内断熱と外断熱で優劣どっち?

皆さんは、内断熱と外断熱・・・どちらが良さそう、優れていると考えていますか?

初めにその質問の答えを言ってしまうと・・・

あえて両者についてご説明します。
これらの性能をするには、『目的』が違えば優劣は変わってきます。

それでは下記の図で説明致します。
どの図も部屋の中と外で温度差12℃という状況です。

赤が断熱材です。
ベージュはコンクリートの壁です。

外側に断熱材があるのが『外断熱』
内側に断熱材があるのが『内断熱』
です。
よって、木造は、内断熱ではなく、
『充填断熱』と呼ぶのが本当です。
でもまあ、そんな細かい事は抜きにしてわかりやすく、内断熱・外断熱で行きましょう。

線が急勾配になるほど、温度差が大きい事を表します。
よって、断熱材は熱を通しにくいので、急勾配になりますね。


とりあえずここまではOKですよね?
次に外断熱と内断熱の違いを目的別に見てみましょう。

外断熱と内断熱による『 内部結露の防止 』
青線が壁の室内側表面温度になります。
外断熱も内断熱も同じ事が分かり、断熱材無しは1℃くらい低い事が分かりますか?
例えば冬季・・・
『断熱材の室外側は温度が低い』
よって・・・
  • 断熱材を室内側に配置する『内断熱』では壁体内部の温度が低くなり内部結露が生じやすい
  • 外断熱』は壁体内部の温度が高く保たれるので、内部結露が生じにくい
結論【 内部結露 】にフォーカスした場合
壁体の『内部結露』を防止するには外断熱の方がいい
結論【 表面結露 】にフォーカスした場合
壁の室内側表面温度が同じなので、外断熱も内断熱も同じ(差がない)

コンクリートの室内側表面温度が内断熱は一番低いので、断熱材無しの方が内部結露しにくい・・・となりますが、防湿処置を施さない場合の図なので、そうなります。
ここ・・・え?なんでって思いますよね。でも、そういうものなのです。
だから防湿処置って重要なんです。
結論【 熱抵抗 】にフォーカスした場合
部材単体の熱の伝わりにくさは同じです。
よって、住宅などの木造でも計算上の断熱性能は同じという事です。
外断熱 VS 内断熱
この対決が大きく関係するのは、コンクリート・・・特に打ち放しのデザインマンションなんかですかね。
熱容量
部材君たちには、『熱容量』というモノがあります。
熱量を加えた時に比例して温度が上昇する・・・ってやつですね。

『物体の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量のこと』です。
イメージ的には、熱をどれくらい保ってられるかって考えた方がイメージしやすいかもしれません。

コンクリートは『温まりにくく、冷めにくい』特徴があります。
温まりにくい
ここで熱移動の話をしてますが、まさにそれです。
熱は温度の高い方から低い方へと移動するんでしたよね。

コンクリートの建物で外断熱だと、内側はコンクリートになるわけです。
夏・・・冷房ONしても、しばらくコンクリートに冷気を奪われてしまうので、全然涼しくならないです。
冬・・・暖房ONしても、しばらくコンクリートに暖気を奪われてしまうので、全然暖かくならないです。
冷めにくい
冷めにくいので、暖房ONしてから、コンクリートが満足してお腹いっぱいになれば、中々熱を消化しないで、暖かさを保ってくれます。
ライフスタイルによって
1日中家の中・・・インドアな方で1日中エアコンONの場合は外断熱
家にいるのが主に夜・・・すぐにエアコンの効きが必要な場合は内断熱

という具合に、両者の対決はライフスタイルによって軍配は左右します。
一番重要な事
どちらの断熱でも、『施工』がしっかりしてなければ、意味がありません。
気流止めの重要性などを熟知した方が工事をするのが安心感があります。

施工精度が悪ければ、外断熱も充填断熱(内断熱)も同じです。

壁の断熱の他にも基礎断熱・床断熱とありますが、これら単体でどれがいいかなんて答えは出ません。
基礎断熱にすれば「夏型結露」と因果関係も生まれますし・・・

大切なことは、目的に合った工法に適切な総合的に設計・施工をする事です。
施工が悪い例
下記は天井面を見立てた模型です。
気流止めを忘れた為に天井裏や2階の床下に冷気・気流が流れ込む。
そうすると壁体内やグラスウールとグラスウールのシートの間に内部結露が起きます。
施工が悪い例
下記は天井断熱を見立てた模型です。
赤丸の所が、天井を吊る為の吊り木が邪魔して隙間が出来ています。
断熱性の0です。
上記の気流止めが無い状態と同じでバンバン気流が入り込みます。
そうすると内部結露が起きます。
グラスウールによる天井断熱は、施工精度も悪くなるし、配管ダクトなどの邪魔にもなるので、
Raphael設計は採用していません。
施工が悪い例
下記は壁面と床面を見立てた模型です。
グラスウールのシートをいい加減に施工している

↓余談・・・

  • 木造の場合で内断熱(充填断熱を見てみましょう。)

下記は木造住宅の充填断熱の図です。

充填断熱とは、柱と柱の間に断熱材を充填していくのですが、弱点とも言える所が、の部分です。
こういう所をヒートブリッジ(熱橋)と言います。
特に鉄製の柱なんかだと、そこで思いっきり弱点になり、熱貫流抵抗が小さくなり、熱が行き来してしまいます。
室内表面温度が下がる事になり、結露しやすくなります。
このヒートブリッジになる所への断熱の配慮がとても大切です。
それは換気のダクトやコンセントボックスなども該当します。

結露防止には?①
外断熱ならヒートブリッジは防げます。
しかし、外断熱は通気などがとても重要になります。
その為コストはかなり割高になり、私は外断熱にメリットをほとんど感じません。
結露防止には?②
室内の湿度を下げる事が重要です。
湿度が上がると露点温度が上がって、結露しやすくなります。
よく冬の暖房時、玄関ドアまでビショビショのアパートなんか体験した事ありませんか?
昔の隙間風の多いような気密性の低い住宅なら結露しにくいのです。

小屋裏の換気や通気もとても大切なポイントです。
結露防止には?③
調湿材料を使う。
左官壁などにすることもとても効果的です。

断熱性能や気密性も勿論重要です。
  • これだけ色々考える事があると、訳が分からなくなってしまいますよね。
  • そこで、ダブル断熱の登場です!!

    ダブル断熱の良さは、何も涼しい、暖かいという事だけが取り柄ではありません。
    それ以外にも、充填断熱・外断熱のそれぞれ欠点にも対応出来てしまう所が、推奨する理由の一つです。
    空気も良くなるし、カラッとした空気になったります。

    ラファエル設計は、ダブル断熱の最上級レベルの高断熱住宅に取り組んでいます。
    下記を詳しくはご覧ください。