Low-e窓と断熱の関係

ここでは必ずと言っていいほど話題に出る、窓に対しての断熱性のお話をします。

現在はLow-eガラスが使用されている、「Low-e窓」が主流です。

明るい部屋が希望なので窓を大きく取りたい。断熱性は悪くなりますか?
悪くなります。窓は最強の弱点です。
理由は?
熱移動の話もありますが、窓ガラスはどんなに頑張っても断熱材の代わりになる程の性能を発揮する事はありません。
窓は簡単に説明すると、『アルミ窓枠とガラス』で構成されています。
熱伝導率の話はこちら
アルミの熱伝導率は210W/(m・K)
ガラスは1.0W/(m・K)
グラスウール断熱材:16K(kg/㎥):0.045

いくらダブル断熱や高性能の断熱材で壁を構成しようとも、アルミ窓枠とガラスの所でバンバン熱に移動されます。
  • トップライト(天窓)を設けると暑くて仕方ない
・・・って話があると思いますが、『夏』の時期は、「水平面である屋根面」が壁とかよりも、ぶっちぎりのダントツで太陽熱を受けまくるからです。(詳しくは下記の表で)
雪で作る『かまくら』半分アルミとガラスだったら、凍えそうですよね。
各季節の日射量

夏至の水平面の日射量はダントツですよね?
※水平面以外は全て鉛直面です。
ちなみに、これを見てお分かりのように、東と西は、日射量が全く同じです。
春分と秋分も同じです。
日射量は同じなのに何故西日は嫌われるか・・・
それは、西日は太陽の熱を纏って、暑いからです。
では、窓は設けちゃダメなの?
建築基準法で、住宅の居室(人が常時作業したり滞在する室)には『採光』と『換気』が必要とされています。
床面積の大きさによっては火事になった時の『排煙』の規定もございます。
よって、窓を設けない事は不可能です。
そこで登場するのが『樹脂窓』『Low-Eガラス』の断熱窓
樹脂窓とは、ガラスの周りの枠が樹脂といったものです。
Low-Eガラスとは、金属膜をガラスにコーティングしたものです。
Low-Eガラスを2枚使って、空気層を挟み込んだものがLow-E複層ガラス(ペアガラス)と呼ばれるものです。
これらが力を合わせて出来たものが『断熱窓』となります。
結露などを抑える作用があります。
『Low-E複層ガラス』遮熱タイプと断熱タイプ
  • 2枚の複層ガラスのうち、外側のガラスの・・・
【室側』にLow-E金属膜を設けたものが『遮熱タイプ』
(出典:YKKAPホームページ)
【室側』にLow-E金属膜を設けたものが『断熱タイプ』
  • 高防露
  • 高断熱
  • UVカット
  • 遮熱
上3つは両者とも同じです
ざっくりと説明すると、違うのは『遮熱』をするか、しないかです。
Low-E複層ガラスの遮熱は優秀だから、東西南北とも遮熱でいいじゃん?
設計者によって考えが分かれるのですが、私はそう考えておりません。
例えば、冬・・・太陽高度が下がるので、窓から太陽が射しこみます。
この太陽の暖かさを部屋に取り込みたくないですか?
南を遮熱にしたお宅では、冬寒いという意見も多く見られますし、実際に窓を開けた方が暖かくなるという衝撃的なお話をしてるお方もいらっしゃいます。
遮熱と断熱、どう使い分ければいいの?
設計者によって考えが分かれますが、敷地周辺環境などによって実際に採用するものは異なります。
屋根や庇や軒の出にもよります。
完全に遮熱をしたい部屋なのか、そうでないのか・・・
そういった事で使い分けを考えています。

あくまでも私の考えですが、
断熱タイプというのは、遮熱を自分で出来ないので、【防御タイプ】なわけです。
なので、カーテンなどをすればいいだけの話です。

遮熱タイプは、何でも遮熱をエイ!ヤー!と切っていく、【攻撃タイプ】なわけです。
カーテンなどで守ってもらわなくても、自分で何とか出来ます。

上の方にある「鉛直壁面・水平面の終日日射量」の図を見てわかる通り、日射量から
南=断熱
北=方角によって遮熱
東西=遮熱
を基本的に考えています。

窓は、カーテン等に守ってもらい、何も自分自身でどうにか頑張ろうとしなくてもいいので、単純に夏の太陽光線をシャットアウトする為に遮熱を選ぶというのはちょっとナンセンスかなと思います。
シェードなどを設けられない場合は・・・みたいなストーリーがあって遮熱にすると考えるべきです。

栃木のような地域でもそうなのですが、冬の日射を積極的に取り入れて、夏の日射を徹底的に遮断するという考えで私はいます。
Low-eの使い分けを理解しよう!
分かりやすく説明すると・・・

遮熱か断熱にする理由というは、「太陽」を「敵」か「味方」としてみるわけです。

「敵」となるのは夏です。
「味方」となるのは冬です。

夏は太陽が「敵」なので家に入れたくありません。
遮熱くんは遮熱という武器を持っているので頑張って防いでくれます。
断熱くんは無防備なのでカーテンなどに守ってもらわないと、侵入を防げません。

冬は太陽が「味方」なので、家に入れたいのです。
断熱くんは、超ウェルカムで迎え入れてくれますが、
遮熱くんは、味方の太陽を遮熱して倒してしまいます。

結果・・・
冬なのに窓を開けた方が暖かいという現象が起きます。
全部「遮熱タイプ」の家
全部「断熱タイプ」の家よりは、
夏涼しいが暖房つけないと冬寒い
全部「断熱タイプ」の家
断熱カーテン・ブラインドがないと夏は暑い&冷房効かない
冬は暖房無しでも暖かい

という感じで夏と冬でどちらかに分かれます(;´∀`)
注意
カーテンをするという事は、夏、カーテン昼間も締め切りで、引きこもりみたいな室内環境になってしまうので、注意が必要ですよ♪

また、カーテンは家じゅう設けたら50~100万は行きます。

ニトリなどで注文する場合はもっと安いと思いますが、自分で採寸して間違えたら最悪です。