東西南北のガラスは断熱タイプ?遮熱タイプ?
はい、今日は、どんな動画でもきちんと明確な答えを説明しているものは無いと思いますので、僕なりの答えを話ししていきたいと思います。
ラファエル設計のHPでは、下記の家づくりQ&Aで、若干解説しています。
ですが、セオリーというか、一般的な僕の考えでしかなく、正解でもなければ間違いでもないという、一般論に過ぎません。
ここで上記ページの抜粋をしますが・・・
この窓の断熱タイプと遮熱タイプを考える上で、前提条件を整理する必要があります。
- 各季節の日射量
- 真北の角度
です。
まず、前者について。
下記を見ていただきたいのですが、
- 各季節の日射量
- 「水平面」というのは「屋根面」「地面」「天窓」を指し、南、東西、北というのは「鉛直面」である外壁や窓を指すものだと思ってください。
夏至(6/22)の水平面の日射量はダントツですよね?
これを見てお分かりのように、東と西は、日射量が全く同じです。
春分と秋分も同じです。
日射量は同じなのに何故西日は嫌われるか・・・
それは、西日は太陽の熱を纏って、暑いからです。
これね、夏至と冬至だけ取りあげて「夏」と「冬」とか分けて言っちゃう人は、そもそも、太陽の位置を分かっていません。
サンマーメンというラーメンは、秋刀魚(さんま)が乗っているラーメンと言っているのと同じレベルだと思ってください。
夏至というのは6月下旬頃を指す図です。
冬至というのは12月下旬頃を指す図です。
つまり、7月とか8月の「夏」というのは、9/22日が秋分ですから、下記の様に・・・
水平面にガンガン日射が当たるのは6/22で、7月~8月下旬に月日が経つと、太陽高度は下がっていくんだという事です。
はい、下記を見ていただきたいのですが、ラファエル設計は、庇を900出すと、年間のうち何月の太陽直射が2階と1階にあるのか?
というのをこういったシミュレーションで考えています。これを見ると、6/22の夏至は南側1階の掃出し窓の半分から下に日射があり、7/22日では南側1階掃き出し窓はまったく遮蔽出来ない事が分かります。
逆に、2階はどうか?
8/22日以降~4/22日まで南側2階の窓は完全に日射遮蔽は出来ない事が分かります。
こういった図を描く場合、ほとんどの設計者が「夏」と「冬」の2つを描くのですが、夏は6/22日の斜線を「夏」として描いている事が殆どです。
こういった図が頭に入った状態で、そういった図をみたり、解説を聴いていると・・・
「この人、自分で理解してアウトプットできてね~な~~」
って思うのが、理由となります。
その上で、今度は真北の方角を気にします。
- 真北の方角
- 下記の様に、窓からの日射熱が大したことあるのか、ないのか?というのを検討します。
時間別でも見て行きます。
真北方向というのは、方位磁石での北ではなくて、太陽が真南中時になった時の方角です。それは理科年表によって、日時を算出します。
ですが、こういったシミュレーションをすれば、国土地理院で調べて入力するだけです。
これらによって、初めて東西南北に適した窓ガラスのLow-eガラスのタイプはどれにすればいいの?という、回答の「前提条件」が出そろった事になります。 - 『樹脂窓』『Low-Eガラス』の断熱窓
- 樹脂窓とは、ガラスの周りの枠が樹脂といったものです。
Low-Eガラスとは、金属膜をガラスにコーティングしたものです。
Low-Eガラスを2枚使って、空気層を挟み込んだものがLow-E複層ガラス(ペアガラス)と呼ばれるものです。
これらが力を合わせて出来たものが『断熱窓』となります。
結露などを抑える作用があります。
- 『Low-E複層ガラス』遮熱タイプと断熱タイプ
-
- 2枚の複層ガラスのうち、外側のガラスの・・・
- 高防露
- 高断熱
- UVカット
- 遮熱
ざっくりと説明すると、違うのは『遮熱』をするか、しないかです。
これらにより、とりあえず下記でみて、
25Whとかしかない窓は、遮熱でよいとか、1000Wh以上日射熱取得する部分は、東西であっても断熱(取得)タイプにする?そして夏何かで遮蔽処置できる?
という考えに発展します。
一方で・・・
↑建築知識ビルダーズの連載7回目で登場したものですが、これのように、L字で奥まった南側の窓は11時過ぎから1階の掃出し窓は半分日影になり、12時には、奥まった部分の窓ではまともに日射取得出来ない事が見えてきますので、こうなると断熱タイプよりも、窓からの損失値が若干優れた遮熱タイプにする?
とか、そういった考えも生まれてきます。
当然、周辺環境の家達からも、日影の影響は受けます。
日射の多い太平洋側か、日射の少ない日本海側かでこれらの考えも変ります。
つまり、最終的には何度も言うように・・・
その家が建つ土地によって、的確な答えは変わるという事なのですよ。
これも何度も言うように・・・
「前提条件」があっての議論にならないと、単純に・・
「夏を考えて南は断然遮熱だろ~~」とか、根拠がないのに、言ってる人は、もはや設計者ではなく、それはお前の主観でしかないだろ!?
みたいな感じになってしまうのです。
大阪に行って、「いや~やっぱりお好み焼きは広島風お好み焼きが食べたいですね~~」
っていうのと同じくらいに時と場所をまるで分ってない発言者となってしまうわけです。
まあ、こんな感じでラファエル設計は、最終的な判断をしていきます。
よく「依頼する工務店は、東西が遮熱と言っているけどそれは正しいのですか?」
とか質問がしますが・・・
「そんなもん、契約している工務店に聞けよ」
って思います(笑)
これまでの説明みたら、そんな質問だけでは前提条件がまるで揃ってませんから、答えようがないですよね?
例えばですよ?
初めて僕がお客様に会うとして、契約前に美容室に行って髪を切ろうとした時に、前髪切ったら似合いますか?って質問、会った事ない相談者にしても、
「そんなの美容室の人か奥さんに相談しろよ!」
って思いませんか?(笑)
じゃあ、少し例えを変えますが・・・
行きつけの美容院で聖子ちゃんカットは似合うと言われたけど、何かお世辞としか思えないという事で、行った事ないけど少し腕には自信がありそうな美容室に電話して、
「自分には聖子ちゃんカットが似合いそうか?」
って質問したとしてさ・・・
美容室の電話とった人の気持ちになってみ?
電話の主が、
松田聖子のような容姿なのか・・・
浜辺美波のような容姿なのか・・・
清野菜名のような容姿なのか・・・
ジャッキーチェンのような容姿なのか・・・
片山さつきのような容姿なのか・・・
容姿や雰囲気といった「前提条件」がなければ、答えようがないのと一緒です。
とりあえずさ、顔合わしていてさ、契約までしててさ・・・
そんな事を信頼できない会社に、そもそも数千万もする家づくりをお願いしているんですか?
って話です。
兎に角・・・
しつこいようですけど・・・
設計には「前提条件」が必ず必要で、その前提条件が、設計プロセスの根拠となる「問い」です。
「予想」や「一般論」
で設計の回答になるなら、それは本当の回答ではないと、僕は思います。