今後の住宅の耐震について(熊本地震)

昨日、入会している「建築士会」から、毎月届く会誌が郵送されてきました。

 

特集で、「熊本地震」について取り上げられていました。
このブログでも地震については2回取り上げました。

最近、断熱設計に付随して、「地震」に対しての考えが、私の中で非常に高くなっています。
まあ、建築基準法などの基準をクリア出来れば、基本的にはOKなのですが、
『安全・安心』という提案
という所で、意識が高まっているという事です。

以前にも、書いて、他のページでも記載してますが、再度記載します。
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現在の耐震基準ですが、ザックリと説明するとこんな感じです。

極めてまれ(震度6強以上)=数百年に一度
倒壊させてはダメ
稀(震度5強以上)=数十年に一度
柱や梁などの構造に係わる部分が損傷してはダメ
  • 地震1回だけに対して倒壊、崩壊等しない程度を想定

しているのが現在の耐震設計基準です。

 

熊本地震の最大の特徴は、震度72回・・・受けたという事です。

数百年に一度と想定していたのが2回来たのですから、もう、耐震設計基準の想定を超えているわけですよね。

ちょっと、下記で概要を見てみましょう。
本震では震度7ですが、余震でこれまた「数百年に一度」であるはずの「震度6強」を5回も受けてます。

ここまで何度も地震を受けると、強度を増して地震に対抗するという『耐震等級3』であっても、場合によっては倒壊に繋がります。

建物の全壊が8151棟
建物の半壊が29072棟
建物の被害が169490棟

そりゃ倒壊しますよね・・・。

建物には、それぞれ「どれだれ揺れるか・揺れやすいか」という『周期
というものがあり、
例えば、
耐震等級1
耐震等級2
耐震等級3(長期優良住宅)
それぞれが「周期」をもっていて、それぞれが持つ周期の事を「固有周期」と呼びます。

メトロノームを想像してください。

 

大きい地震が来た時、このメトロノームの様に揺れるのは耐震等級1だと思いますか?
実は違うのです。というより、耐震等級の違いだけでは分からないのです。

実は、地震で一番怖いのは、地震が「今回はこれだけ揺らすぞ~」って言って揺らしている、地震の『周期』と
建物が持っている『固有周期』、この二つが抜群の相性で、一緒に揺れてしまう現象・・・
共振現象』

これが建物破壊につながるものの1つです。

耐震等級3の長期優良住宅でも、この共振が起きると、等級3は倒壊して等級1は倒壊しないという基準とは矛盾した現実が起こってしまうのです。

ただ、今回の熊本地震において国土交通省で行った調査で耐震等級3であった16棟のうち、14棟が無被害で2棟が軽微・小破な損傷で済んだようです。
耐震等級3、しっかりしてますね。
しかし、次も同じかどうかは分かりません。
耐震等級1である、通常の新耐震基準通りで建てられた木造住宅の「全壊」は51棟だったようです。

 

この熊本地震の直後、「防災学術連携体」で緊急合同記者会見を開いたわけですが、そこで・・・
日本建築学会の元会長である和田章さんはこう言っています。

波状的に起こる地震動による建物の累積的な損傷によって、鋼構造でも被害が拡大する可能性があり、免振・制震構造などの新しい耐震構造の普及が必要

であると指摘しています。

今回の熊本地震では耐震等級3が期待通りの結果を生んでくれましたが、やはり私は今後は『制震』を推していくつもりです。

ブログでも紹介した『SSダンパー』は、どんな周期でも地震力をいなしてくれます。

衝撃吸収です。
だから車にもサスペンションが使われるわけで、このサスペンションがただ硬いだけのものだったら、一発で壊れますよね。

今回もこのセリフで終わりたいと思います。

  • 地震が発生している最中でも家の中はどこよりも安全である

 

2017年01月18日