QA値って説明できる人いる?Q値、UA値が良くてもあるものを考えなければ意味ないよ!
これまで、色んなページでUA値、Q値、C値の話をしています。
家づくり選定の際、これら3つを聞く事が、家づくりをお願いする一つの目安にもなるという事を知っておいてください。
ざっくり説明すると・・・
Q値=建物からの熱の逃げにくさを表します
UA値=窓や外壁から熱が移動・通過する量を表します
C値=気密性能でもある、家全体の隙間を表します
省エネを示す数値なので、基本的に数値は小さい方が省エネであり、家の性能も良くなります。
家づくりの際、これらの数値を目安にする事は大切ですが、これだけではダメな事を知って欲しいと思っています。
これだけで難しく思う方は・・・
Q値とUA値は、建物の熱がどれくらい逃げるのか?
と一括りに思ってくださればイメージはつかめると思いますよ。
下記は別ページでも使用している解説となり。少し詳しく説明していますが、難しい方は、下までスクロールジャンプしてください(笑)
(※緑の背景の部分は一度スルー)
ここから・・・
- Q値(熱損失係数)
- ※建物からの熱の逃げにくさを表します。
数値が小さい方が高性能
現在は省エネ基準から無くなり、下で説明するUA値へ変わりました。
※ポイントは画像※1に記載のある
『換気と漏気で失う熱量を含みますよ』
って所。
基準からは無くなりましたが、無視できない数値となります。
つまり、基準改定後もきちんと計算して算出する事が重要です。 - UA値(外皮平均熱貫流率)
- ※窓や外壁から熱が移動・通過する量を表します。
数値が小さい方が高性能。
ここでポイントは、画像※2に記載のある
『換気と漏気で失う熱量は考慮してない』
って所。
気密性が悪くて隙間だらけの家でも、UA値が小さければ高性能です!
と言えてしまう矛盾。
何故そうなるのかというとUAのAはアベレージ(平均)のAなのです。
U値というのは熱貫流率(W/㎡・K)の事で、熱の通りやすさを表します。
U値が大きいという事は、それだけ熱が通過しやすいという事です。
建物には、どんなに高性能な家を造ろうと、屋根や外壁、窓や基礎で熱貫流が発生します。
- 屋根の熱貫流率U値
- 外壁の熱貫流率U値
- 窓の熱貫流率U値
- 基礎の熱貫流率U値
ここで問題なのが、このUA値には、換気扇などから失う熱量が抜けちゃったという事なのです。
理解しやすいように、もっと噛み砕きます。
下記の様にイメージしてください。- 国語(屋根の熱貫流率U値)
- 数学(外壁の熱貫流率U値)
- 理科(窓の熱貫流率U値)
- 社会(基礎の熱貫流率U値)
- 英語(換気と漏気で失う熱量)
- 国語 100点(屋根の熱貫流率U値)
- 数学 100点(外壁の熱貫流率U値)
- 理科 100点(窓の熱貫流率U値)
- 社会 100点(基礎の熱貫流率U値)
- 英語 0点(換気と漏気で失う熱量)
でも、Q値で考えたら同じ400点/500点ですが、満点ではなくなりますよね?
平均点80点です。
UA値とは、残念な役人さんたちが作った、謎仕様なのです。
如何にQ値の大切さがわかるのです。
では、UA値で同じことを考えて見ましょう。
今度は断熱材の有無で考えます。
断熱性能というのは数値が小さい方が高性能となります。
薄い断熱材が入っていれば0.87とします。
無断熱は1.0とします。- 屋根U値 0.87点(屋根の熱貫流率U値)
- 外壁U値 0.87点(外壁の熱貫流率U値)
- 窓U値 0.87点(窓の熱貫流率U値)
- 基礎U値 1.0点(基礎の熱貫流率U値)
では、今度は厚くて高性能な断熱材を0.5としてみましょう。
無断熱は1.0とします。- 屋根U値 0.5点(屋根の熱貫流率U値)
- 外壁U値 0.5点(外壁の熱貫流率U値)
- 窓U値 0.5点(窓の熱貫流率U値)
- 基礎U値 1.0点(基礎の熱貫流率U値)
信じられますか?
床か基礎が無断熱でも、UA値とは平均となる為、他の部分の性能が良くなれば、次世代省エネ基準なんて、楽勝でクリア出来てしまうのです。
よく、「窓が弱点だから、窓の性能を上げる」という話を住宅展示場巡りなどをした時に聞いたりしませんか?
それが上記で言っている事です。
窓以外の断熱性能は大したことないのに、窓だけ性能上げて、
『うちは高断熱住宅仕様です』
というのはこういう事です。- 屋根U値 0.7点(屋根の熱貫流率U値)
- 外壁U値 0.7点(外壁の熱貫流率U値)
- 窓U値 0.1点(窓の熱貫流率U値)
- 基礎U値 0.7点(基礎の熱貫流率U値)
ZEH(ゼロエネルギーハウス)をクリア出来る基準となります。
これは、性能だけクリアしているけど、実際は寒いという事になります。
冒頭でQ値は換気と漏気で失う熱量を含みますという事を説明しました。
なので、下で説明する『C値』も漏気に係わるので重要なのです。 - C値(相当隙間面積)
- ※気密性能を表します。
家全体の隙間を表します。
数値が小さい方が高性能です。
C値1.0というのは
1㎠/m²
となります。
床面積1m²につき1㎠の隙間があるという事です。
ハガキに例えます。
ハガキというのは10cm×14.8cmです。
面積にすると148㎠になりますね。
家の床面積が148㎡(44.8坪)でC値1.0なら、その家は隙間を合計すると、
ハガキ1枚分の隙間があるという事です。
C値が0.5なら、半分となりますのでハガキ半分の隙間という事になります。
ただ、勘違いしてはいけないのが、このC値は『家全体』の隙間であるという事。
窓の気密性能だったり、ドアのカギ穴だったり、そういった所にも影響されるのがC値です。
個人的に、C値が1.0以下であれば、0.5でも1.0でも、それほど室温に影響するとは思っていません。
測定は換気扇や給気口などを塞いで測定しますが、
実際の暮らしでは、換気扇回せば暖かい空気は逃げますし、窓を開ければもっと暖かい空気は逃げます。
第三種換気の場合、給気口全て開けたら実際のC値は大きくなります。
どちらかというと、グラスウールであれば、気流が起きれば断熱性能は6倍以上低下してしまうので、気流止めが必要なわけです。
気流が起きてしまうような建物の場合、C値がいくら良くても断熱性能はほぼ無いです。
気密を取るのは勿論重要ですが、C値だけで家の性能を判断するのは間違いです。
断熱材の厚みや種類の方がよっぽど重要です。
C値0.1とか0.2が出せれば、それはかなり凄い事ですが、0.5切れなかったからダメとか文句言うとか、
そういったレベルの話ではありません。
そして、壁の中で気流が起きないように、入口と出口を造らないようにする事の方が重要です。 - まとめ・注意事項
- よく、UA値を小さくする為に窓が少なくほとんど壁ってデザインを見ますが、これは光熱費削減の観点からしたら巧いデザインではありません。
トリプルガラスを多用してUA値を下げるという事をしても、屋根や天井・壁の断熱材の厚みが薄かったり、熱橋が多くては、熱がジワジワと逃げて行ってしまいます。
大体、光熱費が一番かかるのは1月です。
12~2月が1年で一番高くなる時期でしょう。
つまり、夏のエネルギーよりも冬のエネルギーの方が沢山使うのです。
太陽は自然の暖房機です。
太陽に素直な窓の計画をしない事には、いくら数値を良くしても、
『思ったより』寒いという事が実際に起きます。
家づくりをする際は、これらの事をしっかりと話が出来る会社と契約するようにしましょう!
ここまでジャンプ!!(笑)
ハウスメーカーでも、目標としているUA値やQ値を公表している所もあると思うのですが・・・
何故、これだけで評価してはダメなのか?
ここを詳しくご説明致します。
まず、Q値とUA値というのは、24時間換気などによって熱が逃げるという考えを、無くしてしまって、
もの凄く、都合よく、高性能だと錯覚させる為に出来上がったものが『UA値』というのもです。
何故、このようなUA値が出来てしまったのか、意味不明ですが・・・
実は、これらの数値だけでは、実際の省エネ性能は評価出来ません。
先ほども話したように、『建物の熱が逃げる』という数値であると説明しました。
『建物の熱』ですが、そもそも、家の中にあるその熱は、一体どこからやってくるのでしょうか?
どれだけ高気密高断熱の家を造ったとしても、外気温が0℃なら、室温も0℃に向かっていきます。
ケーキなどをお土産で買う時など、保冷剤を付ける為に、持ち帰り時間を聞かれたりしませんか?
それと同じで、クーラーボックスや保温バッグがあれば、保冷剤のもちが全然違いますよね。
保温のお弁当も、熱を保つために、味噌汁などのスープが必要ですよね?
家の場合は、それらの熱は、色んなものから発せられています。
- 人間
- 家電(冷暖房器具以外)
- キッチンの食洗器など
- 照明
- 太陽
などなど・・・。
人間なども含めて、太陽以外を『生活熱』と呼びます。
太陽を『日射熱』と呼びます。
冷暖房器を『冷暖房熱』と呼びます。
それぞれの熱を数値化すると、単位はW/hとなります。
hは時間で、1時間当たり、どれくらいの熱があるの?って考えるとイメージしやすいと思います。
Wは、ストーブなどで300W、500W、1200Wとか暖房能力を示しますよね?
当然、1200Wとかの方が、沢山の熱を発する事が出来る訳です。
これで、またイメージしやすくなりましたか?(笑)
先ほどもお話したように、家の中では、1時間あたり、生活熱で400Wとかの熱が生み出され、太陽からは600Wとかの熱が、窓を通じでやってきます。
これらの熱が、高くなるほど、室温は上がるのです。
そこで、これらの熱が、どれだけ逃げてしまうのか?
というがQ値やUA値なのですね。
当然、断熱性能が良い家は、熱を逃がすスピードが遅いわけですから、『保温力が高い』というわけです。
例えば、室内の熱(生活熱+日射熱)が1時間で1000W、
Q値が2.4の場合、どれくらい熱が逃げるのか?
実はこれだけでは分かりません。ってゆーか、全くイメージ出来ませんよね(笑)
ここで必要なのが、ブログタイトルにもある、QA値という値です。
Q値は熱損失係数ですが
QA値は総熱損失係数と言います。
家は、四角い家もあれば、L字の様な家もあり、凸のような家、凹のような家、色々あります。
Q値は床面積に左右され、UA値は外皮の面積に左右されます。
つまり、延べ床面積が同じ建物でUA値が同じだとしても、1階の面積が広くて凹の形状の様な平屋の方がQ値は悪くなるという事です。
逆に言うと、Q値は悪いはずなのに、UA値は良く出てしまうという事になります。
なので、平屋が流行っているとかあるかもしれませんが、UA値だけだしてもQ値も知らなきゃ、本当の性能は不透明です。
で、重要なのがやっぱりQ値・・・というかQA値。
このQA値が分かれば、室温1℃上げるために、それだけの熱量が必要か、分かるのです!!
こういった事を考えながら設計している人はほどんといないと思いますが(笑)
それではこれからの時代、ダメなのですよね。
話を戻しましょう。
室内の熱(生活熱+日射熱)が1時間で1000W、
Q値が2.4の場合、そして床面積が100㎡の場合、どれくらい熱が必要か?が分かるようになります。
つまり、こういう事です。
Q値2.4、床面積100㎡の家で・・・
外気温10℃、生活熱が400W、日射熱が600Wの場合、
室温を20℃にするには、どれくらい暖房が働かなくてはいけないのか?ってのが分かります。
暖房に働いた分は、その賃金を東電とかに支払わなくてはなりません。
エアコンというのは、派遣社員のようなものです。
この家の場合、生活熱+日射熱で『約4.17℃』室温を上げる事が出来ます。
外気温10℃ですから、現在の室温は14.17℃という事になります。
つまり、室温20℃にする為に、暖房は5.83℃の働きをしなくてはいけないという事です。
では、この家で、生活熱+日射熱が変らなかったとしたら、
外気温が0℃になった場合は15.83℃もの働きをエアコンがしなくてはいけません。
しかし、真冬の深夜~早朝の場合、生活熱は殆ど期待できませんし、日射熱は0です。
外気温が0℃の場合、生活熱は100Wとすると室温は0.5℃分の熱量しかないわけですから、エアコンは19.5℃もの働きをしなくてはならないのです。
つまり、エアコンは一瞬で20℃に室温をするには、4000Wもの働きをしなくてはいけないのですよ。
でもまあ、そんな一瞬では不可能なのでジワジワ暖めるわけです。
ですが、家には隙間・気密性を示すC値もあり、熱が逃げるQ値やUa値があるので・・・
無数に穴の開いたバケツに水を入れ続けるというイメージしていただくと分かりやすいかと思いますが、
入れる水 VS 漏れる水
ならぬ
暖める熱 VS 逃げる熱
というバトルが生まれるわけですね。
つまり、Q値が2.4という家は、常にエアコンが頑張り続けるという事になり、
Q値1.0のような家は、エアコンが殆ど動かない、もしくはスタートだけ動いであとは休憩。
という状態なのですね。
そこで皆さん、思い出してください。
僕は、冬の日射取得と、夏の日射遮蔽(日射カット)が重要だといつも話しております。
そうです!冬の日射取得とは、これまで話してきた、『日射熱』の事です。
今回のブログタイトルの「あるもの」とは日射熱です!!
つまり、窓が弱点といって、窓を小さくしたり、窓が殆どなくてUA値が良いというような家というのは、この太陽エネルギーである日射熱が殆ど取込めないのですね。
つまり、Q値やUA値が低くて「省エネ住宅」と言っても間違いではないのですが、僕からすれば、そのような省エネ住宅は「まがい物」。レプリカという事です。
だって、冬は日射熱がなければ、エアコンが頑張るしかないんですから(笑)
これは、南側の窓を大きくして、遮熱ガラスにしちゃうという行為も同じです。
昔、南側の縁側のような所などの暖かさをイメージしている人が、遮熱ガラスの南側の家に住むと、その心地よさもなくなり、むしろ「寒い」と思うようになり、窓を開けた方が日射熱が取込めて、その場所は暖かいという現象が起きます。
UA値というのは、省エネ法の届出で算出が必要な数値であり、Q値は現在省エネ法から削除されたから、Q値を示す意味がないという人もいるし、シミュレーションソフトメーカーも、そういった理由からQ値が出せないという事になっていました。
なので、ソフトメーカーにもQ値を出せるようにしてくださいと、ずっと言い続けてきて、やっと実現しました。
今までは、別のソフトでQ値を出していたので、二度手間だったのですが、だいぶ楽になりました。
ちなみに・・・
Q値1.0、床面積100㎡の家で・・・
外気温10℃、生活熱が400W、日射熱が600Wの場合、室温を20℃にするには、どれくらい暖房が働かなくてはいけないのか?
この家の場合、生活熱+日射熱で『約10℃』室温を上げる事が出来ます。
先ほどQ2.4の家は『約4.17℃』でしたね。
外気温10℃の場合、現在の室温は20℃という事になります。
つまり、室温20℃にする為に、暖房は『停止状態』いう事です。
では、この家で、生活熱+日射熱が変らなかったとしたら、外気温が0℃になった場合は10℃の働きをエアコンがするようになるという事です。
5.8℃の差がある訳ですが、気温で5.8℃も違ったら、全然違いますよね(笑)
換気設備を熱交換型の第一種でやるか、熱交換のない自然給気口の第三種、高気密高断熱に熱交換がないのはあり得ないという考えの人もいるかもしれませんが、別にそんな事はありません。
窓も熱損失の為の「弱点」だと考えられる人は多いけど、日射取得の為の「長所」と考えられる人は少ない。
C値でもある、気密性能も、1以下であれば高気密と言えると思いますが、1と0.5でメチャクチャ違うかと言えば、室温にはそれほど影響はない。
本物の省エネ住宅というのは、お金を掛けて、木製サッシやら熱交換器やらに出来れば、UA値やQ値を良くするのは簡単過ぎますが、実際に重要なのは『室温』や床・壁・天井の『表面温度』です。
窓が弱点という人は、窓ばっかり性能上げて、外壁の性能は低かったりする。
玄関のドアをもの凄く性能が良く、高いお金出しているのに土間の断熱は一切してないとか・・・
そんなのは住まい手に「ただ高いお金出させているだけの家」でしかありません。
家というのは、断熱性能だけ上げれば暖かいと勘違いしている人が、プロでも、高断熱を造っているプロたちでも理解していない人が多いです。
つまり、省エネ住宅は造っているけど、キチンと温熱について、理解しながら設計・施工をしているのか?
って事です。
せっかく省エネ住宅を造ったなら、光熱費だって安くならなきゃ意味がありません。
UA値、Q値、C値というものは、家づくりの依頼先を、ふるいに落とす材料となりますが・・・
そこから先は、これらの数値の意味と理解などの領域に入っていくのではないでしょうか?