「家が暖かい」という意味

本日の相談者の話でもあったので、「家が暖かい」という意味について、僕の考えを述べたいと思います。

マニアックな人は下記を読んでください。

 

家が暖かい

というのは、

エアコン(暖房)を付けて暖かいのか?

薪ストーブつけて暖かいのか?

デロンギのオイルヒーターつけて暖かいのか?

基準は人によって様々かも知れませんが・・・

 

「家が暖かい」

というのは、

  • 太陽の力で暖かくなる
  • エアコン(暖房)の設定温度は21℃前後で室温が22~23℃くらいになる
  • 真冬の朝、エアコンを夜切っても暖かい

 

こんな所ではないでしょうか?

 

ハウスメーカーも含めて、一般的な暖房方法って、リビングだけエアコンつけて他はドア閉めて1室だけ暖かくするという考えが多いと思います。

全館空調なんかは、馬鹿みたいに全ての部屋に吹き出し口があって、全館冷暖房するみたいな感じですよね。

 

寒い家に住んでいる人は、必ず怒られる事があります。

リビングのドアを開けたらすぐ閉めないと、冷気が入ってくる・・・

みたいなシチュエーションの時。

 

冷蔵庫のドアを開けたらすぐ閉めろ!

みたいな感じですよね。

数千万で買った家が、冷蔵庫のドアと同じような怒られ方するって・・・

悲しいですよね。

 

ちょっと冷蔵庫に例えたので、高断熱住宅のしくみをお話しますね。

まず、「ゼロエネルギー」を目指すうえで、大切な事は・・・

『冬は太陽の力を手に入れる』

という事です。

南に家は向けないとか言っている人がいたら、それはオカルトなレベルの話です。

そして、『その太陽の熱を逃がさない』という事です。

 

つまり、『保温性』ですね。

 

室温というのは下記で決まってきます。

①外気温
②生活熱
③日射熱
④暖房熱
⑤現在の室温

この5つです。

その中でも・・・

『④の暖房熱』

これが、エネルギーに大きくかかわる所でもあり、光熱費が高くなる部分でもあります。

 

これらは建築知識ビルダーズの連載でも書いている内容なのですが・・・

『③日射熱』

これが、「無暖房での室温」

に大きくかかわる所でもあり、エアコン使わなくても暖かい!と思う部分なのです。


つまり、暖房熱というのは、現在が室温10℃の時に、20℃にするには、暖房は10℃分の働きをしなくてはいけないのか、全く動かなくていいのか?

って事です。

全く働かない事が本当のゼロエネルギーです。

しかし、そんな事はどんな家でも無理なので、少しのエネルギーにしよう!

そして太陽光である程度まかなうという事なのです。

 

高気密高断熱ではなく、高断熱低気密とか、勝手な言葉が流行ったりしていますが・・・

基本的に、

「高断熱」

「高気密」

は、別々の考えではなく、セットです。

 

例えるなら・・・

「セブンイレブン」というコンビニを・・・

セブンとファミマが好きだからコンビニ=「セブンマート」って言っているようなものです。

セブンイレブンって、7時から23時まで営業だから7-11ですよね。

もっというなら、スマップというグループ名を「ス・マップ」みたいに分けるくらいにおかしいのです。

 

基本的に、何故セットか?というと、「換気」を確実なものとする為の「高気密」です。

断熱と換気をセットで考えないとダメなものなので、

「高気密高断熱」

なのです。

ハウスメーカーで家を建てた場合、居間や寝室などに設けられる自然給気口とトイレに24時間換気といった、「第三種換気方式」が主流です。

つまり、居室から給気して、ドア下の隙間(アンダーカット)を通じてトイレなどで排気するという事です。

でね?
そもそもだけど、低気密な家で、こんな狙ったような換気、出来ないから(笑)

駅伝で例えるなら、ランナーに水とかぶっかけるようなものですよ。

 

これもそもそもだけど、みなさん、断熱だけとか窓だけとか、何か一つだけ、若しくは2つくらいだけしか同時に考えられないから、寒いし結露ダラダラ住宅の「温熱欠陥住宅」が当たり前のように出来上がる訳です。

で、まわりもそれが当たり前だと思っているから、自分の家も欠陥住宅だと誰も思わないわけです。

築80年の家だって、コタツに入るなり、石油ストーブつければその部屋は暖かいですよ。

 

「温かさ」「暖かさ」というのは、本物の高気密高断熱住宅であるQ1.0住宅レベルの事であり、「質」が違う事が体感すると分かります。

 

例えば、サイゼリアの安いミラノ風ドリアとか、イカ墨スパゲッティを食べても、値段の割に美味しいわけですよ。

ペヤングだって、美味しいわけですよ。

でさ、美味しいレストランのフルコースいって、1万とか支払って、それらが出てきたらどう思います?

文句言いますよね?

で、シェフが

「でも、ペヤングでも美味しかったでしょ?」

なんて言ってきたらどう思います?

 

ふざけんな!ってなるのが普通ですが、家づくりはそうじゃないんですよ(笑)

家に比べたら、たかだか1万円に対する見返りがペヤングだとして、損は9850円くらいなわけですよ。

 

でも、家づくりって、温熱欠陥住宅でも2千万支払って、誰も文句言わないわけです。

ペヤング料理には文句言って、温熱欠陥住宅には文句言わないのが日本の家づくりです。

これだけ人が死ぬ現状でも、当たり前のように受け入れている人があまりにも多すぎる。

 

つまり、「家が暖かい」というのは、お風呂からでても、寒くないとか、寝る前に暖房OFFにしても、朝まで暖かいという家、そして、換気もしっかり出来る家なんですよ。

 

暖かい家は、「暖かさの質」が全く違います。

2020年02月03日