Q1.0住宅都賀②の温熱状況(室内編)
Q1.0住宅都賀②の温熱状況の報告を少しだけしたいと思います。
と・・・その前に、下記は去年の同じ時期の
Q1.0住宅レベル3の粟野
8月4日の状況です
- 外気
- 外気温33.5℃
相対湿度70.4%
絶対湿度23.73g/kg一応かみ砕いて解説するけど、
相対湿度とは、温湿度計で皆さんがよく口にする「湿度」の%のことです。
絶対湿度というのは、33.5℃という空気が持っている水分量だとイメージしてください。
難しい言い方をすると、乾いた空気1kgに対する水蒸気の量です。
もう一度相対湿度に戻りますが、33.5℃の外気温に対して、湿度100%となると、絶対湿度は33.5g/kgとなります。
つまり、33.5℃という外気温で23.73gの水分を空気が含んでいると、湿度は70.4%ですよ!ってこと。
なので、ジメジメとかいうのは、絶対湿度で見る方が分かりやすい。
絶対湿度は、室内では20gもあったらすごいジメジメする感じです。
よく高気密高断熱の家では12g/kg以下を目標にされたりしますよね。 - 室内
- 室温24.1℃
相対湿度55.4%
絶対湿度10.59g/kgものすごく快適な環境といえます。
で、今回のQ1.0住宅都賀②を見てみましょう。
粟野と同じくQ1.0住宅のlevelは、省エネ基準よりも80%以上暖房エネルギーがOFFになるlevel3です。
- 外気(西側)
- 外気温41.3℃
相対湿度46.0%
絶対湿度23.30g/kgここで少し片づけしていて気持ち悪くなってきました - 外気(北側)
- 外気温37.0℃
相対湿度50.4%
絶対湿度20.09g/kg玄関です。
少し日陰になってましたが、暑いのは変わらない(^_^;) - 室内
- 室温24.1℃
相対湿度56.2%
絶対湿度10.59g/kg
んんんんんん!?
粟野↓粟野 都賀2 室温 24.1℃ 24.1℃ 相対湿度 55.4% 56.2% 絶対湿度 10.59g/kg 10.59g/kg
すごくない!?(笑)
外気温が違うけど、エアコンの設定温度によって、同じ室内環境を創り出すことに成功しています。
粟野は2階建て、都賀2は平屋です。
エアコンは同じものを使用していますが、エアコンの吹き出し方法は若干違います。
夏用・冬用と1台ずつの設置ではなく、本当に1台だけ。
今回は、実際は違うけど、分かりやすく説明すると床下エアコンのような形。
床下に噴出した冷気を見事に天井裏まで引っ張ることに成功しました。
普通、冷房用のエアコンというのは2階の吹抜けとかの天井付近・・・いわゆる高い位置から冷たく重い空気を落とすイメージなので、
誰もが冷房の空気を天井付近へ押し上げるということは、失敗すると思っていたことでしょう。
基本的に、室温は全室同じ温度です。
サーモカメラも見てみましょう。
太陽が当たっている部屋などは若干表面温度が23℃台で高いです。
- リビング(床)
- 表面温度23.2℃
表面温度23.3℃
表面温度22.1℃ - リビング(勾配天井 高い部分)
- 表面温度23.2℃
- リビング(天井 低い部分)
- 表面温度22.8℃
- リビング(窓際)
- 表面温度27.1℃日射取得タイプだから、少し表面温度が高くなるのは当たり前だけど、真っ赤ではなく、オレンジ色しているので、急激な温度差はない。
- キッチン(壁)
- 表面温度22.3℃
- キッチン内廊下(壁)
- 表面温度22.4℃
- 子供室(床)
- 表面温度20.5℃
- 子供室(壁)
- 表面温度20.8℃
- 子供室(天井)
- 表面温度20.9℃
- 地下(床)
- 表面温度20.9℃
- 地下(壁)
- 表面温度20.9℃
- 地下(天井)
- 表面温度22.0℃
- 玄関(床)
- 表面温度20.1℃
- 玄関(ドア)
- 表面温度23.1℃
- 玄関ドア枠
- 表面温度28.8℃
- 寝室(床 +250部分)
- 表面温度21.6℃
- 寝室(壁 +250部分)
- 表面温度22.6℃
- 寝室(床 ±0部分)
- 表面温度21.1℃
- 寝室(ウォークイン側 壁部分)
- 表面温度21.6℃
- トイレ
- 表面温度22.1℃
- 床下内
- ちょっとこれは別な日でエアコン設定温度が違うのですが、冷房をつけているけど、青くなっているのは断熱材の部分だけなんです。
表面温度21.4~25.5℃
表面温度20.9~25.0℃
表面温度19.8~23.8℃
↓青くなっているのは冷房の風を当たっている部分です
ようは、スラブ面が真っ青になっていないので、冷気は基礎コンクリートに落ちていないということなのです。
ちょっと、天井とか取り忘れている部屋もあるけれど、まだちゃんどエアコンの吹き出し風量調整していないから表面温度に差が出ているけれど、各室ごとの床・壁・天井はほとんど同じ温度ですよね?
で、下記はQ1.0粟野の1階床だけから吹き出し風量が大きいサーモ画像です。
分かります?
床だけ吹き出し強くすると、足元40cmくらいの部分だけとっても冷えてしまうんです。
粟野と都賀2では、冷気の引っ張る方式が違うので、このようになるのは当たり前なので、粟野をしっかり吹き出し改善させると下記のようになるのです。
つまり・・・
このようにならずに
↓このように窓以外ほぼ2色になるのは・・・
冷気がしっかり換気と一緒に還気されているからですね。
いいですか?
高気密というのは、寒さをしのぐための指数ではなく、
こういった換気・還気を確実に設計通りに空気の流れを創り出すことのための
「高気密」
です。
今回は、粟野をヒントに考えたものでもあるのですが、設計を確実なものとしてくれたのは大工さんとか電気屋さん、設備屋さんです。
途中、NGな部分は勿論是正してもらっていますが、こういったことを実現させるためにするものが、「設計監理」というものでもあります。
正直、ここまブログを書いたのは、読者というより、住まい手さんに向けて書いたものです。
これは、皆さんに言えることですけど、C値という気密を表す数値というのは、穴という穴をすべてテープでふさいで測定します。
実際、それをやってもあまり意味がない。
実際には10個換気のための穴が開いている家と、5個しか開いていない家・・・
気密測定時は穴をふさぐから同じ条件かもしれないけど、実際の住まいは穴が5個も空いているのが違うんですよ?
なので、目張り(穴をふさぐこと)してC値を競ってもあまり意味がないという持論です。
まあ、とにかくですよ。
エアコン1台でここまでの環境を創り出せるわけですね。
これを体験できた方の感想
- エアコンってどこにあるんですか?
- 想像以上にすごい
- 何処も体感温度変わんない
- いや~マジで涼しくて快適
- これはすごい
- エアコン1台でここまで涼しいのですか!?
こんな感じでした。
Q1.0住宅レベル3・・・
室温シミュレーションなどを屈指しているからこそできる技です。
QPEXでの計算結果は下記です。
W様、M様、Y君・・・
温熱の設計において、無名のラファエル設計を信じてくれて、ありがとうございました。
信じてくださった気持ちに、「チーム」として応えられたと思います。