住宅設計と温熱設計

ちょっと、ラファエル設計の住宅設計への考え方について、ちょっと誤解?があるように感じますので、少しお話をしたいと思います。

ラファエル設計は「室温シミュレーションありき」「冷暖房費ありき」

みたいな捉えられ方をされると、少し心外です。

 

シミュレーションというのは、あくまでも設計手法の中の1つでしかありません。

周辺に素晴らしい景色があるのならば、その景色に開けた間取りの提案をしますし、家の中の何処にどう過ごせば心地よいのか?というのもしっかり考えています。

ラファエル設計は

「ストーリー性のある間取り」

というものを重視して間取りを考えます。

 

LINEで、起きてから寝るまでの間の、行動と時間をざっくりと聞いています。

普段くつろぐ場所が仮に一階に欲しいとしても、周辺が家やアパート、マンションに囲まれて、一日カーテンをしたくなるような環境であれば、2階にリビングなどを設けるような事も考えます。

 

↑は北側バルコニーで東側から西側を見ています。

 

↑キッチン・リビング、バルコニーを一体的につかうようにして、キッチンに立った時に景色が良い方向へ向けています。

 

 

↑そのままバルコニーに出ると、花火大会の時は目の前で大迫力で見る事が出来ます。

 

↑キッチンの前のカウンターには椅子を置いたりして、花火大会やお祭りの時はみんなで集まり、バーベキューしたり、バーのようにも使えるという感じですね。

 

同業者の人も含めて勘違いしないで欲しいのですけど・・・

もう僕は、大体何時間くらいこの辺の窓から日射を取り込んであげれば、無暖房でもどのくらいの室温になるか?というのはシミュレーションをするまでもなく分かります。

なので、シミュレーションをするのは、お客様の僕の頭の中のイメージを、
「見える化」する為に使っているようなものです。

現地に行って、下記の様な太陽の位置の調査をすれば、大体もう間取りや外観のイメージは出来てしまします。

周りが田んぼの様な環境ですと、自由度が増すので、キッチンはは明るさ重視か?という所でキッチンが南にくるか、他に行くのか変わりますけどね。

 

栃木県であれば、日射熱は取込めないような場合、熱交換を入れれば何℃くらい室温が上がるかも予測できます。

 

日射熱を1whも取り逃さないぞ~~~!

なんて設計は初めからしていません(笑)

 

もう、室温シミュレーションはどれくらいやったか覚えてもいないけど・・・
200パターンくらいは最低やってます。
たまには遊びながらとか連載で色々検証していますので、もう身体が覚えているって感じです。

 

例えば、高さ600、横1600くらいの窓に2時間くらい日射が当たった場合、取得率74%の窓なら暖房費は700円くらい安くなるとか、もう頭に入っています。

なので・・・

↑平屋でのQ1.0住宅で、マイナス7.0℃とかの朝に、無暖房で17℃以上になるというのは、設計していてもう分かっています。

こうなると、屋根の断熱をもう少し厚くしようとか、金の無駄な事はしなくても問題ありません。

UA値などは良くなりますが、室温には大きな影響が及びません。

栃木ですと、屋根の断熱は300mmを超えるとそんなに劇的な変化はありません。

200mm→300mmにすると結構違いますけど。

155mmの袋入りグラスウールでの天井断熱なんて、論外です。
まったく効果ないですから。

真夏、無暖房で殺人的な暑さなのは大抵、その論外仕様です。

 

皆さん・・・

リクシルのサーモスX、エスルターS
YKKAPのAPW330、430で競い合っていますけど・・・

大切なのは日射取得率です。

例えばエルスターX

 

熱貫流率、0.79ってすげ~~じゃん!!

って思うかもしれないけど、これは建築知識ビルダーズの連載でも書いているけど、窓の大きさによって変わります。

カタログにも、老眼では見えないような小粒な文字で書いてあります。

 

0.79があまりにもデカくて、他に目が行き届きません。

 

見えね~~~っつ~~の!

 


はい、16513というのは、横幅1690mm、縦幅1370mmというサイズの窓です。

こんな感じね↓

 

さらに、クリプトンガス入りなら0.79、アルゴンガスなら0.86だ。

ちなみに、このような差は別に大した事が無いと僕は思っています。

 

で・・・

窓が弱点だと思って、こうやって熱貫流とか熱の損失ばかり気にするけど、多くの設計者も、一般ユーザーも、「日射取得率」というものを調べた事が無い人が殆どなのではないかな?

普段、QPEXでしか確認しないので、性能値をカタログで探すの面倒でした
(^_^;)

熱貫流0.79と言っている窓に使うガラスは↑です。
日射熱取得率は34%しかありません。

ラファエル設計が使用している、日射取得させるための窓は74%です。

40%もの違いが出ます。

ちなみに、ガラスがグリーンではなくクリアにした場合・・・

 

日射熱取得率は49%に上がりますが、これは遮熱タイプの部類です。

 

つまり、「無暖房」として冬暖かいというのを実現するには、グリーンガラスだと太陽熱を66%もカットしてしまうわけですから、厳しい事が想像できませんか?

 

QPEXで計算すると、
サーモスXのグリーンxグリーンは日射熱取得率は42%

APW430は同じクリプトンガス入りで比較するならば、ブルー色は30%、ニュートラル色は46%です。

 

いずれにしても、皆さん50%以下です。

つまり、同じ大きさであれば、サーモスXもAPW430も熱貫流率はほぼ同じで、後は熱取得率勝負になるわけですね。

 

とりあえず、後半の窓の解説は、セミナーで話するような内容、連載内容レベルの事を書いています(笑)

 

なので、もうこんな事してたら仕事が進まないので、これにて失礼いたします(笑)

同業者の皆様、ここまで書けば、窓の比較を要求された時に、大きく変わりそうか、大して変わらなさそうかは分かりますよね?

ガラスの色をしっかり見てください。

基本、熱取得が高いのはクリア色です。

 

リクシルに多い事ですが、ガラスの色をグリーンにそろえる為に南もグリーンにしてしまうと、性能値は数値上良いけど、無暖房ではクソ寒い家が誕生してしまいますからね。

 

皆さん、ラファエル設計は、もの凄い色んな事やってて、大変なイメージあるかと思いますが、実際のシミュレーションはある程度頭の中で行っていますので、もはや考えたとしても1、2時間の世界です。

UA値とQ値なんてのは、お客様との打ち合わせでプラン決定した瞬間から15分くらいで出せますので(笑)

 

ラファエル設計は窓は基本的にメーカー1種類しか使わないので、毎回余計な事考えないです。

 

建築知識ビルダーズの連載を読んでいただければ、この辺の話は詳しく触れています。

2020年06月22日