アルミで家を囲めば省エネ大賞?
アルミで家を包み込んで省エネ大賞というふざけた広告を目にしたので、ちょっと調べてみました。
今日は、一般ユーザーのために、徹底的に突っ込みます。
ハウス・オブ・ザ・イヤーイン・エナジー
というのも7年連続受賞しているくらいにすごいらしい。
では、見てみよう。
「アルミで包んだ家だから省エネ」
という広告について。
まず、アルミというのは「アルミ箔」
高断熱・高気密・高遮熱
外壁設置するんだよね?
遮熱ってしないよ?
遮熱塗料というものを塗れば最強という考えの人もたまにいるんだけど・・・
アツアツのフライパンでも、やきそばとかお好み焼きを焼くための鉄板に遮熱塗料とか遮熱シートおいて、手でその高温になった鉄を触れますか?
遮熱と断熱の違いを詳しく説明しませんが・・・
アルミによる遮熱っていうのは省エネには直結しません。
そして、
高断熱・高気密
じゃなくて、
「高気密高断熱」
という一文ね。
マクド・ナルド
ロー・ソン
孫・悟空
こんな風に・で区切るのと同じです。
はい、これについては終わり。
次に
「アルミで包んだ家だから健康」
これについて。
HPにはこんな画像が出ている。
いかにもメチャすごいかのようなアピールなのですが・・・
省エネ大賞受賞して、ハウス・オブ・ザ・イヤーイン・エナジー7年連続の省エネ住宅がですよ?
部屋間温度差が
暖房室と非暖房室で8℃もあるの?(笑)
こんな風に、室外機たくさん=エアコンをたくさん設置しないと、ダメってこと?
日本エコハウス大賞の奨励賞を受賞させていただきました、Q1.0住宅粟野の1日の室温見てみようか。
冬のデータは多分初公開だと思います。
下の山型の曲線は「外気温」です。
エアコンは1台、1階リビングから吹き出しされています。
深夜0時過ぎから朝7時には外気温は0℃マイナス~1.4℃だったみたいですが・・・
キッチンとリビングは同じ空間なので、ここが「暖房室」とするならば・・・
当然、玄関や小屋裏は非暖房室。
でも・・・
一日を通じて・・・
非暖房室の
玄関はほぼ約21℃、
小屋裏は約22℃
暖房室のキッチン・リビングは23~24℃
部屋間温度差は3℃くらいです。
下記は面白いよ(笑)
測定器、バグってたんかな?(笑)直線すぎるけど(笑)
ちなみに、夏ね。
注目なのは、締め切りの小屋裏が12時以降一番室温が高くなっているけど、当然冷房なんて設置されていないのだけど、15時あたりで26.7℃ですよ?
最近、同業者には言っていることでもありますし、セミナーで登壇した際には話しすることですが・・・
ラファエル設計が目指すべき温熱環境というのは、Ua値とかQ値、気密性能を表すC値というものは特に何かの数値を目標にしているわけではないんですよ。
室温だけではなく、湿度のことにもきちんとアプローチして・・・
サーモカメラでみても温度ムラはないようにして・・・
↑一階の床
↓吹抜け上部の2階天井
1階も2階も、温度差は2℃以内を目指して・・・
真冬の朝、外気温がマイナス7℃でも「無暖房」で17~18℃を目指す。
年間の冷暖房費も24時間連続運転で1万円台を目指していく。
その結果・・・
UA値とか、Q値とかの性能値がいくつだったの?
って話なのです。
ちなみに・・・
ラファエル設計の設計するQ1.0住宅は、アルミ箔でなんて包んでいません。
アルミ箔で包んだ家は、暖房室と非暖房室の温度差何度だっけ?
・・・
え~~っと
℃
何大賞だっけ?
あ~~ちがうちがう・・・。
冷暖房費を書いてたりするんですけど、2013年の25円計算だし。。。
まあ、でも・・・
省エネ住宅を作っていこうとしている会社は仲間なのですが・・・
どういったものが省エネ住宅なのか?
ということがとっても一般ユーザーにはわかりにくい。
これも、セミナー登壇時に話することなのですが・・・
ほとんどの会社が省エネ住宅を目指す・目指さない関係なく、今は窓の性能がよいので、普通にやってゼロエネルギー住宅基準くらいのUA値の性能値にはなる。
でも、暖かくなるわけではないということを建築知識ビルダーズの連載では執筆した。
そして、高性能住宅を目指そうとする会社がおそらくほとんどやっていることが・・・
例えばZEH基準やHEAT20のG2をクリアするためにはどんな断熱仕様にすればよいのか?
という行為。
下記はMAGというグラスウールメーカーで出しているものです。
いいですか?
このような行為というのは、
温熱設計の目標値言うか、ゴールがUA値0.34とかなんです。
性能値としてはとても良い数値だけど、これが良くても家が暖かくなるわけではないことをシミュレーションをしたことがない人は分からない。
竣工後の実測をしたことない人にもわからない。
たとえるならば・・・
高級食材を使えば美味しい料理ができるわけではないということですよ。
例えば高級な塩を大量にかけたらどうなります?
僕の中で、シミュレーションというのは、料理で言うなら
「味見」
みたいなものです。
高性能住宅をつくる色んな会社が、誕生するのはとっても良いことです。
しかし・・・
何度も言うけど、「性能値」だけにしか意識が向いていない。
これからの高性能住宅は、温暖化によって、冬暖かいのは当たり前の時代が来るでしょう。
なので、ラファエル設計が気にしているのは冬というよりも夏です。
夏の湿度を如何に取り除くことができるか?
冬の湿度をどう高めるか?
こういった設計に神経すり減らしています。
まあ、なんだ・・・
今回の話で、一番突っ込みたいところは「温度差」
温度差というのは、暖房してようがしてまいが、8℃もあるようでは話にならないということです。
8℃というのは↓このようなことです。
こういった室温画像を想像できるようになってください。
上の室温画像は外気温5.3℃ですが、下記はラファエル設計が設計した例です。
無暖房で外気温マイナス0.3℃ですが、全室2℃以内です。
室温シミュレーションでこういった色合いだと、サーモカメラでもそのような感じになります。
こういったところが、ラファエル設計の温熱設計では違うところ。
おそらく、温熱設計においての視点が他社とは全然違うと思いますので、同じことをやったことがない会社に、僕の考えを聞いたとしても、意味もなく否定するでしょう。
所詮シミュレーションとか。
でも、きちんと設計と実測をしてシミュレーションとの整合性をとっています。
なので、シミュレーションとかやったことがない人に、否定をされても言葉の重みがないですよね。
一般ユーザーの方へ。
高性能というのは、性能値だけを見比べるのはやめましょう。