もとめる断熱レベル、めざす省エネレベル

昨日に引き続き・・・
建築技術者を対象とした住宅・建築物の省エネを学ぶeラーニング講座
“eri-college”
でWeb講義を視聴しました!

講師の方の名前を見て・・・
このお方は!!
先月書店で立ち読みしたら面白くて購入した

この本の著者の方ではないですか!
まだ全部読んでませんが・・・

講義タイトルと同じ様な書籍出してたな・・・確か・・・
これだ

 

では、レポート行ってみましょう!
タイトル
「もとめる断熱レベル、めざす省エネレベル」

 

講義初め・・・

  • 届かないレベルと目指すレベル

というテーマで始まりました!
いきなり頭の中で『?』となりましたが・・・
まあ聞いてみましょうという事で開始です(笑)

  • 高断熱 だけど ZEH(ゼロエネルギーハウス) とは限らない
  • 高断熱 だけど 暖かい家 とは限らない

以上の事から、断熱と省エネは分けて考えなくては行けないという事という所から始まりました。

実は省エネ基準って・・・

  • 旧基準(1980年)
  • 新基準(1992年)
  • 次世代基準(1999年)
  • 2013年基準
  • 2015年基準(2013年とほぼ変わらない)
  • 2020年 義務化

という変貌と遂げています。

2020年には義務化になります。
現在は住宅レベルでは各ハウスメーカーなどは基準がギリギリ満たす辺りでコスト削減して家を建てていると思います。

2013年から大きく基準は変わったのですが、それまで(緑の帯)は暖冷房負荷を考える『外皮の基準のみ』だったのですが、
2013年からは『外皮基準』+『一次エネルギー基準』の豪華二本立てとなったわけです。

そのへんの説明はこちらで説明しています→(省エネ基準では25年に変更されました。

外皮=暖冷房の話ではなく『温度の話』
一次エネルギー=暖冷房どころの話ではなくもっと大きな省エネの話
暖冷房は一次エネルギーの中に取込まれた感じです。

 

次に、日本の住宅省エネの全貌をご説明いたします。

小エネ
我慢
小さいエネルギー
(昔ながらの既存住宅)
省エネ
無理のない燃費で全室暖房
高断熱・高気密で
見てるのは一冬一夏、
二次エネルギーを考える
ゼロエネルギー
創エネ
※省エネの上を行く
ゼロカーボン
創エネ
※省エネの上を行く

温暖化ガスのエネルギーを減らすようなもの
LCCM
LCCO2(ライフサイクルCo2)
『家の生涯』にわたるエネルギーをマイナスにしてしまおうという究極の目標
住宅の一生涯に排出する『炭酸ガス』を対象としています。

Co2(炭酸ガス)っていうのは、下記の時に発生します。
・建設時
生活時
・増改築時
・廃棄時
それらをすべて総合したものが
LCCO2(ライフサイクルCo2)です。

ただ、赤字の『生活時
これは毎年排出されるものとなります。
建物の寿命によって、30年とか50年とか年を重ねるという事です。

ゼロエネルギーとかゼロカーボンというのはそのうちの1年分だけ『創エネ』
LCCMというのは一生涯なので、ZEHなどよりもずっと上を行く目標となるわけです。
日本は今、ここへ向けて走っているようです。

『2013、2015年省エネ基準』を軸に

届かないレベル
既存住宅
エネルギーを使っていないので、断熱性能を高めた所で『省エネ』にはならないということらしいです。

新築の半分
これもまだ届かないレベルらしいです。
目指すレベル
『2013、2015年省エネ基準』を超えて、目指すレベルまで行ったもの。
要はLCCMって事ですね。

という事だったのですね。



次に、驚愕というか、まあそうだよねっていう環境省が調査したという調査結果が出てくるわけですが・・・
昔の断熱なんて全くしていなかった1970くらいからの住宅と2006年以降の断熱をした住宅とで、冷暖房のエネルギーは全く変わっていないのです(笑)
要は、断熱をしていないからエネルギーを無駄使いしてるとかって話ではないって事です!
断熱が無くてもエネルギーは使っていないと言っているようなものです。断熱なくても省エネになっているって事ですよね(笑)

もっと要約すると・・・
冷暖房使わないで『我慢してる』って事ですよ
(;´▽`A``

ここで東日本大震災後の新聞記事が登場しました。
内容はこうです。

冷暖房控えて節電しています。
節電すべしと思っていたけど冷蔵庫や洗濯機、電子レンジは手放せない。
節電するなら冷暖房を出来る限り使わない!

という判断をしたみたいです。

断熱性能基準が上がった現代でも、冷暖房を我慢してる訳ですから、エネルギーは使わないで省エネにはなってますよね・・・。

 

日本の断熱レベルは低いとボロクソに言われる事があるというわけですが、そんな事を言う人でさえ、省エネ基準の意味・どんなふうに作られているか知っている人はいない(笑)
国も教えてないから講師の南さん達が研究者などと対談して導き出してるようです。

その導き出した定義は

  • 表面結露を防ぐ
  • 低体温症を防ぐ
  • 暖房効率を妨げない
  • パッシブ効果を活かす

この項目の最低が省エネ基準の定義と考えているようです。

『表面結露』と『低体温症を防ぐ』という二項目での目安が・・・

  • 2回の北側のトイレの朝5時の温度が10℃以上

という一番寒い所の室温が基準となっているようです。

東京だと「等級4超」の性能レベルで10℃以上となるようです。
でもまあ、現在の省エネ基準である『等級4』で10℃を目指せるようです。

『暖房効率を妨げない』
とは、床面は冷えてるという事がないようにする

『パッシブ効果を活かす』
とは、日射などを有効に使う

という事ですね。

南さんが3.11東日本大震災の後に調査したという
『停電時に暖房を使用しなかった世帯における熱損失係数と室温の関係』
というグラフが登場したわけですが・・・
簡単に言うと、暖房止めてからどれだけ高い室温をキープできるかって事です。

3~4日暖房が止まった状態での調査結果らしいですが、
その結果・・・

次世代省エネルギー基準以上
15℃以上をキープ
省エネ基準
10℃以上をキープ
省エネ基準未満
10℃以下を割っていく

取り合えず、現在の省エネ基準は15℃以上をキープできるわけですから、それを目指すのであれば普通にやって『目指すべき最低限の省エネレベル』はクリア出来てしまうという事ですね。

でもこれは、昨日のブログでいう、健康改善とかの話ではないので、個人的にはもっと上を目指すべきと思っています。
この講義でいう目指すレベルとは『ZEH(ゼッチ)ゼロエネルギーハウス』という事です。
まあ、世界的にこのゼッチを目指してやっているわけですが、大手ハウスメーカーもこのゼッチでやっているようです。

正確に言うと、リアルゼッチ・・・かな。
ゼッチ=光熱費削減とはならない場合があるので注意です!

 

次に

  • 求める断熱レベル

についてのレポートです。

国が調査した内容では・・・
全館空調のような『全館連続暖房』

各室エアコンのような『部屋単位での暖房』

による年間の暖房負荷は、全館空調の方が、普通のエアコンの3倍もの暖房負荷がかかっているというくらい違うようです。
部屋単位では・・・
リビング・ダイニングは15時間くらい
子供室は3時間くらい
しか暖房してないようです。

 

健康の最低レベル
現在の省エネ基準
10℃
快適の最低レベル
寒いかな?
暖房つけようかな?
付けなくてもいいかな?
っていうくらいの温度が
15℃
のようです。

ただ、この15℃を目指す基準を国は出していないので
『heat20』(2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会)
http://www.heat20.jp/
がグレードで示しているようです。(G1)

講義の内容としては、取り合えず、15℃を目指すのであればheat20のG1というグレードが目指せればいいのかもしれません。

 

現在では、例えば東京と新潟で暖房負荷は同じでしたが、現在は日射を含めて暖房負荷を考えるので、新潟の方が思いっきり暖房負荷が増える結果となっています。
それくらい、雪国などとそうでない地域では違うのです。

家を建てたお客様は、朝起きて寒いかどうかでクレームを入れるということですが、同じ断熱性能で作ってはいけないのだけれど、省エネ基準通りに作ると同じ断熱性能になってしまうという最悪の罠。

これらをピンポイントで設計できるのは、ハウスメーカーには出来ない事だと南さんはおっしゃっております。
この地域だと省エネ基準で作ったら駄目だとか、そういった力を設計事務所や地元の工務店が自分の実力を発揮する場がこういった所で出てくるともおっしゃっております。

要は・・・
『省エネ基準を満たすから大丈夫ですよ!』
って言ってきたら、簡単に信じては行けないって事なんですね。

やはり、省エネ・断熱設計って、基準通りでやればいいってものでもなくて・・・
朝の寒さや、冷暖房の効き目がしっかりと対策された家でないと、お施主様からクレームの原因になるって事ですよね。

こういった話・・・
ワクワクしますね(笑)
しっかりインプットとアウトプットがしっかり出来れば、お客様に対して最高の提案が出来るって事ですよ!

まあ、これもそうなのですが・・・
『ダブル断熱』の性能の良さがよくわかります!

でもまあ、年末に色んな方の考えを知りたくて色んな書籍を購入しましたが・・・
やっぱり目指すものは同じでもそこに至るプロセスは若干違うし、全然違ったりしますね!
だからこういった環境工学には正解がないわけで・・・
追求すると面白いです!!

人間の寿命や健康改善・・・
建物の寿命や断熱性能・・・
目指すべき断熱性能・省エネレベル・・・

それらを総合しても・・・
やっぱり『ダブル断熱』だな~って思います(笑)

僕は、断熱性能とかをクリアするのは当たりまえの事ですが、
やっぱり健康に関して一番重点を置きたい。
住宅って、宇都宮工業高校建築科で学ぶ、『建築計画』の教科書でも一番初めに書いてある事でしたが・・・
『衣・食・住』を司る場所なんです。
そこは快適でなければならないんです。
我慢ってする必要があるんだろうかって思います。
家には安らぎがあって、落ち着けて、健康でいられる。
どんな高級ホテルに泊まったとしても、家の方が快適って思える家、最高じゃないですか?

子育て世代にとっても、子育てしてる親達が高齢者になっても、子どもが育っても・・・
健康でいられる住宅って素晴らしいと思っています。
そんな家を数多く設計したいと思っています。

明日もWEB講義の内容をお伝え致します♪

2017年01月08日