4号特例は今すぐ撤廃すべき!
皆さま、4号特例というのをご存知でしょうか?
まずは一般ユーザーにも分かりやすく、簡単にお話しますね!
4号というのは・・・
というより、4号特例とは・・・
住宅のような、建築基準法上、簡単な(法適合義務項目があまりない)審査で終わるものは、確認申請の時に、
「構造図」や「採光計算」などの図面が不要というものです。
住宅の確認申請に必要な、図面は下記です。
- 配置図
- 敷地求積図
- 案内図
- 平面図
- 立面図(2面以上)
- 断面図(2面以上)※立面図に高さを書けば、断面図は審査機関によって省略可
- シックハウス関連(24時間換気計算など)
- 仕上表(立面図などに書いてしまえば審査機関によって省略可)
- 面積表
これだけで終了です。
なので、住宅の確認申請は、5~6枚の図面で済んでしまいます。
1枚の図面に色々ぶっこめば、3~4枚で済む事もあるかと思います。
住宅以外のマンションとか、病院とか、学校とか、そういった物は「特殊建築物」といって、もっと必要な図面が増えてきます。
排煙設備の話とか、非常照明の話とか・・・
つまり、「避難」する為に必要なものを確認出来る図面が増えます。
そして、消防法にも適合しているかの確認を、消防にしてもらいます。
更に、構造計算によって安全が確認できるかの審査も必要になってきます。
4号特例とは言ってみれば、役所の人達をはじめ、「審査する人」の負担を軽減するような法律です。
設計者にとっては、何が軽減されるかというと、「印刷代」と「消防同意」くらいですからね。
だって、構造計算とかは、やっているのが大前提ですから。
- 4号特例の何が問題なのか?
もう一度完結にお話しすると・・・
住宅の確認申請には、
構造計算関係の計算書や図面の添付が不要。
もう一度大切な所を言います。
添付が不要。
もう一度いいます。
添付が不要。
そう・・・
「添付が」不要なのです。
つまり、構造計算などは、「添付が必要」なだけであって、
「構造計算が不要」なんて誰も言っていない
のですよ。
で、多くの人が、これを自分の都合のいいように解釈して、どんな事になっているかというと・・・
「確認申請に不要なものは、やらなくていい」
という風潮になっているのです。
つまり、「構造計算は、やらなくていいんだ!!」
という解釈に、多くの工務店がなっているのです。
これ、信じられないかもしれませんが、建築業界というか、住宅建築業界の、真っ黒な闇です。
「漆黒の闇」
です。
あ~あ・・・
僕、ついに言っちゃったよ・・・。
苦情来るかな~~~。
でね、もっというと、ほとんどの会社が、部材の算出は「プレカット工場」におまかせしているという現状。
これ、「構造計算」されているわけではありませんからね?
一般ユーザー含めて、「住宅」というものを、とても軽く扱っています。
- 建築士の業務範囲
今回は「住宅」に関して説明致しますが、建物の設計範囲というのが建築士の「資格」によって決められています。
木造住宅で言えば
- 3階建て
- 1級建築士のみ
- 2階建て(100~300㎡)
- ・1級建築士
・2級建築士
・木造建築士 - 2階建て(300~500㎡)
- ・1級建築士
・2級建築士 - 2階建て(0~100㎡)
- 誰でもOK(資格なくても)
私は現在2級建築士なので、法律上は3階建ての木造住宅は設計してはいけない事になっています。
知識として全然出来ますが、お金をもらっての業務が出来ないのです。
しいて言えば、2階建てだとしても高さが13m&軒の高さが9m超えると、1級の範囲になります。
独立前は15階建てのマンションなどの設計も携わっていました。
ややこしい話なのですが、1級建築士事務所として登録している設計事務所で働くスタッフは、無資格でも、法律で決められた建物範囲を超えて、設計・監理しています。
それは、図面を描いているのがスタッフであれば、法律違反にはならないという事。
「設計者」となるのか、がポイントなのです。
要は、建築基準法の罰則などは「設計者」にかかってきます。
なので、1級建築士と2級建築士というのは、設計出来る知識は関係なく、設計出来る建物の規模によって区分けされているという事です。
1級建築士は、どんな建物でも報酬を得て、設計出来ます。
社員に1級建築士がいて、社長は2級建築士とか無資格だとしても、資格を持っている社員が「管理建築士」となれば、その事務所は「一級建築士事務所」となり、他の社員や社長が無資格でも、1級建築士の業務範囲の設計が出来るようになります。
言ってみれば、2階建て木造住宅しかやらない!という場合、1級建築士である必要性がないという事になるのですが、来年は、本気で1級建築士を目指す予定です。
まあ、こんな感じで、住宅というのは、多くが100~300㎡の範囲になります。
むしろ、80~150㎡くらいが多いのではないですかね?
100㎡は大体30坪です。
なので、25坪とか30坪くらいですと、誰でも設計出来てしまう法律なのです。
素人だって出来るのです。
まあ、地震などの被害にあった時、どれだけ被害が大きいかって所がポイントなのかもしれませんが、小さい建物は、被害が小さいと思われているわけですよね。
ちなみに、300㎡以上が「省エネ法」でUA値とか、一次エネルギーの計算が必要になって来ます。
今までは2000㎡とかだったのですがね。
そんな感じなので、僕も昔バイトしていたPIZZA-LAで例えるなら、
ピザを作っているのは、メイクさんと言われる、「高校生のバイト」が主です。
当然ながら、調理師免許なんて持ってないですよ。
配達は、当然バイクの免許がないとダメですけど。
でも、大型のバイク免許はいらないわけです。
基本的に、今の家づくりって・・・
お客様の為、施主様の為といって・・・
全然そんな事になっていないのですよね。
確認申請に不要だから、構造計算はやらない
省エネ法で、基準面積に満たないから外皮計算・エネルギー計算やらない
間違っていると思いませんか?
そもそも、建築士の業務範囲の建物は、確認申請が不要だとしても、
「建築士が設計しているんだから構造計算は当然やっているよね?」
という話なのですよ。
過去の経験からとか、大工の勘とか、そういったものは、
「構造計算をやった事ある人が初めて発言できる」
ものなのですよ。
だってさ、家庭料理が得意な人がいて、ポルトガル料理を知らないとして、ポルトガル料理しろって言ってさ・・・
作れる!?
それこそ、今までの料理上手の腕の勘とか経験ですよね。
なので、「本物」のポルトガル料理は出来ないですよ。
見た目はフランス料理かもしれませんが。
それといっしょで、木造住宅も、梁の大きさがこれだと大きいとか、小さいとか、実際に構造計算をしなければ「根拠」が無いのですよ。
構造計算をしないで出来た家は、「何となく木造住宅」って事です。
で、これが地震ですぐ倒壊するかと言ったら、多くはそうなりません。
そういった住宅を建てている人たちは、大きな地震で倒壊したら、その責任は「地震」だというのですよ。
現在、震度7までしかありませんが、震度7までの地震は、誰もが想定できるのです。
なので、想定できる被害を、確率論で片付けるのは、プロとしてやっていはいけない事だと思っています。
予算がないから耐震性を基準法レベルにすれば問題ないとか、そういう事ではないと思うのですよね。
そもそも、建築基準法も、省エネ法なども、「法律」や「基準」というのは「最低レベル」に設定されているわけです。
つまり、UA値などで言えば、基準をクリア出来れば凄い家を提供しているのではなく、最低レベルの家を提供しているという事。
省エネ基準もクリア出来ない家は、最低以下であり、断熱材が入っていようが、20年前の家と変わりないのです。
- 基準設定のハードル
まあ、こんな感じで、
「やらなければ本当はいけないんだよな~」って人とか、
「本当はやった方がいいんだよね~」って人が多くいます。
ソフトを扱えない場合、外注すればいいと思いませんか?
そのお金は、しっかりお客様から、いただけばいいのです。
お客様は、「絶対必要経費」と思うべきなのです。
逆に言うと、外皮計算とか構造計算をやってもらえないor知識がない会社に、何故に依頼しようと思うのですかね?
つまり、基準のハードルを上げると、もの凄い勢いで、「そんな基準つくるんじゃね~」って反論が起きるのです。
パソコンとか得意じゃない会社は、死活問題です。
でもね、あなた方は造っている家は誰のなの?
って事を、再確認する必要がありませんかね?
何でもかんでも、「急ぎ急ぎ」の今日。
今までの設計工期のまま、外皮計算とか、やる事が増えたら、そりゃ誰だってきついですよ。
僕だってきついです。
しっかり、必要なものに、お金と時間をかける事が出来れば、可能なのです。
それをケチるのは、半分は施主側にあると思っています。
合計30万とかする照明や家具を入れたいからといって、構造計算費を削除項目として考えるのは誰ですかね?
構造計算は確認申請に必要ないから、やらなくてもいいんじゃないですかね~?って提案する業者?
構造計算は確認申請に必要ないから、やらなくてもいいんじゃないですかね~?って提案する施主?
ラファエル設計は、そんな選択肢を与えません。
真冬の無暖房での18℃~20以上を可能にするQ1.0住宅、
許容応力度計算をしての耐震等級3・・・
地震が来ても、揺れを提言する制震ダンパー
これらは、「標準」です。
住まい手の好みによって・予算によって削減する項目ではありません。
やりすぎとか、そんなこれではありません。
当たり前なのです。
4号特例という、混乱を招く法律があるせいで、本来提供すべく家が、提供できない状況になっているです。