分なりに考えて施工できる大工さんという所が、
「腕が良い」
という大工さんの条件として考えています。
次・・・
「ハウスメーカーではそこまでやってないですよ」
と言わない大工さんが、
「腕が良い」という大工さんの条件として考えています。
次・・・
「いつもはこうやっている」
という事に執着しない大工さんが、
「腕が良い」という大工さんの条件として考えています。
とりあえず、「こうやっているけど、それでは今回はダメなのか?」という事を聞いてくれるなら良いのです(笑)
次・・・
気密処理&防水処理の大切さを理解し、当たり前に出来る大工さんが、
「腕が良い」という大工さんの条件として考えています。
次・・・
熱橋になる所、熱が逃げないようにするには?という事を図面にうたわなくても考えて施工してくれる大工さんが、
「腕が良い」という大工さんの条件として考えています。
次・・・
分からない所は、きちんと聞いてくれる大工さんが、「腕が良い」という大工さんの条件として考えています。
次・・・
木の特性を理解した上で、施工を考えてくれる大工さんが、「腕が良い」という大工さんの条件として考えています。
ようは、こう施工したら、木がこういう風に沿ってしまうなどを考えられる事を意味しています。
次・・・
柱や梁を、電線などを通すために、躊躇なく貫通させることがない大工さんが、「腕が良い」という大工さんの条件として考えています。
取りあえず言ったら切りが無いので最後・・・(笑)
ある程度、任せることが出来る大工さんが、「腕が良い」という大工さんの条件として考えています。
基本的に、新しく面談する際などに、大工さんに言う事でもあります。
例えばですが・・・
ローコストメーカーの施工と、ラファエル設計の施工・・・
単純に比べたら、当然、
「ラファエル設計のQ1.0住宅の方が面倒くさい」
というでしょう。
言い方を変えます。
無気密と高気密、どちらの方が面倒ですか~~!?
「高気密で~~~す」
ってなるのが普通・・・
だと思ってます?
高気密のデメリットは、
「手間がかかる」
とか、営業さんから、ふざけた説明聞いちゃったりしてます?
工務店さん、そんなこと、言っちゃったりしてます?
高気密と無気密・・・
↓サーモカメラの画像です。
こういうの何て言うのかな?
『温熱欠陥住宅』
っていうんだよバカやろ~~~~~
もう一度聞くよ?
無気密と高気密、どちらの方が面倒ですか~~!?
・・・・・・・・・・
シーン・・・
僕:「低気密に決まってんだろ!!!!???」
大工工事って何か月よ?
仮に4か月~5か月だとしてさ・・・
温熱欠陥住宅を一生懸命作ってたら、その時間無駄じゃね?
そのいえの価値ってどれくらいさ?
住まい手から冬は寒いと言われ、夏は暑いと言われる。
大工として、最高の大工工事をしたと言えるのかい?
え!?
設計図通りに作っただって???
お前は猿か!?
はあ?って言えるチンバンジーの方が、能力高くね?
「高気密は手間がかかる」
という考え自体が馬鹿だよね?
住まい手はさ、こんな真っ青になる寒い家、想像してないし、求めてないからね?
こんなレインボーになる家、想像してないし、求めてないからね?
「手間をかけない家」
がレインボー温熱欠陥住宅って事だよね?
それでいいんだよね?
高断熱住宅は手間がかかるとか言っちゃってる人よ?
答えは聞かないけど。
Q1.0住宅は手間がかかる?
その考えってそもそもおかしいよね?
「手間がかかる」というのは、何か比較対象があって、そういった考えが産まれてくるわけですよね?
あのね?
Q1.0住宅の高気密は、「基本」だから。
断熱、気密がしっかりしてこそ、換気が設計計画通りに動くのよ。
温熱欠陥住宅と比べるのよそうぜ?
欠陥住宅と当たり前住宅・・・
同じ土俵に載ってね~から(笑)
皆さんの家どうです?
ハウスメーカーで建てた家、どうです?
結露・・・してませんか?
それって、換気を止めているか、換気しているのに結露していたら、それは気密が悪いせいか、
「計画換気がうまくいっていない」
証拠です。
気密の話って、僕の様な設計の立場の人間は、24時間1つの現場で監理なんて出来ないわけですよ。
つまり、こういった所が「図面に書いてあるか、ないか?」でしか施工出来ない大工さんは、「腕が良い」とはとても言えないという事です。
この令和の時代においては。
何が言いたいかといいますと・・・
家って、誰の家を造っているの?
って事なのです。
お金をもらって、「良い家作って欲しい」と願う、住まい手の家を造っているのですよ。
手刻みで階段くらい作れないと大工じゃないという古株大工さんもいます。
プレカットではなく手刻みで家が造れる大工さんが腕がいいのか?
正直、それって重要ですか?
あくまでも大工仕事をしていない僕ですが・・・
そんな僕が偉そうに言っちゃいますが・・・
プレカットで出来る所は、別にプレカットでよくね?
そこを手刻みにこだわって、温熱欠陥住宅造ってるほど、おめでたい事はないでしょ。
冬は寒くて、夏は暑い・・・
冬はヒートショックで死に、夏は熱中症で死ぬ。
そんな家でさ・・・
手刻みのありがたみって、いつまで残るのよ?
「手刻みで家を造ってやった!感謝しろ!」
なんていうやつがいたら、それは一人でマスターベーションしてろよ!って思います。
いいですか?
何度もサーモカメラ出してますが・・・気密をしっかり施工できる大工さんが僕と一緒に作るQ1.0住宅は、こうなります。
- 天井壁コーナー(入隅)
- ほとんど緑と黄緑の2色くらいですよね。温度ムラが無い事を示しています。
- 玄関の床
- 玄関の床でも22.2℃ありますし、同じ様に緑と黄緑の2色くらいです。
- 階段部分
- 緑と黄緑の2色くらいです。
- 玄関ホールの床・壁(コーナー)
- 緑と黄緑の2色くらいです。
右側は外壁面に床と壁になりますが、熱損失の様子もありません。 - 北面のトイレに向かう廊下
- 緑と黄緑の2色くらいです。何が写っているのか変わりません。
これも温度ムラが無い証拠です。 - 外壁(北面)
- 梁や柱は見えませんし、窓からの熱損失もほとんど見られません。これなら、北面が黒くなることはありません。
- 北側の外壁面の内壁(工事中)
- 工事中のものですが、同じ様に黄緑と緑です。窓からの損失もまずありませんね。
- 吹抜けのある2階ホール(工事中)
- 工事中のものですが、同じ様に黄緑と緑です。
右奥に見える掃き出し窓からの損失もまずありませんね。
吹抜けに面していても、床が青く(寒く)なるような感じは全くありません。 - 右の窓が西面、左の窓が南面(工事中)
- 工事中のものですが、同じ様に黄緑と緑です。窓からの損失もまずありませんね。コーナー(入隅)からの熱の損失も見受けられません。
青くなっている所なんてないですよね?
腕が良いと思われても、設計図通りにしか施工できず、温熱の事なんて分からない会社と大工さんが建てる家はこうなります。
- リビング(新築2か月)
- 足元が寒すぎ。上下でくっきりと暖かいゾーンと寒いゾーンに境界線が出来ている
- リビングのコーナー(入隅)
(新築2か月) - 濃い紫色の部分が、熱橋や施工不良の所です
- 天井との取り合い(新築2か月)
- 屋根からの冷気が侵入しまくりです
- コンセントBOXまわり(新築)
- もの凄い熱の損失が分かりますよね?
- キッチン周り(新築)
- 青くなっているのがキッチン側。これは超ローコストで有名なメーカーの家です。
- 窓の上が断熱材の施工不良(新築)
- これも超ローコストメーカーの家です。
他が青で、窓上だけ黄色・・・
つまり、外の熱がその部分だけ侵入してきている事が分かります。 - 階段周り(新築)
- これもまた酷い。凄まじい温度ムラです。
坪単価50万~70万以下の家は総じてこんなもんです。
ハウスメーカーで建てて、高級外壁とか、オーダーキッチンとかで坪単価80万超えていても、断熱材などの施工は変わりませんので、この画像のようになるはずです。
- 玄関周り(新築)
- 玄関ドアからの熱の損失が凄いです。
- 外壁(新築10年)
- 梁と柱が浮き出ています。
また、上部からの熱の損失が凄いです。
これは、100年住宅といって、CMでもやってる超有名ハウスメーカーで建てた家の10年目の画像です。
このような家は北面が黒くなります。 - 窓廻り(新築2年)
- アルミ樹脂の窓です。気密処理などの断熱施工も非常に酷いですね。これが、気密処理がきちんと出来ていない、家。
日本の家のほとんどがこうです。
なので、この家だけが酷いわけではなく、ハウスメーカー含めてこのようになります。
文句をいった所で、住まい手側が負けるでしょう。
ローコストとうたっている所は、まずこの画像のようになるでしょうね。
如何でしたでしょうか?
「腕の良い大工を用意する」
と言われて、令和の時代には「温熱環境も造り出せる施工力」がある大工さんがいないと、Q1.0住宅のような高気密高断熱の家でさえも、絵に描いた餅となります。
住宅の設計士もさ、昔に求められていた事と、これからの求められる事って、違うと思うのですよ。
昔は昭和や平成最後くらいまで、室温シミュレーションなんて出来なかった。
でも、この令和の時代から、住宅設計には室温シミュレーションという設計が、絶対に必要だと思ってラファエル設計は行っている。
設計の考えなども、どんどん時代と共にアップグレードして行かなくてはならない。
だから、大工としてだけではなく、色んな職人さん全般に言える事だけど・・・時代と共に、職人が求められる内容も、アップグレードされていく必要があると思うのです。
極論で言えば、プレカットによって、大工工事が減ったのではなく、「気密工事」という分野をやる事に変わったという感じ?
その気密工事や断熱工事を大工がやらなければ、その分仕事は減ったようになるかもしれませんが・・・。
CADソフトもどんどん便利になり、設計図を描く時間も短縮されるようになってきた。
これを「設計の仕事を減らすことになっている。自分の首をしめている」という人もいるけれど、逆にそれは、依頼者にとって、無駄なお金を取っているという事だよね?
だって、ラファエル設計に依頼すれば10日で済む所、せっせと図面描いて20日かかっていたらさ、出来るものが全く同じものだとして、値段が同じではなく、20日かかった方が高額だったら、依頼者は納得いかないよね?(笑)
「腕の良い大工」
これって、「技術としての腕前」だけではなく、きちんと現在と未来について、住まい手の事を考えることで導き出された「とある場合の思考力」も、
「腕前」
としてカウントされるべきものなのではないだろうか?