問題です!解ける人は何人くらいいますかね?

まず初めに・・・

①何故Q1.0住宅が求められるのか

②何故QPEXやホームズ君のようなシミュレーションを行うのか?

そんな話から入りたいと思います。

ここの所、Q値やUA値、エネルギーの事について色々書いてます。

 

多分、この問題をやると、僕の行っている事が、何となく理解出来ると思います。

UA値というのは、省エネ基準をクリアする為だけに求める数値だという事。

単純にエクセルとかで外皮計算だけやっても意味がないという事。

そんな事が見えてくるでしょう!

 

下記の問題を解けないプロの方は、解けるようになった時、今まで見えなかったものが見えてくると思います。

それをこれからの家づくりに生かしてください。

 

では問題です。

 

分かりますか?

これはですね、QPEXでの計算結果を理解していると、解ける問題です。

Q値は、建物にどんな影響があるのか?ってのが分かります。

 

ヒントは、QA(総熱損失係数)を求めればいいのですね。

 

 

 

では、答えです。

初めにQA(総熱損失係数)を求めます。
2.4x100㎡=240 Wh℃(K)

 

室温を考える時に↓を頭にイメージする


問題文で、生活熱Wと日射取得熱Wが与えられていますね。

これをQAを使って、Wを℃に変換します。

生活熱465Wは 465÷240(QA)=1.94℃に相当。
日射熱635Wは 635÷240 (QA)= 2.65℃に相当。


ここまでくれば、表に埋めるだけですね。

したがって暖房器は、外気温10℃-(1.94℃+2.65℃)=5.42

 

こんな感じで、暖房は5.42℃分の働きをしなくてはいけなくなるという事です。

つまり、これが『エアコンに頼る家』と僕は呼んでいます。

だって、日射熱が暖房よりも低いんですから。

Q1.0住宅というのは、暖房熱がとても小さくなります。

 

これが、外気温0℃の時は、暖房熱は15.42℃の働きをしなくてはいけないという事です。

日射熱が全然ない深夜~朝方なんかは、18.07℃分も、暖房が頑張らないといけないわけです。

『どこまでもエアコンに頼る家』

って言いたくなるのが分かりますか?

 

ここまでで、皆さん気が付きましたか?

UAなんて、一つも出てこないんですね。

 

Q値というのは、UAのように、熱の損失をイメージしていただければ分かりやすいと思います。

つまり、室温1℃上げる為に必要な情報というのは、UAではなくQ値から求められるQAなのです。

室温20℃の場合、QAが20個積み重なって、その室温になるのです。
つまり、少ないQAが積み重なれば、容量は軽いですよね。

省エネって事です。

 

この考えは、省エネ基準にはありません。

だから、Uaというのは、省エネ基準をクリアする為に存在する、いわば、「届出の為の数値」だと思っています。


これらの事から、「次世代省エネ基準」「低炭素住宅」というのは基準として、大した事ない性能なんだなと思うわけです。

問題文のQ値2.4って、以前の省エネ基準クリアしている数値です。

 

先日、別なブログでこんな事を書きました。

家の性能を語る上での要素
①Q値
②UA値
③気密性
④換気(漏気)
⑤日射熱
⑥生活熱
⑦外気温
⑧室温
⑨周辺環境
⑩方位
これらが関係してきます。

①~⑩の事を全て考えた上で、その家は「暖かいのか、寒いのか」という判断が初めてできます。ネット上や、プロの人でも、ほとんどが①と②、若しくは①~④くらいまでのことだけ考えての話にしかなっていません。だから、UA値とQ値だけ考えても家の本当の性能なんて分かりっこないのです。目安でしかないという事ですね。

さっきの問題で上記の要素に絡んでくるのは・・・
①Q値
④換気(漏気)
⑤日射熱
⑥生活熱
⑦外気温
⑧室温
⑨周辺環境
⑩方位

ですね。

日射熱というのは、周辺環境と方位も大きく関係します。

 

如何でしたでしょうか?

以前、新住協の勉強会で、講師として登壇した際に、この問題を取り上げたのですが、初めての人はちょっと難易度高いと感じたようですが、理解してしまえば簡単ですよね。

家づくりに関しては素人だと思っている、住まい手の皆さん・・・

この↓表くらいはイメージ出来ますよね?



室温を形成する者たちは、この表をイメージ出来れば簡単ですよね?

つまり、Q値やUA値がどれくらい低い(良い)か?という事を勝負しあっても、なんら意味がないという事です。

特に、これも最近話題に出していますが・・・

『UA値⇔Q値換算式は当てにならないよ』問題。

 

いいですか?

換算式というのは、テキトウです。

 

UA値から、Q値を算出して、このQ値が当てにならなかったら、生活熱、日射熱、暖房熱まで間違えるというか、あてにならない数値になるのです。

 

冒頭の話に戻りましょう。

①何故Q1.0住宅が求められるのか

エアコンに頼らない家が、本当の低炭素化になるからです。
自然災害が起きているこの地球にとって、必要な家づくりなのです。


②何故QPEXやホームズ君のようなシミュレーションを行うのか?

Q値、UA値を含めて、それ以外の家の性能を正確に知る為です。
自分が、どんな家の性能を、住まい手に提供しているのか?というのを把握する為です。

 

下記は、全棟標準で行う、QPEX計算書の一部です。
上記の内容も含めて、依頼者に提示・お渡ししています。

 

このような計算書を添付しない、若しくは、ソフトで計算もしない・・・

というのは、自分が、どんな家を設計・施工しているのか?

住まい手に、どんな家を提供しているのか?

全く分からない状態

という事ですからね。

 

レストランで言えば、一切味見をしないで、新作の料理を作り・・・

「美味しいですよ」

「絶品ですよ」

と言っているのと同じです。

もっと言えば、分量も毎回テキトウなので、味も毎回違うわけです。

このような計算をしないというのは、

『冬暖かく、夏涼しい』

ってホントなの?って事です。

 

このような計算を行わずに、単純に外皮計算してUA値出しただけで、

『冬暖かく、夏涼しい』

って言うのは、味見をしないで料理を出しているレストランと同じ事ですからね。

 

誰の為の家づくり?

誰の為の仕事なの?

 

自分の造ろうとしている家の性能が一切分からないで、よくお客様に

「夢のマイホーム」として提供出来ますよね。

 

住まい手の皆さんに、もう一度いいますね。

UA値、Q値だけで、家の性能を評価するのは危険です。

止めてください。

依頼する会社には、計算書をちゃんと作成してもらい、下記の様な部分を自分の目で確かめて、契約してください。
そうでないなら、燃費性能とか一切分からない車を高いお金出して買うのと同じ行為ですからね。

 

僕はUAなんか興味はなくて、上記表の「自然温度差」を重要視して設計しています。

9.5℃というのは、外気温との差が平均して9.5℃あると思っていただければ良いです。

この計算書のQ1.0住宅はレベル3という性能ですが、10℃以上になると、Q1.0住宅level4という最高レベルにいける感じになりますね。

現行の次世代省エネ基準よりも、
エネルギーを
60%以上削減がQ1.0住宅level1
70%以上削減がQ1.0住宅level2
80%以上削減がQ1.0住宅level3
90%以上削減がQ1.0住宅level4
という事になります。

 

ラファエル設計は、UA値もQ値も、専用のソフトでしっかり計算して、冬暖かく夏涼しいという根拠を出しています。

とりあえず、頭の中は↓の表を常に思い描いています(笑)

 

兎に角、素人の方で、よく分からないという場合、日射熱を多くして、暖房熱を小さくするのが省エネ住宅だと思っていただければよいと思います。

そして、「日射熱」が多くなればなるほど、光熱費も安くなります。

そしてこの日射熱は冬は味方ですが、夏は敵になりますので、遮蔽が必要になります。

一番効果的なのは、窓の外で遮蔽をする事。

つまり、外付けブラインドやよしずなんかも有効です。

 

日射熱を巧く料理できれば「冬暖かく、夏涼しい」となります。

 

夏の日射にビビって、南側の大開口窓(ガラス)に遮熱タイプを選んでしまうと・・・

『冬寒くて、夏涼しい』家となります。


夏の日射遮蔽の考えが不十分で、南側の大開口窓(ガラス)に断熱性もない普通の内側ロールスクリーンを選定してしまうと・・・

『冬暖かく、夏地獄』の家となります。

 

家づくりには、太陽の性格を見極めないと、全然省エネにもならないし、快適にもならないという事ですね。

 

数千万も出して購入する家です。

これらの計算書を出してもらわないで、家を買うのって、恐ろし過ぎませんか?

 

プロの方は、今回も問題をパッと解答できるくらいの知識は持っておいた方が良いと思います。

2018年07月11日