heat20のG2グレード(UA0.34)って凄いの?

heat20のG2グレード(UA0.34)って凄いの?

別に凄くありません(笑)

UA値0.34というのは、那須、日光を除く栃木県の場合、省エネの地域区分は「5地域」となりますので、
5地域でUA値0.34以下となれば、G2グレードとなり、国内最高レベルの省エネ性能となります。

 

え!?それなのに凄くないの?

と思うかもしれませんが、凄くないです(笑)

 

下記を見てください。

 

赤線の注意書きを分かりやすく説明すると・・・

いくらこれらのUA値をクリアしても、日射遮蔽(しゃへい)と日射取得が出来なければ、性能を発揮出来ませんよ!
と言ってるわけです。

heat20では、上記のUAを目指すと、室温と体感温度がどんな感じになるのかというのも発表されています。

↓な感じで、暖房したり、しなかったりで、どうなるのか?って事です。

 

結果としては↓になります。

次世代省エネ基準のUa値(0.87)の場合、『冬の家の中での体感温度が15℃未満となる割合』が30%程度
と言ってます。

一方、4~7地域(福島~関西方面とか南の方)の場合でG2グレードなら体感温度が15℃未満となる割合は15%程度と言っています。

次世代省エネ基準の半分になるって事ですね。

また、表3では、冬に体感温度が大体8℃を下回らないのが次世代省エネ基準の家で、大体13℃を下回らないのがG2グレードだと言っているのですね。

 

では、見て見ましょう!

ドーーん!!

上記は宇都宮での次世代省エネ基準クリアの家です。
大体8℃を下回らない・・・のですが、無暖房で朝方は、余裕で8℃以下になります。

 

はい、では、G1グレードをクリアしたハウスメーカーの家。
(UA0.46)

ドーーーーん!!

上記は小山でのG1グレードクリアの家です。

大体10℃を下回らない・・・はずですが・・・

午前10時になっても外気温が-0.3℃くらいだと10℃下回っていますね。

実は、この家、全てトリプルガラスの樹脂サッシです。

 

では、UA0.27というG2グレードクリアの家を見て見ましょう。
場所は黒磯です。

ドーーーん!!!!

 

大体13℃を下回らないはずが・・・朝も夜も13℃以下です。
朝方なんて、ほぼ10℃以下ですね。

 

はい、もう一度、振り返ってみましょう!
上記のUA0.27というのは、北海道の一番寒い所のG2グレードの基準さえもクリアしているのです。

恐らく、G2グレードをクリアしていたとしても、北海道で-20℃くらいになる地域であれば、室温も0℃に近付くでしょう。

 

 

もう一度この表を見てください。
リビングや寝室などの居室は、暖房をしているけど、トイレや廊下、洗面・浴室は無暖房なので、さっきのシミュレーション通りになるわけです。

これは思いっきり、「ヒートショック」の状況が出来上がるというわけですね。

 

G2グレードにするという事は、次世代省エネ基準クリアの家からすれば、プラス300万くらいはUPするはずです。

それなのに、上記シミュレーションの様な家になったとしたら、無意味に高いお金出して、寒い家になっているという事なんですよね。

 

それは何故か!?

下記表の、赤線注意書きが全てです。

 

冬の日射取得と夏の日射遮蔽(しゃへい)・・・

つまり、冬は太陽を取り込んで、夏は日射熱をカットするという事が出来なければ、

意味がないという事なのです。

 

ちなみに・・・
下記のプランは、北が30度くらい振れています。
南東や東面に大きな窓があるのですが、太陽が1日のうち、3時間も当たらないのです。
そうなると、室温を上げる為には、エアコンに頼るしかなくなります。

 

 

これは、相談された物件なのですが、上記のプランから窓の配置や大きさをアドバイスした所・・・
こんなに室温が変わりました↓

ビフォー

 

アフター

 

 

ちなみに・・・

UA値が同じくらい(0.27)でラファエル設計のQ1.0住宅であれば・・・

宇都宮の朝5:00、外気温マイナス5.2℃でも、一日中『無暖房』で室温は全て20℃超えてます↓。

 

 

ここで、正確な情報をお伝えします。

UA値というのはUのA(アベレージ)『平均値』なのです。
UA値がheat20のG2グレードをクリアしてようが、日射取得と日射遮蔽という、「エネルギー」に対してもアプローチしたG2グレードでなければ、数値だけよくして喜んでいるだけとなるのです。

 

厚くて高性能な断熱材のU値を0.5としてみましょう。無断熱は1.0とします。

  • 屋根U値 0.5点(屋根の熱貫流率U値)
  • 外壁U値 0.5点(外壁の熱貫流率U値)
  • 窓U値  0.5点(窓の熱貫流率U値)
  • 基礎U値 1.0点(基礎の熱貫流率U値)

平均(UA値)はなんと0.625となり、次世代省エネ基準をクリア出来てしまうのです。
信じられますか?
床か基礎が無断熱でも、UA値とは平均となる為、他の部分の性能が良くなれば、次世代省エネ基準なんて、楽勝でクリア出来てしまうのです。

 

よく、「窓が弱点だから、窓の性能を上げる」という話を住宅展示場巡りなどをした時に聞いたりしませんか?
それが上記で言っている事です。
窓以外の断熱性能は大したことないのに、窓だけ性能上げて、『うちは高断熱住宅仕様です』というのは、どういう事か、下記で説明します。

  • 屋根U値 0.7点(屋根の熱貫流率U値)
  • 外壁U値 0.7点(外壁の熱貫流率U値)
  • 窓U値  0.1(窓の熱貫流率U値)
  • 基礎U値 0.7点(基礎の熱貫流率U値)

UA値0.55です。
5地域のZEH(ゼロエネルギーハウス)のUA値0.6をクリア出来る基準となります。

これは、性能だけクリアしているけど、実際は寒いという事になります。

だって、窓以外は断熱材薄いんですから(笑)

この例が下記です。

窓だけトリプルガラスで、他の断熱は普通。という状況。

 

このパターンは、南までトリプルにして、日射取得の低いガラスを選定してしまっているのですよね。

「トリプルガラス」=暖かい

みたいな、思いっきり勘違いから、住まい手に勧めてしまうという、悲しい事例です。

ちなみに、このような事例も、ラファエル設計のQ1.0住宅仕様になると、下記まで室温はあがります。

勿論、無暖房です。

外気温マイナス8.2℃という条件と時間も同じです。

UAもheat20のG1グレード内です。

 


これでお分かり頂けたでしょうか?

heat20のG2グレードをクリアするUA値なら、【凄い】わけではないのです。

heat20に限らず、UAというのは、あくまでも「省エネ基準」をクリアする為の数値なのです。

しかも、この省エネ基準というのは、これまでシミュレーション結果をお見せした通り、クソみたいなもんです。

 

基準を厳しくすると、単に安くて寒い家を造っている人たちが、文句の声をあげるのです。

 

Ua値なんて、ハッキリ言って、結果論です。

平均点なんですから、いくらでも数値上のごまかしは、し放題なのですよ。

 

家の性能というのは、Q値もしっかり考えなくてはなりません。

ですが、このQ値、今の省エネ基準から消されてしまい、本当に都合よく、偽物の省エネ住宅を普及する手助けの
省エネ基準となっているのです。

 

このQ値ですが、ちょっと笑ってしまうような内容がネット上で出回っているようです。
相談あって僕も知ったのですが・・・

UA値ーQ値の換算式の存在です。

Ua ≒ 0.37Q ー 0.13

って式。

この換算式は当てになりませんからね(笑)。

Q2.7,UA0.87という次世代省エネ基準に合わせて算出すれば、何となく合っているような感じがしますが、Q値は家の形状などによっても、全然変わってきますし、延面積でも変わります。

つまり、全ての家で、この式が当てはまる訳がないのです。

先日竣工したQ1.0住宅は、QPEXで計算すると・・・
Q値0.89
UA値0.36
です。

ちなみにこのUA値を、ネットの換算式で計算すると・・・

Q値は実際0.89が1.3となります。
UA値は実際0.36が0.19というバカげた数値になります。

 

ネットではこの換算式を利用して、

『Q値0.89だからUA値は換算して0.19です!』

『だから家の性能は高い!』
『○○ハウスメーカーの性能は高い!』
『〇〇工務店の性能は高い!』

なんて書いてあったりするみたいですが・・・

スルーしてください(笑)

UA値からQ値を換算する場合、実際よりも悪く出ると思うので、「参考」までに換算するのは、まあ目安でやれば?という感じですが、Q値からUA値を換算すると、凄まじく良くなりすぎる場合がありますので、全く当てになりませんよ。

いずれにしても、目安にするのはいいかも知れませんが、それで性能が良い・悪いを判断するのはナンセンスです。

Q値換算式でQ値がいくつ? みたいな話をネット上でしている人達は、QPEXのようなソフトで、温熱計算をした事が無い人たちが殆どだと思います。これはプロの人達でも同じ事です。

エクセルなどで外皮のUA値出して、上記の換算式でQ値は〇〇です!なんて言っているプロの人がいたら、そこに依頼するのは止めた方がいいです。

それは「嘘」といいます。終わってます。

 

これって、Q値もUA値も、しっかりと住まい手に示していないから、こんな事が起きるんですよね。
(;´∀`)

Q値0.89
UA値0.36

本来はこのような性能だとしても、換算式で評価した場合、

Q値を換算して評価したなら、実際は0.89という高性能な設計をしている会社を過小評価する事になります。

また、Ua値を換算して評価したなら、実際よりも数倍の性能になりますので、『住んでみたら思ったより寒い』という事が起きると思います。

実際に建ってから、そういったUA換算をして自邸を評価した場合、実際の性能よりも高性能をうたうわけですから、「ホラ吹き」状態となってしまいます。

嘘つきという事です。

 

こういった事が、ネットでは信用できない項目なんですよね。

 

今の時代、素人のブログの方が影響力高いと感じる人もいますからね~・・・。

僕からすれば、Q値がいくつ、UAがいくつって豪語するのは自由ですが・・・

で!?

という感じです。

Q値やUA値が良ければ、室温が良くなるわけではないんですよ。

室温が良くならないという事は、省エネではないんですよ。

なんちゃって高断熱住宅

です。

自然温度差は何℃になるのか?

エネルギーはどれくらい軽減できるのか?

暖房エネルギーはどれくらい必要なのか?

ここらへんもしっかり考えられた情報を見ない限り、単にQ値やUA値だけで評価は出来ないですよ。

だって、これら全部含めて「家の燃費」ですからね?

燃費というのは「光熱費」です。

車でいうガソリン代です。

 

UAがheat20のG2グレードをクリアしていたとしても、エネルギーの事を考えられなければ、光熱費は安くなりません。

実際の案件ですが・・・

ラファエル設計のダブル断熱でUA0.49という家と、他社の設計したheat20のG2に後一歩のUA0.37という家があるのですが・・・

去年の一年間の光熱費を比較すると・・・

ラファエル設計のUA0.49の家は年間約13万円

他社のUa0.37の家は年間約14万円


家族構成など、同じようなケースの比較です。

どちらも、エアコンを我慢するような生活ではありません。

自動でつけっぱなしです。

 

Uaだけで比較すると、ラファエル設計の家の性能は圧倒的に負けてますが、光熱費では勝っています。

Uaが悪かったとしても、冬なら熱が逃げる量より日射熱を沢山取込めれば、省エネになります。
そして住まい手は「快適」と感じるものです。

 

取り合えず、今回はこの辺で♪

 

今回は、あまりにもテキトウな内容がネットに溢れているので、

有料のセミナーレベル(一部)で、お話をさせていただきました。

2018年07月06日