未来予測をした設計

さあ、『Q1.0住宅佐野』の土地が決まり、これから計画をスタートさせていきます。

 

さて、今回は、ラファエル設計のスタート時の設計手法を特別無料でご紹介しちゃいます。

最初に計画をするにあたっての考えの中でのいくつかをお話します。

まずは「未来予測」についてです。

これが南にある家です。

これを見た時に、「お!平屋じゃん!ラッキー!陽が入りやすいね!」

と考える設計士は、ど素人です。

 

ラファエル設計は、まず・・・

この建物は古すぎるので、建て替えの可能性があると考えます。

それが2階建てになるか、3階建てになるかは、日影規制とか容積率の考えから考察します。

仮に3階建てアパートは?という考えの場合、住戸分の駐車場が確保できないと、今の時代は中々計画するのも躊躇すると思うんです。

なので、3階の可能性も考えつつ、基本は2階建てに建て替えられた時を想定して考えます。

 

で、南北に長い土地の場合で、北側道路の場合・・・

道路→駐車場→建物→南庭

という考えになりがちですが、一般の方と同じ思考であってはプロではありません(笑)

「太陽高度」

を考えて、敷地のどの辺に建物の南側ラインがこないと日射熱が確保できないか?というのを、シミュレーションするまでもなく頭の中でイメージ出来なければ現地調査に行く意味がありません。

まず、12/22日の冬至あたりを目安に、太陽の位置を把握します。

↑数字が、時間を表します。

デカい丸が、その現在の時間の太陽の位置になることを表しています。

この撮影時間は12:21分です。

これをみると、南側の隣地境界線から5mくらいの位置だと、8:30~14:30分くらいで陽が入りそうだなという事で、窓の位置の想定をイメージします。

↓1/22日はこんな感じ

8:30分くらいから陽が入るのは変わらないけど、15:30分くらいまで陽が入りそうだという事が予想できる。

1時間、陽の入る時間が延びる訳です。

 

で、2階建てになった時を想定すると、大体こんな感じで考える↓

10時くらいまで1階には陽が入らない事を想定する。

そうなると、平屋がいいのか、2階建てがいいのか、まず一つの判断材料になる。

こうなると、南側の「庭」は、冬は全然陽が入らない庭となる。

 

 

「無暖房」での冬の暖かさを目指したい場合、無料の暖房機となる太陽を、どう味方に付けるのか?というのが重要である。

冬に無暖房で過ごす為には、出来れば8時過ぎから15時までは太陽熱を取り込みたい。

 

理由は、以前に、ちょっと調査をしたお宅の経験からである。

セミナーでも一つの題材にさせてもらっているのですが・・・

 

QPEXで計算した結果、

Q値1.4
UA値0.37

という高気密高断熱の住宅が、Q1.0住宅レベル判定において、

「省エネ基準レベル」

となってしまうのである。

 

それの調査で、日影シミュレーションした結果が下記である。

 

↑こんな感じで14:30~15:00において、南側の窓が殆ど影になっているのである。

自分の屋根、自分のバルコニー、南側&南西側からの日影

によって、日射が得られていないのである。

これだけ窓がありながら、赤く染めた部分からしか日射取得が出来ないのだ。

 

住まい手の方は「14:30分くらいから寒く感じる」という感想を調査時に述べていたが、シミュレーションによって、それは嘘ではない事が判断出来る。

この家は、南との差が7mくらいは南側が空いているにも拘わらず、このようになってしまう。

基本的には8:00~16時の中で日射熱を考えるのだけど、やはり1時間30分、日射取得が早くなると、夕方は住まい手も寒いと感じるのだ。

 

つまり、何度も言っているように、UA値やQ値などを家づくりの参考にするのは半分間違いであり、ましてや、UA値が一番低い会社を選ぼうなんざ、大きな間違いなのである。

 

ラファエル設計では、一日の間に「何時間日射があるか?」というものを追求する。

↑の場合、5時間は南に日射が当たるとしても、平屋が希望でQ1.0住宅を求められたとしても、Q1.0住宅になる事がとても難しい事を、別に計算せずとも、予想できる。

ちなみにこれは、南側の家が平屋の場合で・・・

2階建てに建て替えられるとどうなるか?
という「未来予測」をしたシミュレーションが下記です。

なんと、9時と10時の2時間、ほとんど9時しか日射熱が得られない事がわかる。


こういった時に、どのようにすればいいのか?

ようは、本当に平屋がいいの?

太陽光載せるのに、平屋で大丈夫なの?

シミュレーションをすると、そういった考えの根拠にもなるのです。

 

こういった設計を普段からしていると、北側の家に対しても、日影の配慮をした家づくりが可能になります。

思いっきり片流れ屋根でリーゼントみたいな外観になった2階建て建物は、北側で約10mという四角い3階建てマンションの高さになります。

こういった家が、エコハウスならぬ、「エゴハウス」と呼ばれます。

 

家の間取りって、お客様も一緒に考えるけど・・・

家の配置って、設計士の人と真剣に考えてるかな?

 

たまに・・・

『家の配置は問題ないかシミュレーションしてもらいたい』

という問い合わせがあるけれど・・・

つまり、その配置を考えた設計士には、家の配置に根拠がないから住まい手への説明もないのだよ。


『僕は、それだけをやる都合の良い男になりたくありません』と断ります。


だって、このような事を考えるのが「設計」なのですよ。

配置を考える事は『設計』なのです。

一級建築士の試験なども同じですが、配置を適切に考えられないと、合格はしません。
駐車計画、外構を考えて、日照を考えての『配置』です。

 

これらの「設計」に対して、ラファエル設計に設計料を支払っても、設計をお願いしたいというお客様が契約をしてくれるわけです。

こういった事をしてくれないハウスメーカーに、設計料が無いからと言ってとびついて、安く出来たわ~なんて喜んでいる方からすれば、こういった設計手法というのは、「知らぬが仏」ってやつになります。

 

こういった設計に魅力を感じてくれて契約してくださったお客様は、やっぱり他と違う特別感を感じてくれていると思うんです。

それなのに、目先のお金に目がくらんで、契約もしていない誰でもかしこもこういった未来予測をしてあげては、僕は「浮気」をしているようなもんです。

 

今回のブログは、一般の方向けというより、こういった事をやっていない同業者へ発信したものでもあります。

普通、こんな事を教える義理はないですが、ラファエル設計の設計手法の一部を無料公開です。
偉そうに!と思ったらごめんなさい。

アプリもお金出せば買えますし、無料のJWW CADだって日影の図面は描けます。

一般のみなさまへ
こういった事も考えるのが設計料となります。
設計料がかからないからその分安いと思っているハウスメーカーさんたちは、それだけ設計としての仕事を省いている事だとお考えください。

『省いてます!』

なんて言うわけ無いので、やっているように見せかけているだけですからね
( ´艸`)

2020年06月19日