コンクリート打設時の試験と監理

先日、「Q1.0住宅鶴田」の工事が始動しました。

そして、基礎コンクリート打設でした。

 

ラファエル設計では、必ず・・・

「コンクリートの試験」

を行います。

 

これ、数万円お金がかかりますので、やらない所が結構多いです。

 

こんな感じで、コンクリート打設前に、僕の指定したコンクリートの強度、柔らかさ通りになっているか?をまず調べるわけですね。

 

円柱のものは、1週間後の強度、4週間後の強度がどれくらいでているか?を後々試験する為に使います。

 

ちなみに・・・

私が合格した年の令和元年、一級建築士学科試験の施工科目に、写真付きで出題されました。

正直、問題文読んで、図見て、5秒くらいで分かるくらいに、僕にとってはサービス問題でしたけどね(笑)

 

同業者の方、この問題、分かりますか?

 

問題の解答枝としてすべて

「合格であると判断した」

というもの。

 

これらには、「許容値」というものがあります。

例えばスランプ18cmと指定されていたら、±いくつの範囲ならOKなのか?

って話です。

建築士の試験は、これらをギリギリオーバーするか、足りない数値の所を突いてきます。

 

これ間違えたら、ダメなコンクリートを打つことになり、家づくり開始と同時に裁判事例と言いますか・・・

取り壊し必須な感じになりますね。

 

でも・・・

言われなくちゃ分からないし、試験をしなければ分からない。

 

はい、皆さん、設計監理の費用をケチると、こういった所の監理を全くされないまま工事が進む事になります。

 

 

Facebookで、この様子をUPしたら、数名からコメント頂いたのですが・・・

このようにコンクリート試験をやる意味は、コンクリートの会社を疑うわけではないのですが、先にも話したように、キチンと指定した生コンかどうか?

って所ですよ。

コンクリートの「配合計画書」というものも提出させます。

これは、こういったコンクリートの配合で当日持って行きます!ってやつです。

これ、たまにダメな時があります。

実は今回、訂正させました(笑)

 

でね?

Facebookのコメントで驚いたのが、こういった監理を設計事務所の人とか、工務店でも「監理」というものをしないようなのだ。

ようは、「専門外だからよろしく~」って感じで、基礎工事会社に丸投げしているのが多いみたい。

 

って感じですよね・・・。

 

僕が監理する理由は他にもある。

基礎に埋め込む金物がしっかり設置されているか?などの確認も理由の一つなのですが・・・

一番の大きな理由は、「打ち継ぎ計画」の指示です。

コンクリートには、工場で練り混ぜしてから出荷して、現場について、コンクリートを打ち込み終了するまでの時間がまず決められています。

25℃未満で120分以内。

25℃以上で90分以内です。

要は、25℃以上の時・・・夏とかですよね。

工場出て現場まで1時間かかって準備してコンクリート打設はじめるぞ~~~

って段階で90分かかっていたら、NGという事です。

その場合は、生コン車を帰らせます。

 

はい、それで、重要な「打ち継ぎ計画」です。

生コン車は、基礎のベースを打つのに、5台~8台くらいになったります。

1台めに打つ範囲、2台めに打つ範囲・・・

打てる量と範囲が決まっています。

 

打ち継ぎの問題となるのは・・・

1回目に打った所と、5回目に打った所がちょうど打ち継ぎになるという場面です。

 

打ち継ぎの時間は・・・

25℃未満で150分以内

25℃以上で120分以内

です。

つまり、こういった時間内に打てるように、僕は

「次、ここから打ってください」

と指示をするわけですね。

 

ちなみに・・・

↓は前にやった現場なのですが・・・
4/28日です。とても暑い日でした。

 

 

影の境界線より左がコンクリートの表面温度13.4℃

 

 

境界線ギリギリ左側が17.6℃

 

 

境界線より少し右が22.5℃

 

 

もっと右に離れると25.8℃

 

つまり・・・

僕は外気温ではなく、こういった場合はコンクリートの表面温度で判断しているのですね。

 

思い出してください。

コンクリートの制限時間は、

25℃

以上か?
未満か?

ですよね?

 

つまり・・・

25℃以上のコンクリートの所は優先的に打ち継ぎをしていく必要があるという事です。

これをしっかり監理しないと、先に打ち込まれたコンクリートと後に打ち込まれたコンクリートが一体とならないで、「継ぎ目」ができてしまうのです。

これを「コールドジョイント」といいます。

 

今回の打設日はおおむねコンクリート温度は15℃以下でしたので、時間を見て、打ち継ぎ箇所は指定していました。

 

コンクリート打設って、工事の中でもとてもお金がかかる部分でもありますし、後から直す事は基本的に出来ません。

工事監理の中でも一番神経質になる部分でもありますし、一番精神的に疲れます(笑)

天気が雨にならないかとか、コンクリートの運搬は、途切れずにどんどん来てくれるか?とか・・・。

 

コンクリートの工事は、僕からすればそんな感じなので、監理をしないとか信じられません(^^;

 

ですが・・・

大手設計事務所の場合・・・住宅というものは「時間をかけるな」が合言葉みたいな感じで上から言われます。

ようは、監理にも時間かけてんじゃね~!と怒られます。

それによって、アンカーボルト入れ忘れているのを監理で確認すべきところを、監理に行かせてもらえないわけですから、見逃したりするわけです。

それを住まい手にに発見されるとさあ大変。

裁判沙汰になります。

 

昔勤めていた設計事務所でも、そんな事例がありました。

これって、担当者が悪いのではなく、会社の考えが悪いですよね。

 

実際に僕が住宅を担当した際、1日でプラン出来なかったら怒られましたからね(笑)

「お前、住宅ごときに何時間かかってんだ?」

と。

 

まあ、そんな昔ばなしは置いといて・・・

 

「設計監理」

これは、本当に基礎工事においては、どんなに職人を信頼していたとしても、必ず立ち会う工事の1つですね。

ハッキリいいます。

設計監理を依頼すると、お金がかかるから、自分で素人がネットで勉強して監理する・・・

なんて、寝ぼけた事言ってんじゃね~~

って僕は思います(笑)

 

今の時代、ネットやYouTubeで、ある程度の情報は手に入ります。

でも、「経験」というものは、手に入りません。

 

設計監理というのは、中途半端にやるものではないし、中途半端にやって、「監理料」をがっつりもらうというのは詐欺に近い話だと思っています。

きちんと、数回でも行く事を取り決めて、その回数分の費用を頂くなら話は別ですけどね・・・。

 

兎に角・・・

予定した打設日が2日とも雨と雨&強風によって延期したので、やっと打設出来たという安堵感もありました。

 

この日、住まい手様が、親子でコンクリート試験の時から、打設終了まで数時間立ち会いされて、ずっと工事を見学されていました。

お子様、とても楽しかったみたいで・・・

僕は・・・
家づくりは、計画設計段階からも、工事段階からも含めて楽しんでもらいたいなという想いがあるので、良かったです(笑)

 

ラファエル設計の場合、工事中見学禁止とか、現場来ないでくださいなんて事は一切ないので、写真とかも自由です。

僕の監理している雄姿を撮影していただく事もOKです(笑)

2020年04月23日