2月下旬の話になりますが、建築知識ビルダーズ36号が発売になりました。
ラファエル設計の連載第二回目は先日もお話した通り・・・
「窓を高性能にしたのに暖かくならない理由」
です。
これが世に出た場合、窓を最大の弱点とする方々から、批判や苦情がくる可能性がある事は、予想も出来たし、編集の方にも伝えた事でもあります。
やっぱり、予想通り・・・
予想していた方から苦情というか、怒り心頭と思うメールがきました。
Facebookで弁明してもらいたいという事で、弁明をしました。
『窓の性能はそれほど重要ではない』と書かれている部分というか、小見出しがあります。
これがまあ、「窓が弱点」と今まで長年訴えてきた方々からすれば、非常に腹立たしい小見出しだと思います。
これは樹脂窓以上にした場合の前提を入れて欲しかった部分でもあります。
しかしながら、きちんと記事を読んでいただければ、そのような事を言っている訳ではない事が分かると思います。
編集者からすれば、小見出しが「ここ読んで」のサインでもあるようです。
編集担当の方が「この部分は面白いから読んでもらいたくて」と思っての確信犯という事なのですが、その小見出しだけ捉えられると、話が変な方向に行きます(笑)
基本的に、窓が弱点という事を否定したい記事ではありません。
断熱強化を疎かにして、窓の性能のみを上げただけで、「無断房」では暖かくなるわけでは無い事も事実・・・
という事を伝えたい思いがありました。
例えば『無断房で20℃』を実現するために、必要な項目は、窓をYKKの430とか木製窓を使い、弱点を補うだけではないという事です。
窓の近くでコールドドラフトとか寒さを感じるという、体感温度の話よりも前に、屋根面・外壁面・床面・基礎面・窓面の「熱橋(ヒートブリッジ)」を防ぐような行為も、室温・体感温度・表面温度を上げるには必要な要素だと思っています。
だから、タイトルが「窓の性能上げたのに暖かくならない理由」です。
僕は、予算が無いから付加断熱をやらないという設計は、過去にも未来も絶対に行いません。
家の設計は、一般論があるかと思いますが、そこの地域や周辺環境によって、「暖かくした家のはずなのに寒い」という事が起こり得ます。
それを自信を持って、お客様に訴えて行かないと、トリプルガラスにしたから暖かい家、トリプルガラスにすれば金かけて付加断熱の必要はない!という勘違いが崩れそうにないと思います。
栃木あたりでは、樹脂窓+付加断熱で、Q1.0レベル3の性能は出せます。ただ、UAやQ値を上げる為の窓の強化ではないと思うのですよ。
僕は、日本の家づくりが良い方向へ向かうのに必要な事は、単に窓の強化だけでなるわけではなく、付加断熱も含めて、どうすれば安価に誰もが本当に暖かい家にすむことが出来るのか?という事を、シミュレーション等をして、一人一人が考える必要があると思います。
誰々がセミナーで言っていたとか、そういう事ではなくて。
今回の連載の件で、僕が批判の的になることも覚悟の上ですが、窓が弱点という事を否定している訳ではない事はご理解下さい。
連載は、限られた文字数&話が広がりすぎないようにする必要もあります。
僕が伝えたい事は、兎に角『窓が弱点』という前提から・・・
- 全部トリプルガラスにすれば暖かいと言ってる人達
- 窓を小さくしてUA値を良くして暖かいと言ってる人達
- 付加断熱までやらなくても少ないコストアップで、暖かくなると言ってる人達
などに対して発信しているものでもあります。
当然、その人達の考えを否定しているような感じになる訳ですから、僕が批判されるだろう予想はしておりました。
栃木でも『冬暖かく、夏涼しい』という謳い文句が多くの広告に見られます。それを見ると、大抵UA0.5前後が多いです。
これらの見学会に友人と行くとそこの会社の人は『窓が弱点』というのをしつこいくらいに言う事もあります。
で、窓はトリプルにしてて、断熱を見ると大抵ウレタンです。105mmだったり、90mmの所もあると思います。
これってどうなの?
って思うのです。
僕は『暖かい家』の話というか議論をしているのであって、、暖房を稼働しての話をしていません。
連載1回目も、2回目も、『暖かい家』というのはUAなどの数値を良くすることではないという考えを知って頂きたく、書いています。
苦情というか、今回の僕の話に納得いかない人は、沢山いるかもしれないけど、
今回の記事の内容から大体、コスパの話になったりします。
いただいたメールにもそれは書かれていました。
僕は、「暖かくなるかどうか?」の話をしているわけで、「コスパの話」をしているわけではありません。
何度も言うけれど、窓が弱点なんて、誰もが分かっています。
で、窓の断熱性を強化する!
までは、誰だって考えつく所です。
じゃあさ・・・
『その窓の強化をしたら、室温何℃になるの?』
っていう話を、日本中探して、何人の人がしてますか?
って事を僕は逆に問いたい。
築60年の無暖房の家だって、コタツがあったり石油ストーブがあれば、暖かい部屋になりますよ。
僕は、そんな次元の話をしているわけではないのです。
無暖房でどれだけ暖かくなるか?
これをトコトン追求しています。
正直、この連載2回目は、基本的な概念をぶち壊して、新たな考えを広めていこうという決意もあります。
ビルダーズの連載2回目も、1回目も読んでいただければわかると思いますが、家というのは、何かだけが弱点ではないのですよ。
サッカーではメッシが一人いても勝てないように、周りもバランスよく均衡が保たれなければいいチームとは言えませんよね?
多分、今回の連載の内容は、1回目よりも難しい内容かも知れません。
プロが見ても、分からない人は分からないかもしれません。
そうなんです。
家づくりの設計って、難しいんですよ。
素人が間取り書いて、簡単に家が建つかもしれませんが、「暖かい家」というのは、単純に今の時代の家を建てれば暖かくなるわけではないのですよ。
だから、僕のような建築士にしっかり頼む必要があるんですよ。
ネットの情報だけ拾って、いい家が出来る訳がありません。
単に、知ったような気になっているだけに過ぎません。
騙されないようにしなくちゃ!なんて考えで、勉強して、依頼先探しをしても、スーパー工務店からは、相手にされないでしょう・・・。
理由はね・・・
工事中含めて、上手くいかないんですよ。
まあ、いずれにしても、「暖かい家」の条件として、樹脂窓以上と付加断熱は必須だと思っています。
2つの部分で大きく熱は損失します。
栃木あたりですと、屋根・天井は300mmはブローイングで必要ですね。
基礎断熱にしたら暖かくなると思っている人も大勢いますが、床表面温度は床断熱で、大引きの部分の熱橋を防いだ上でのダブル床断熱にするのが、一番床表面温度が高くなります。
窓だけ良くしたってダメよね!って賛同してくださる方も多い事は事実。
工務店選びで、性能値ばかり尋ねて甲乙つけている人は、窓の性能以外に、付加断熱を進めてくれる所を1つの目安にしてください。
付加断熱にすれば窓はアルミ樹脂で十分とか言っている所は論外ですけどね(笑)
ビルダーズ36号は、TSUTAYAに売っていると思います。
新住協関東支部で支部長をしてくださっている、埼玉県東松山の「夢・建築工房」さんの事例も沢山載ってますので。
僕も色々学ばせていただいております。
是非、手に取って読んでみるか、購入してみてください。