2x6工法は在来工法よりも断熱性能優れているの?

2x6工法は在来工法よりも断熱性能優れているの?

誰がそんなデタラメな話をしたのか分かりませんが、恐らくこんな話の流れです。

ラファエル設計が行う設計でもある在来工法の場合、柱は基本的に105mmx105mmです。
つまり、断熱材は内断熱(充填断熱)の場合、105mm以上断熱材は入れる事が出来ません。

しかし、ハウスメーカーが行う2x6(ツーバイシックス)とは、壁厚が140mmとなり、断熱材も140mm入れる事ができます。

 

というわけで、ハウスメーカーの営業マンが恐らくこう言います。

『140mmの断熱材が入るから、在来工法よりも、断熱性能は優れています!在来なんて105mmですからね!』

と。

 

もう、本当にこういった間違いな情報を植え付けないでいただきたい。

断熱材単体でみたら、そりゃ105mmよりも140mmの方が優れていますし、僕のHPでも断熱材は厚みが大切です!と言っています。

ですが、こういった事をいう営業マンも勿論存在するのですが、プロの設計士たちでさえ・・・
例えばダブル断熱で家を造れば、「夏涼しく、冬暖かい」という錯覚を起こすのです。

これは、実話です。

実際に調査もしています。

相談に来社していただいた方にはそのサーモカメラ画像もお見せしてます。

 

まず、壁の断熱材だけが厚くても、全く意味が無い事を理解してください。

室内の熱というのは・・・

  • 天井(屋根)
  • 換気扇

から逃げます。

これを防ごうとするのが「冬」の考えです。

下図のU値が逃げる熱の値です。
これらを平均したのがUA値です。

つまり、140mmの断熱材とか、ダブル断熱というのは、外壁だけの話であり、基礎や屋根、窓の断熱性能も上げないと意味が無い事が理解出来ますよね?

 

逆に、夏は、下図でも分かる通り、日射が・・・

  • 屋根
  • 外壁

を通じて室内に侵入します。
夏は、下図のように屋根や壁から熱は逃げません。
生活熱(照明や家電、人間)も室内を暖める要因となります。
食洗器はかなりの天敵となります。

 

断熱性能の話を、住まい手に話をする時は、これらの事を説明しないと、全然意味がないんですよ。

そして、外壁の断熱材を140mmにしただけでも、ダブル断熱にしただけでも、他を強化しない限り、全く意味がありません。

スキー場に、上半身スキーウェアで、下半身パンツ一枚で行くみたいな状況なわけです。

というわけで、2x6の140mmにして窓をトリプルガラスにしたハウスメーカーのピッタリな参考がありますので見て見ましょう!(いつものやつです(笑))

↓1月2日の朝7:00、外気温マイナス8.2℃の時の室温

 

↓同じ間取りでラファエル設計が考えた断熱工法
※時間帯など同じ
違う所は、壁はダブル断熱105mm+105mm
窓は樹脂でトリプルではなくダブル
基礎や屋根も少し変えています。

 

という感じで外壁と窓だけ強化しても、
屋根とか基礎などもしっかり考えると、窓が若干劣っても、室温はこんなに違う。
約8℃くらい温度差がでる。

それでいて、ラファエル設計の見積もりよりも、1200万も高いハウスメーカーでした。

 

最近よく思うのは・・・
ダブル断熱の欠点とか、Q1.0住宅の欠点、高気密高断熱の欠点というのを、皆さん必死に探して、普通断熱のクソ寒くて、クソ暑い家を、心の何処かで求めようとする。
そんな家を直接的に求めようとしている訳ではないのですが、断熱性能が普通の家は、そういう家なのですよ。
結果的に、殺人的な暑さ&殺人的な寒さの家を求めているのです。

誰もが安く家を建てたいわけで、自分達には高気密高断熱の家は、手が届かないんじゃないか?と思ってしまう。

 

これもよく言われたりするのですが・・・

エアコンをつけたりすれば築60年の無断熱の家だって、暖かくなるんですよ。

寒かったら暖房・ストーブつければいいじゃん!

暑かったら冷房つければいいじゃん!

って、高断熱住宅に否定的な人は、みんな言います。

 

でもね、震災にあって、電気が使えなくなったら、どうするんですか?

最近、異常気象が続いていますが、これは地球温暖化が影響している可能性はとても高いですよね?

住宅分譲地などで、隣の家が近い場合、隣の家がエアコンガンガンかけていて、夏何かは特に周辺の地面の温度は40~50℃になるなか、窓なんて開けられませんよ。

夏、電気代を気にして、35℃近くの熱風を扇風機で代用しても、室内の熱中症になるだけです。

冬は、特に床暖房なんて入れた家は、電気代気にして、2年目からは付けない家が多いですよ。

リビングなどは暖かくでも、廊下や浴室は寒い。

ヒートショックの原因です。

 

僕は毎回、温熱の話になると、同じような内容のブログを書いています。

これは、記憶を定着させる「海馬」という脳の部分からふるい落とされないようにする為です。

人の記憶というのは、「海馬」のふるいのような網目を通過する程、忘れます。

右の耳から聞いて、左の耳から抜けてしまうような感じですね(笑)

 

だから、一般の人でも最低限理解出来る内容の話をしています。

何処の会社で家を建てても自由です。

ただ、多くの人は、何故光熱費が沢山かかり、夏は暑くて冬は寒い家を、2000~3000万で買うのですよ。

35年ローンを組むのですよ。

 

ここまで述べた事を全く理解していないハウスメーカーの営業マン・工務店から
『140mmの断熱材が入るから、在来工法よりも、断熱性能は優れています!在来なんて105mmですからね!』

と言われただけで、2x6の家しか選択肢に入らなくなり、結果的に地球温暖化を加速させる家を買ってしまう。

こんな悲惨な事にはなって欲しくない。

 

家を建てようとする「素人」の方も、
『140mmの断熱材が入るから、在来工法よりも、断熱性能は優れています!在来なんて105mmですからね!』
という「プロ」の立場の人も・・・

『同じ素人』です。

2x6だから構造的にも優れているとか言っている人も「素人」です。

 

家が快適かどうか?というのは、室内環境と外気環境を、冬にも夏にもアプローチして設計出来て、初めてその議論の基礎が出来ます。

 

信頼できる設計事務所なのか、工務店なのか、ハウスメーカーなのか・・・

それは、素敵なデザインやネームバリューが優れているかという所は、あまり関係ないと思うのです。

 

しっかりと温熱環境を考えている会社というのは、住まい手の負担となる光熱費まで考えている事ですから。

これこそ、住まい手にとっては信頼性が高いのではないでしょうか?

 

2x6工法は在来工法よりも断熱性能優れているの?

特に大きな差はありません。

2018年08月05日