連日、ニュースなどでも取りあげられているのでしょうね。
千葉のゴルフ場。
最近、勉強と仕事三昧で、テレビなどはほとんど見てませんが・・・。
今回の件について、僕なりに考えを述べたいと思います。
皆さんは、火災保険って知ってますか?
家を建てる時には入ると思いますが、これにはオプションというか、色々ある。
火災保険というのは、火事になった時の保険ではないですよ。
風害や水害も対応するのが火災保険です。
で、今回のような事故。
人災なのか天災なのかはまず置いといて・・・
基本的には、こういった台風の爪痕などによって起こった災害に対して、家を建てる人はどれだけ真剣に考えているか?
という所にある。
例えば、台風で、自分の家の屋根瓦が飛んで、隣の家や他の家の窓ガラスを壊したりした被害がでたとします。
これ、自分で全員の家の保障をしますか?
って話です。
木が倒れて、家や車を潰したら・・・
木の持ち主、管理者がその責任・保障を問われますか?
って話です。
まあ、今回のような災害で議論になるであろう部分を建築基準法の観点から話をすると・・
まず、「風圧力」という所が挙げられるだろう。
建築基準法87条に「風圧力」という規定があります。
風圧力は速度圧に、風力係数を乗じて計算されるのですが・・・
速度圧=0.6xExV0^2
です。
E=
当該建築物の屋根の高さ
周辺の地域にある建築物&その他の工作物
樹木
その他、風速によって影響を与える可能性のあるものの、状況に応じて国土交通大臣が定める方法によって、算出した数値
V0=
その地方における、過去の台風の記録に基づく風害の程度、その他の風の性状に応じて
30m/秒~46m/秒までの範囲内で国土交通大臣が定める風速
これらの部分で判断するのかと思います。
V0に関して言えば、ゴルフ場の市原市は38m/sです。
ちなみに栃木県は全区域30m/sです。
同時の状況をみてみる。市原ないから千葉で。
最大風速は29.2m/sだったようだ。
観測史上1~10位の値(年間を通じての値)を見て見ると・・・
1967/4/4の28.1m/sを上回っていますので、史上3番目の強風だったという事ですね。
ですが、38m/s未満です。
天災なのか人災なのか・・・。
次に、鉄柱は、建築基準法ではどんな位置づけなのか?
15mを超える鉄柱ならば、「工作物」になります。
「建築物」ではありません。
建築物というのは・・・
土地に定着する工作物のうち、屋根&柱or壁があるものが大前提です。
で、これに付属する門とか塀
観覧の為の工作物
地下or高架の工作物ないに設ける・・・
事務所、店舗、興行場、倉庫、
その他類する施設(下記は除く)
・鉄道&軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設とか、こきょう橋、プラットホームの上家、貯蔵槽、その他これらに類する施設
をいいます。
で、この鉄柱は30~40mくらいあるんですかね
そうなると、工作物です。
確認申請が必要になります。
その他、適合させなければならない条文がそれなりにあるのですが・・・
その他の1つに法20条「構造耐力」がある。
建築基準法施行令第140条で、その中でこういう所守れ~って書いてあるのですが・・・
まあ、この辺で書かれている所に関して言えば、ゴルフ場のオーナーというより、施工した人、設計した人の責任はどうなの?って思う所はありますよね。
で、建築物であれば、「定期報告」というものが、建物の用途や規模・面積によって定められている。
エレベーターなどの建築設備も同様だ。
勿論、工作物についてもあるけど、これらは観覧車とかの遊戯施設に関するものだ。
下記は、千葉県のもの。
なので、「定期報告」については不要である。
ちなみに定期報告とは下記のようなものを調査します。
次に、同じく工作物に準用されるもので・・・
建築基準法第8条「維持保全」
というものがある。
法令集をそのまま、読みやすくして転記しますね。
建築物の所有者、管理者or占有者は、その建築物の敷地、構造、&建築設備を、常時適法な状態に維持するよう努めなければならない。
はい、
「努めなければならない」
というのはどういうことかというと・・・
努力義務
という事です。
努力をしなさい!!って言ってるだけです。
つまり、今回、ゴルフ場のオーナーや責任者に、
「常時適法な状態に維持するよう努めてないじゃないか!!!」
って文句を言うという事は・・・
現在、古くから建っていて、老舗という感じで運営されている、耐震補強をしていない旅館なんかに、
「常時適法な状態に維持するよう努めてないじゃないか!!!」
って今すぐ文句を言ってください。
というようなものです。
耐震なんかでもそうですが、基準法が改正される事で、今まで適合だったものが違法になってしまう・・・
これではその度法に適合させなきゃいけないの?
ってなりますよね?
そういった事にならない処置というか、そういった状況にある建物を
「既存不適格」
といいます。
これが、耐震改修促進法でいうと、
「特定既存耐震不適格建築物」
といいまして、その所有者は、建物の用途・規模・面積によって、努力義務が生じるものが出てきます。
これらに該当すると、所管行政庁は耐震診断しろよ~とかって、指示が出来るようになります。
ちょっと耐震の方に脱線してしまいましたが・・・
いわゆる、努力義務に対しては、違反しても罰せられるかどうか、とっても曖昧な事になります。
建築基準法に関しての観点では、これらになります。
被害にあった方々からすれば、ふざけんな!!
って気持ちに当然なりますが、まずは「火災保険」。
これらの充実が必要なのだと思います。
僕はこの前、「人が死ななきゃ変わらない」というブログを書きました。
これも同じです。
注目されましたので、ドライブレコーダーの重要性が認識されてきたように、火災保険の内容などに関しても、各保険会社の見直し、加入予定者の増加にもなるのではないでしょうか?
家を購入する時は、ハザードマップで水害が起きそうな土地なのかどうなのか?
近くに倒れてきそうなものはないのか?
色んな可能性が起きる事を想定して、防衛策を取る事が大切だと思っています。
「保険」というのは、結果が起きてから、入っておけばよかった、入っておいてよかった・・・となるものです。
建築に関しては違います。
ラファエル設計は、制震ダンパーを標準装備しています。
これらは、確率論で設計するものではありません。
当たり前に入れて置くものだと思っています。
これからの時代、火災保険もそうですが・・・
「自己防衛」
これが出来ないと、理不尽な世の中の闇に、人生狂わせられるような気がしてなりません。
保険に入ってないのが悪いんだろ!
という時代が令和なのだと思います。
地球温暖化によって、自然災害の増加話もブログで以前に書きました。
今回なんて、人災があるかどうかは弁護士や裁判官が判断するとして・・・
普通じゃ予想できない災害の1つではないでしょうか。
それにしても、鉄柱に直撃されたお宅の方をはじめ、死者が出なかったのが奇跡ですね。