ネットに載っている情報やプロの人の意見の食い違い

以前こんなブログを書きました。

「プロでもウソ発信」ネットの建築情報、見抜き方

 

本日、家づくりをお考えのご夫婦の方が、相談に来てくださいました。

来月、出産予定のようで、無事に生まれてくれることを願っています。

出産って、本当に奇跡で、コウノドリとか、隣の家族は青く見えるというドラマを見た事がある人は、多少分かると思いますが・・・

僕は、無事に「産まれてくる」という事の方が実は経験が少なく、悲しい思いをした数、悲しい思いをしている人を目の当たりにしている事の方が、経験としては多いのです。

出産するまでも地獄の様な苦しみが、結婚後9年続き、出産後は双子という事もあり、覚悟していた辛さの数百倍くらいにつらい育児生活でした・・・。2歳くらいまで・・・。

 

妻は不規則な生活&家の寒さ、エアコンによる風邪、とどめは、全身蕁麻疹が1年治らず、

『家の環境』って本当に大切だなと、しみじみ思ってました。

妊婦さんって、風邪を引いたとしても、授乳中は、通常の薬を処方してくれないんですよね。

だから、赤ちゃんにうつしてしまう可能性だってあります。

まあ、母乳飲んでるうちは、抵抗力もあるのかもしれませんが・・・

やっぱり、『夏熱くて、冬寒い家』というのは、育児をするママ&赤ちゃんにとって、劣悪な環境以外、何物でもありません。

 

例えばママが、パートで仕事復帰をしたとしても、保育園に預けた子どもが熱を出したとなれば、忙しくても早退しなければならなく、そういった事が続くと、パートも辞めた方がいい、若しくは、クビになる可能性だってありますよね。

 

子どもって、特に小さいうちは、布団から出ちゃうんですよ。

それで、風邪をひきます。

それは、家が寒い時は、暖房による乾燥が原因だったり、単純に身体が冷えて、風邪をひくといった感じですね。

これって、「寒い家」が悪いんですよね。

エアコンは外気導入するので、設定温度を高くするほど、乾燥します。

寒い家は、それだけガンガン暖房しなくてはならないので、過乾燥になってしまうのですね。

 

新婚、新しい家族が出来るなど、家を建てるタイミングというのは人それぞれかもしれませんが、新しい家族が増えるタイミング、結婚してのタイミングの人こそ、「家の性能」というのもを追求して欲しいと思います。

自分の子どもには、将来に対してなど、期待値も高くなるのは当然です。

でも、一番願うべきは、「健康」なのではないでしょうか?

それは、親も子供にとってもです。

 

で、それに気づいた人たちは、「家の性能」を求めて、雑誌やネットで情報収集するわけですよね。

そうすると、ネット上では、「真実」よりも「嘘」「デタラメ」と言った内容の方が、溢れているのですよね。

そりゃそうです。

Q1.0住宅の様な、無暖房でも室温18~20℃いく高気密高断熱&エネルギー削減の住宅を建てている会社よりも、寒い冬は、無暖房で室温10℃前後、外気温氷点下の朝は0℃くらいにしかならない家を造っている人たちの方が、圧倒的に多いのですから。

つまり、本物の高気密高断熱住宅に住んでいる人たちの方が、圧倒的に少ないですし、施工が悪かったり、壁とか窓だけ性能アップして「なんちゃって高気密高断熱住宅」とうたっている工務店の家に結果的に住まわされてしまった人たちだって多いのですから。

壁だけダブル断熱にしたからと言って、冬暖かく、夏涼しいとか、有り得ないですし、

窓が弱点とか言って、全てトリプルガラスにするのはいいけど、南にも遮熱タイプのガラスを選定してしまったりね・・・

「高気密高断熱住宅」って、明確な基準が法律として存在しないので、「言ったもん勝ち状態」である感じです。

 

今日の相談者の質問にもあったのですが、

『グラスウールは湿気やカビなどがすぐに発生するからダメ問題』

 

これは、例えば外壁側の通気の取り方の知識不足だったり、内部の壁に関して言えば、グラスウールの施工不良だったり、気密処理を全くしていない、気流止めが施工されていないなど、考えられる要因は多々あります。

Q1.0住宅の場合、50年以上、グラスウールは無傷という検証もしっかり出来ています。

なので、グラスウールを否定する人は、施工留意点を知らないのでしょう。

結果として、デタラメな事は言っているつもりはなくても、根拠のないデタラメ話をしている事になっているのです。

グラスウールは、よく、強く押し込んだリ、窓枠の周りにギュウギュウに詰め込む大工さんいますが、そんな事をしたら、グラスウールは本来の性能を発揮出来ません。

更に言うと、気流止めを忘れて(知らなくて)グラスウール内で空気が動くという現象を気流というのですが、それが起きると、グラスウールはほとんど無意味状態になります。

 

例えば、グラスウールが壁体内結露でダメになるという考えの人は、正しい考えですが、何故壁体内結露が起きるの??って話です。

Q1.0住宅で正しい施工方法であれば、絶対にそんな事は起きません。

Q1.0住宅を否定したりする人もいますが、その人たちは、正しい知識が無い人たちです。ハッキリ言って(笑)

 

例えば、グラスウールについてなど、結露の話とかって、普段、本物の高気密高断熱住宅を造っている方であれば、正しい答えが返ってくると思いますが、普段普通の家を建てている大工さんや工務店の人たちに聞いても、聞く相手は建築のプロかもしれませんが、正しい知識なんて、持ち合わせていないですよね。

正しい情報を得る為には、聞く相手を間違えてはいけません。

 

例えば、UA値0.46の家って暖かいですか?

という質問があったとします。

多分、素人の人達は「暖かいはず」と思うのです。

ZEHだって栃木の場合はUA値の基準は0.6以下ですからね。

すると、ネットの掲示板では、先日もお話したQ値換算とかが出てくるわけです。

Ua ≒ 0.37Q ー 0.13

ですね。

これに当てはめると、Q≒1.59と出るわけですね。

もう、この時点で間違っているので、その後の回答に、説得力も根拠もなくなるのです。

Q値1.59、UA値0.47だから『暖かい』という結論に多数決でなったとします。

この換算式は、通常使えませんので、信用しないでくださいね。

 

しかしならがら・・・

そんな風に思った家の現状はこちら↓です。

度々出てくる室温シミュレーションですね(笑)


はい、こんな感じで・・・

無暖房ですが、約7℃ですよ。

みんなが暖かいと思った家は、シミュレーションすると、真冬の朝、無暖房で7℃以下ですよ。

こういった家を当たり前のように建てている会社は、床暖房を推奨したくなる気持ちも分かります。

 

エクセルなんかで計算して、外皮面積だしてUA値が0.46です!なんて自慢げに話ししている営業マンがいたら、即、断り入れましょう(笑)

 

もう、しつこいようですが、Ua値について再度話します。

UAのAはアベレージ・・・つまり、平均点なのですよ。

窓が弱点と言って、窓だけ性能良くしたら、他が悪くても、UA値は良くなってしまうのですよ。

その例が、上記画像の寒い家です。

 

例え話しますね。

中学でも高校でも大学でもいいですが、「受験」を受けるとします。

国語、数学、理科、社会、英語という5教科。

それぞれ100,90,80,70,10点


平均点は70点、合計点数は350点

でも、英語10点なので、受験は「合格」とはならないですよね?

でも、クソ省エネ基準というのは、これが合格になってしまうのですよ。

それは、「平均点」が良ければ次世代省エネ基準クリアになるのです。

極論いえば、床だけ無断熱でも、平均点(UA)が基準クリアしていれば、次世代省エネ基準クリアで

高断熱住宅です!!って言えちゃうという馬鹿げた基準なのです(笑)

それに、換算式でQ値を出して・・・とかやっても、完全無意味な状態なわけですよ(笑)

だって、床無断熱でも窓の性能良くしてUa値が良くなった住宅のQ値を換算式で算出して、何が求まるの?って話ですよ。

ちなみにQ値は現在、理不尽な撤廃を受けて、意味不明なUA値が誕生しました。↓

 

ちなみに、このUA値は、エネルギーの事なんて一切考えられていませんから、余計に、何の為の基準というか数値なの?って思っちゃうんですよね。

 

よく、窓が弱点といって、窓を小さくしてUa値を良くしている工務店が存在しますが・・・

そんな事をしても、UA値が良くなってもそれは見せかけで、光熱費が安くなるわけがないんです。

つまり、冬の暖房エネルギーが増えるのですよ。

そんな家のUA値から、換算式でQ値出したって、これもまた無意味。

 

UAとかQ値というのは、太陽熱(日射熱)をしっかり考えた上での低い数値でなければ、エネルギー削減・・・

つまり、省エネ住宅にはならないという事なのですよ。

 

どんなに超高断熱住宅を建てたとしても、外気温が0℃なら、室温も0℃になろうとします。

しかし、UAやQ値がよい家というのは、そのスピードが遅いのですね。

ちょっとまたたとえ話しますね。

RPGゲームをやった事がある人ならイメージし易いと思うのですが・・・


敵と戦うと、攻撃を食らって、HPは減って行きます。

HPが0になると、ゲームオーバーになります。

そうならない為に、回復アイテムや回復魔法を使うわけですよね。

この回復アイテムや魔法の役割をするのが、人体からの発熱だったり、電化製品からの発熱であり、もっとも効果が高いのが、「日射熱」なのですね。

室温は、日射熱がどれくらいあるかによって、暖房がどれだけ頑張らないといけないか?というのが分かります。

 

家の性能を語る上での要素としては・・・

①Q値
②UA値
③気密性
④換気(漏気)
⑤日射熱
⑥生活熱
⑦外気温
⑧室温
⑨周辺環境
⑩方位


これらが関係してきます。

①~⑩の事を全て考えた上で、その家は「暖かいのか、寒いのか」という判断が初めてできます。

ネット上や、プロの人でも、ほとんどが①と②、若しくは①~④くらいまでのことだけ考えての話にしかなっていません。

だから、UA値とQ値だけ考えても家の本当の性能なんて分かりっこないのです。

目安でしかないという事ですね。

だから、冬の日射取得と夏の日射カットを考える事が重要で⑤の日射熱は冬は味方になりますが、夏は冷房負荷になるので敵になります。

これらの対処がキチンと出来るかで、『冬は天国だけど夏は地獄』みたいな家が出来てしまうわけですね。

 

自然素材を使ったら「キレイな空気」とか言っちゃってる人いますが、まず、大前提として、これらの家の性能が良い家に対しての「自然素材の家」でないと、カビ臭くなったりして、全然キレイな空気になんてなりませんからね。

つまり、自然素材でキレイな空気の家というのは、断熱性能が高い家で、成り立つのですよ。

 

僕は、数多くのシミュレーションを繰り返してきてますので、断熱構成を確認した上でのUa値(Q値)と窓の配置、方位を見れば、室温が何℃くらいになるか、大体予想が付きます。

これが「勘」です。

構造計算をしたことがない大工さんとかが「大工の勘」って感じで、構造部材の大きさをこれでよいかという判断をしたりしますが、室温シミュレーションも構造計算もしたことがない人たちに勘なんて働きません。

QPEXなどで、普段計算している人は、UA値やQ値ではなく、自然温度差とか、QA値とかの方を気にします。

それで、家の性能が良さそうか、想像するわけです。

 

なので、UA値がどうとかQ値がどうだから、家の性能はどうだ?という話を真に受けても、無駄という結論になります。

つまり、ネット上にある情報の多くは「ウォーリーを探せ状態」という事ですね。

ウォーリー=真実

 

正しい情報が必要であれば、新住協の会員さんに質問する事をおススメ致します。

県外の方でも、僕に質問してくださって全然OKですけどね(笑)

まだまだ僕も日々勉強な感じです。

ですが、新住協のマスター会員にもなりましたし、Q1.0住宅以外、設計する事はありません。

 

皆さんも、ネットで情報収集する際は、自分で正誤判断がつくようでないと、色々振り回されてしまいますからね!

2018年07月08日