いつの間にか12月になってしまいました。
12月、1月と年間で一番光熱費がかかる季節というのをご存知ですか?
宇都宮だと1月が最も高くなると思います。
何故か?
寒いからですね。
今まで、新築相談や間取り診断などの相談を受けて、皆さん・・・
ものっっっっ凄い勘違いしてるな~!!
と思っている事があります。
それは・・・
『自分が住んでる家は40年前のものや50年前の家、だから今の時代の家は今の家に比べたらかなり暖かくなるはず』
これ・・・思っている事は間違いではないですが、「かなり」暖かくなるって所が勘違いしてます。
次世代省エネ基準の家を建てたとしても、敷地条件によっては冬の深夜、無暖房で室温は氷点下を下回ります!
Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン
マイナスの室温ですよ。
宇都宮では外気温マイナス6.7℃
栃木市では外気温マイナス8.7℃
くらいの時に室温はマイナス1℃~3℃くらいになります。
40年、50年前の家でほとんど無断熱のような家であれば室温はマイナス5℃くらいか、ほぼ外気温に近いでしょう。
うそだ~~~って思うかもしれませんが事実です。
皆さん、これも凄く思い違いをしている事なのですが・・・
室温2℃の差って、大した事ないと思ってませんか?
室温1℃高い部屋を維持する為に、灯油換算ですと、100ℓに相当します。
思い返してください。
夏の冷房時、25℃と27℃って全然違くないですか?
28℃と30度って違くないですか?
高性能住宅の見学の時でもそうですが・・・
見学する為に家に入った時に26℃で皆さん快適に思っていても、10人くらいが同時にその家に入って、数名が「暑い!」って声に出して言い始めると室温は27℃になっているという事がありました。
室温1℃という差でも、それだけ人によって違うのです。
中でもそう感じるのは男性の場合が多いです。
男性の場合、女性に比べて筋肉や、贅肉といった断熱材が身体に入ってますが、女性はその量が少ないので寒がりや冷え性の方が多いのです。
その為、どんな高性能な家を造ろうと、すべての人が同じように「快適」と感じる家を造るのは不可能です。
理由は、着衣量や作業量なども違うから。
寒がり、暑がりで着ている服の量が違えば「快適」を評価する前提が違うし、
寝っ転がっている人と掃除などで動いている人では発熱量も違う。
ラファエル設計が目指す「快適」な家とはどういったものかというと・・・
『着衣量の調整で、多数の人が快適と感じる』
というものです。
室内ではないですが↓こういう事です。
2007年3月のイタリア(ヴェネチア)です。
新婚旅行の時ですが、僕は半そでTシャツ、妻はコート来てます(笑)
この状態がそれぞれか「快適」と思う状態なわけです。
それで、その高性能な家はどうやって見分けるんだ?って思いますよね?
それが・・・
UA値(外皮平均熱貫流率)
※窓や外壁から熱が移動・通過する量を表しますので数値が小さい方が高性能
Q値(熱損失係数)
※建物からの熱の逃げにくさを表しますので数値が小さい方が高性能
C値(相当隙間面積)
※気密性能を表します。家全体の隙間を表しますので数値が小さい方が高性能
です。
これらの数値が『家の性能を知る為の数値』となります。
現在の省エネ基準はQ値がなくなり、UA値によって評価されます。
これは省エネ法の話なので、実際の温熱環境を良いものにするにはQ値を無視しては全体にNGという事です。
では基準を見て見ましょう!
※スマホで見るなら画面回転で横にしないと見にくい表だと思います
(;´∀`)
地域区分 | 地域詳細(一部) | 熱損失係数 | 外皮平均熱貫流率 | 冷房期の平均日射熱取得率 |
---|---|---|---|---|
1地域 | 北海道(旭川・富良野・釧路・稚内) | Q1.6 | UA値0.46 | - |
2地域 | 北海道(札幌・苫小牧・室蘭) | Q1.9 | UA値0.46 | - |
3地域 | 函館・青森・山形・秋田 | Q2.4 | UA値0.56 | - |
4地域 | 宮城・福島・栃木県(那須、日光) | Q2.4 | UA値0.75 | - |
5地域 | 宇都宮(4地域以外の栃木県) | Q2.7 | UA値0.87 | ηA値3.0 |
6地域 | 千葉・横浜 | Q2.7 | UA値0.87 | ηA値2.8 |
7地域 | 長崎・鹿児島 | Q2.7 | UA値0.87 | ηA値2.7 |
8地域 | 沖縄 | Q3.7 | - | ηA値3.2 |
栃木県でいうと・・・
日光や那須の寒い地域はUA値0.75より小さい数値
それ以外の地域はUA値0.87より小さい数値であれば
『次世代省エネ基準クリア!!』
と広告などに謳えるわけです。
ですが、栃木県は5地域なので、比較的温暖地域なわけで、例えば・・・
宇都宮でUA値0.86で次世代省エネ基準クリア!!
と言っているのか、
UA値0.74で次世代省エネ基準クリア!!
と言っているのか、
UA値0.45で次世代省エネ基準クリア!!
と言っているのか分からないのが多いのですよね(^_^;)
今、国が推奨しているZEH(ゼッチ)という基準が宇都宮の5地域ですとUA値0.6です。
だから、UA値0.58くらいの性能であれば、ZEH基準のUA値をクリアできる家って感じの宣伝になるのかな?と思います。
他のページでも書いてますが、Low-eガラスの窓などを使えば、普通に次世代省エネ基準なんてクリア出来ますし、出来ない方が恥ずかしい基準でもあります。
いくつか安さ勝負の家づくりしている会社の性能をシミュレーションすると、特に凄い事しなくても、今当たり前のようにつけてるLow-eガラスまどつけるだけでUA値0.68くらいの性能になっているはずです。
でも・・・
冬は極寒、夏は灼熱
な現状です。
局所不快感だらけの、床暖房必須、冷暖房ガンガン・・・
みないな感じです。
11月の無暖房の床(フローリング)の表面温度は10℃くらいにしかなりません。
それが次世代省エネ基準ギリギリクリアの家です。
ラファエル設計がQ1.0住宅以前に行っていたダブル断熱という工法は、3地域の函館、青森などはクリア出来る仕様となっています。
トリプルガラスなどを使用すれば、1地域の一番寒い基準もクリア出来る仕様です。
それでも実際に住まわれている方の年間光熱費は13万くらいになっています。
Q1.0住宅であれば・・・
Q値1.0~1.3
UA値0.3~0.38くらいを目指しますので、次世代省エネ基準を圧倒的にクリア出来る性能というわけです。
栃木県で次世代省エネ基準ギリギリクリアの家とダブル断熱の家は、無暖房で室温4℃以上は変わります。
ZEH基準クリアのUA値0.6くらいの次世代省エネ基準クリアの家とダブル断熱は室温2℃以上変わります。
大体これくらいの家の性能同士の場合室温1℃上げるのに、家のコストは100万円UP必要な感じです。
つまり、室温2℃以上上げるには家のコストは200万UPが必要な感じです。
35年ローンで変動金利の場合、今の場合だと月々6000円UPで高性能住宅が手に入るという事になります。
Q1.0住宅の場合、次世代省エネ基準クリアの家より300~400万UPで建てられると思います。
その分、光熱費がかなり下がりますので、ローンは光熱費と一緒に考えるべきという事を前から話しています。
ではまとめに入ります。
これまで
室温1℃の差というのは大きな差であるという事と、
UA値やQ値が家の性能を知る為の数値
という事をお話してきました。
しかし、これらは、あくまで業者選びの「参考値」「目安」としてください。
UA値が小さい方が優れた会社!と判断するのは間違いです。
理由は↓で説明しています。
UA値というのは、極論言えば窓が1つもない方が数値は小さくなります。
しかし、そんな事をしたら冬はお日様の力をもらえませんので、暖房による室温上昇が必須となります。
つまり、光熱費が高くなるし、夏は通風もないわけですから、快適な空間なわけがありません。
家の性能を知る為の最も有効な数値というのは、「光熱費」に他なりません。
光熱費というの、『結果』でもあります。
光熱費というのは加湿器を使ったりしているだけでも大きく違いますので、一番有効なものは、
『年間冷暖房費』
ですね。
しかも、つけたり切ったりしての年間冷暖房費ではありませんよ。
『24時間連続運転での冷暖房費』
が一番目安になる為の数値だと思っています。
これが安いという事は、それだけ冬は無暖房、夏は無冷房で過ごせているという事になります。
『快適』
って事です。
南側の窓が・・・
遮熱タイプのUA値が0.38の家よりも
断熱(取得タイプ)のUA値0.39の家の方がUA値は負けてるけど光熱費は安くなるはずですし、冬の家の暖かさも違ってくるはずです。
シミュレーションを行うには専用のソフトが必要になります。
そのようなソフトが無い場合の会社を評価するには、実際に建てた家がどれくらい光熱費がかかっているか聞いてみてください。
年間10万前後の家であれば、かなり高性能な家だと思われます。
UA値って、例えば北側の半分を無断熱材でも性能が良い窓とか使えば0.7とか出ちゃうので、実際の快適性を評価する為の数値としては、あんまりあてにならないというのが僕個人思っている事です。
そんな家、UA値が次世代省エネ基準クリアでも無断熱の家となんら変わりないですよね(笑)
玄関土間断熱を全くしなくてもUA値が変わらない時もあります。
UA値が同じでも実際の温熱環境はまったく違うでしょう。
最後に改めて言います。
室温1℃の差というのは場合によっては灯油100ℓ、家の値段でいえば100万円くらいの差があるという事。
家の性能を知る為の数値としては、UA値、Q値、C値よりも「年間冷暖房費」という事です。