建築系YouTuberの方たちについて

最近、家づくりについて、YouTubeで発信されている方が増えてきましたね。

相談者の中には〇〇さんの動画見たんですけど・・・って所で質問があったりもする。

 

そんな中、ちょっと一般ユーザーの皆さんに言っておきたい事があります。

 

全てが正しい事を言っているわけではありません。

結構・・・

 

ってのがあります。

僕は、それらの動画を率先してみる事はないのですが、質問があったり、チャンネル登録していないけど、スマホに「おススメ動画」として通知された場合、たまに観たりしています。

 

「それ、ラファエル設計のブログの構成っぽくね?」

みたいなやつがあったりしますよね。

気のせいかもしれませんが。

 

いずれにしても・・・

 

って動画の共通事項は・・・

「自分の言葉でしゃべっていない」

所です。

 

自分の経験から導き出されたものとか、そういうものでなければ、基本的に

「~~らしい」

とか

「~~って聞いてる」

みたいな解説はもうそこで終了です。

 

 

そして、そういった動画は、自分自身で理解しないまま喋っているので、終始意味不明。

絶対、温熱計算ちゃんとやった事ないよね?

絶対、構造計算自分でやった事ないよね?

って解説、すぐ分かります。

 

例えば・・・

ラファエル設計へのアクセスでも多い検索ワード・・・

「東西南北の窓の種類」

もっというと、北側は「遮熱タイプなのか?」

って所ですね。

 

これは、結構前に弊社HPで解説しています。

 

 

ラファエル設計は、一般論として・・・

北:方位によって遮熱か断熱
東:遮熱
南:断熱
西:遮熱

と解説しています。

もう一度言うよ?

一般論として

です。

 

最近SNSでもたまにコメントを僕もするのですが・・・

 

こういった議論ってね?

前提条件

が大切なの。


「自分は南は断然遮熱タイプ派」

みたいな事を言う人って、完全にこの前提条件フッ飛ばして議論し始めている訳。

自分のあたかも正しいと思っている情報をごり押ししているだけに過ぎない。

 

東西南北、どの窓?

 

という問いの場合、平面上で地図を見た時に普通に真上が「北」とした答えなわけ。

 

真北が30度触れていたり、周辺環境が変れば、答えも変りますからね?

 

例えば、下記を見て欲しい。
水平面ってのは屋根とか地面です。

 

冬至とか夏至の日射量がどれくらい大きいか?

という図なのですが、一級建築士の定番問題でもあります。

僕はこの図をキチンと描けます(笑)
その上で回答できます。

ようは、夏至の屋根とか地面は日射量が一年で一番多いですよ!って話です。
なので、天井面や屋根の断熱というのは155mm程度では全く効き目が無いわけですよね。

 

まあ、そんな話ではなく、この図を見た時に、

大きな勘違いをする人がいて・・・

夏至=夏

ではないんですよ。

 

夏が太陽高度一番高いのではなく、6/21日の夏至が高いんですよ。
6/21日以降、7/22、8/22、9/22日になるにつれて、太陽高度は低くなっていくのがわかると思います。

こういった絵を描くとき、大抵「夏」と「冬」を書いて、庇(屋根)が夏は日差しカットしてくれる・・・

みたいなプレゼンとかよく見ますが、皆さんがすっげ~~高い高度で書いている太陽は、夏ではなくて、「夏至」ですよ?

って話なんです。

図では、夏至では防げていた日射も、8月とかには全く防げなくなっているのですよ。

 

でね?

ラファエル設計では、こうやって太陽高度の検討をしています。

 

現地では、↓このように、太陽高度を調べます。

 

実際に太陽の位置を合わせて測定します。

 

ようは、「一般論の話」と、「その敷地にしか存在しない答え」って違うのですよ。

 

東西は遮熱ガラスがセオリーだけど、場合によっては取得タイプにもする。

 

建築ってね?

YouTubeで簡単に答えが出るほど、簡単ではないのですよ。

 

今、執筆中の建築知識ビルダーズでちょっと解説している図があるのですが・・・

こういうやつ。

これって、どの窓が日射取得タイプとして有効なのか?

日射取得よりも損失を考えた方がよい窓なのか?

北側にはどれくらい日射熱があるのか?

というのをシミュレーションで確認して、窓の選定理由を探し出しています。

 

つまり・・・

これが、その敷地にしか存在しない答えってわけ。
セオリーは存在するようで存在しないわけ。

 

西に遮熱の窓にも関わらず369Wh取得があるなら、そこだけ遮熱ではなく、日射取得にした方がいいかな?

とか、そういった事を考えます。

 

これが、窓の設計というやつです。

 

「窓が弱点」

とはいうけれど、じゃあ、壁ばかりにしたらどうなるの?

っていう事も、きちんと説明できなければならないのよ。

 

現在、窓を小さくしてUA値を良くしているけど、実際に住んだら無暖房だと寒いなんて家はバンバン建っているという闇の問題があるのです。

 

「自分はこう勉強したからこう思います」
みたいな動画は、自分の言葉で説明をしていないという事、分かります?

 

セオリーとか、基本は勿論大切だけど、誰かの主観とかを住まい手は聞きたいわけじゃないんだって。

 

例えばA,B、Cって人の動画があって、自分はAさんのFANだからって、Aさんの動画で勉強したとする。

でも、そのAさんがセミナーとかで聞いた話を動画で配信していたとする。

そうすると、その話って、僕が示したシミュレーション結果などで自分が導き出した答えではなく、誰かの話をパクって話しているだけに過ぎないわけですよ(笑)

これが、伝言ゲームのように、伝え方やニュアンスが違えば捉え方も変わって伝わっていく。

これが怖い所ですよ。

 

で、Aさんのレベルが100のうち、30くらいだったとすると、その動画見て勉強している一般ユーザーはレベル30には行かないわけです。

全て理解して、そのインプットした内容を誰かに完コピしてアウトプットできたらレベル30に到達かも知れませんけどね。
でも、結局はそれまで止まりです。

 

僕は、セオリーや基本は勿論日々勉強だと思っていますが・・・

設計者として、自分自身の答えってのがないと、空虚でしかないですよね(笑)

フランチャイズなんかもそうなんですけどね。

 

いずれにしても、「単なるネタ」みたいな動画も多数ありますので、信頼できる動画なのか?というのは、「自分の言葉で説明しているか?」という所で、一つの判断材料にしてみてください。

2020年04月20日