本日、エアコン1台で暖かいといううたい文句の住宅完成見学会に行ってきました。
細かいレポートは
『栃木で省エネ・高気密高断熱の家づくりブログ』
にて、後日レポートします。
UA値0.5
Q値1.6
というお宅でした。
まず、省エネ性能を判断する為に、下記の3つを理解する必要があります。
その見学したお宅は、窓が全てトリプルガラスで、窓としての性能がとてもいい窓を使用していました。
ですが、それ以外は断熱については普通の家でした。
基礎はちょっと断熱でお粗末な所もあり、熱損失がめちゃデカいよという感じで・・・
正直、トリプルガラスを使用したからUA値やQ値がよいという結果のお宅と思いました。
でね、
もの凄い勘違いしてしまうのが、UA値が良いから家は暖かいと思ってしまう事です。
下記で詳しく説明しています。
まず・・・
Q値とは「熱損失係数」であり、「建物からの熱の逃げにくさを表します」
数値が小さい方が高性能です。
現在の省エネ基準からは規定としてなくなり、UA値というもので評価する事になっています。
しかし、このQ値を出さない事には家の性能は分かりません。
UA値とは「外皮平均熱貫流率」であり、「窓や外壁から熱が移動・通過する量を表します」
これも数値が小さい方が高性能です。
Q値は「床面積」で割り
UA値は「外皮(窓や外壁)面積」で割ります。
分かりやすく説明すると・・・
Q値もUA値も、数値が低ければ室内の熱が逃げない事を意味します。
だ・か・ら・・・
この数値が低い家は「冬暖かい」って誤解しちゃうんです。
勿論、数値が低ければ冬暖かい事になります。
でね、
ここでポイントなのが、今回見学した家の様に、
『窓の力でUA値・Q値が小さくなっている』
という事です。
窓というのは弱点です。
だから窓の性能を上げるという事は間違ってはいません。
何が間違いというと、「外壁」の性能を上げていない点なのです。
下記を見てください。
ラファエル設計が行うようなダブル断熱ではなく、一般的な内断熱(充填断熱)です。
ハウスメーカーは2x6工法などで、断熱材の厚みが140mm、普通の工法は100~105mm
って事で、140mmの方が暖かいです!っていうのですが、これも室温による快適性の話になれば、間違えています。
柱の部分が熱橋(ヒートブリッジ)になってしまっているのです。
上の画像は柱しか描いてませんが、実際には間柱という柱も入ります。
つまり、一般的な在来工法ですと、455mmごとに柱が入っているのです。
そこから熱は逃げます。
それを防ぐのがダブル断熱(付加断熱)なのです↓
なので、ダブル断熱と普通の断熱工法の場合、同じUA値だとしても、ダブル断熱の方が室内の熱は逃げにくくなります。
つまり、暖房を消してから、室温が高いままをキープできる事を意味します。
で!
ここでまた勘違いポイント!!
僕は「暖房を消してから」と言いました。
ここがポイントです。
そもそも、『暖かい家』というのは、どのような状態を『暖かい』とイメージしますか?
ラファエル設計が設計している家(Q1.0住宅)は、『無暖房』でも暖かい家を目指しています。
どんな高断熱住宅を建てたとしても、熱源がなければ室内は暖まりません。
『無暖房』それには「太陽」が必要です。
太陽の力によって朝から陽が沈むまで室内を暖め、ずっと室温をキープするという室内環境を目指すのです。
これにより、エアコン代は24時間つけっぱなしというシミュレーションでも年間で2万円以下に出来ます。
年間つけっぱなし!でですからね。
太陽の力で室内を暖めるので、乾燥もしません。
エアコンは乾燥します。
見学した家も室温20℃
湿度32%でしたからね(;´▽`A``
逆に、窓が弱点と言って、遮熱タイプのLOE-Eガラスの窓にしてみたり、窓を小さくしてほとんど設けないような設計の場合、エアコンに頼るしかなくなります。
実際にシミュレーションすると、UA値0.37くらいの付加断熱の家でも、窓が小さい場合、太陽を取り込めない為、「無暖房」だと1日を通じて寒い日は10℃以上になりません。
同じ様に24時間つけっぱでシミュレーションすると、年間6万円くらいの冷暖房費になります。
どういうことか分かりますか?
UA値がいいからといって、「エアコン1台で暖かい」といううたい文句の場合・・・
『どんな天気の時もエアコンを稼働させないと暖かくない』
のか
『曇りの日・雨の日はエアコンをつければ暖かい』
意味が違うのです。
UA値には計算の方法があって、例えば基礎に全面断熱材を入れた場合、端っこだけいれた場合、計算結果としては同じなのです。
理由は、算定できる範囲が定められているから。
なので、きちんとしたシミュレーションソフトでUA値を出さない限り、実際の住まいに合わせたUA値にならないって事なのですよ。
大事件ですよね。
UA値が同じ2つの家があった場合、断熱施工の方法によって、室内環境は大きく違ってくるのです。
これにより、
「思ったより寒い」
「思ったより暖かくない」
という・・・
「思ったより」という言葉が初めについてくるのです。
UA値がよく、窓にはトリプルガラスを使っています!
ウレタン吹いてます!
だから暖かいです!
ってだけ説明している会社は要注意です。
・天井断熱でななく屋根断熱を採用しています。
・基礎の断熱はどのようにして熱損失を防いでいるのか。
・壁はどのようにして熱損失を防いでいるのか。
・窓廻りにはどのようにして熱損失を防いでいるのか。
・気密はどのようにして確保しているのか。
これらが説明できる会社でなければ、UA値、Q値だけの判断で依頼してはNGです。
吹抜けを否定する会社は問題外ですけどね(笑)
断熱の種類なんて何でもいいのです。
しっかりと自分の設計した家のUA値・Q値を家の快適性とリンクするには、
「熱損失」
を如何に家全体で細かく見る事が出来るかって所が重要であり、
「暖かい家・寒い家」
の分岐点にもなるのです。
第三種・第一種の熱交換換気だけでは快適性は得られません。
これも勘違いの1つなのですが、熱交換を入れれば家が暖かくなるわけではありません。
フィルター掃除しなければきちんとした性能は出せませんし、
窓や壁の熱損失を考えて無かったら、熱交換をしても、室内の熱を捨てているだけになります。
最近、「エアコン1台で暖かい家」というフレーズの広告が増えてきている感じがします。
脳が騙されないように注意してくださいね。