Q:耐震等級3相当とは?

問い合わせなどでも多いものの1つ。

耐震等級3・・・ではなく、

耐震等級3相当という「相当」って何?

耐震等級3じゃないの?

お答えしましょう。

 

耐震等級3ではありません。


等級3ではないから「相当」という都合のいい言葉があるのです。

しかしながら、等級3というのは、分かりやすくザックリ説明すると・・・

長期優良住宅の申請をすれば、『耐震等級3』

長期優良住宅の申請をしないのであれば、『耐震等級3相当』

という感じでイメージしていただければ大体OKです。

 

下記に詳細を書きます。

耐震等級3と「相当」の違い、「相当」の中でも種類があるという事を理解していただきたいです。

耐震等級3を取得する為の検討項目【建築基準法と品確法住宅性能表示の比較】
耐震等級3を取得る為に、基準法とはどんな違いがあるのか、ちょっとこちらで詳しくご説明します。

耐震等級3をクリアするという事は、最終的に住宅性能評価を取得する為に、行政に申請する必要があります。下記の内容が、耐震等級3を取得する為に、基準法よりも構造計算などを追加で行う内容となっています。

住宅性能評価とは、長期優良住宅と思っていただければ、少し分かりやすくなると思います。

赤字の部分が、主に追加になる部分です。
建築基準法と品確法では・・・
  • 壁量
  • 接合部
  • 基礎
  • 横架材
について、品確法の方が、より詳細な検討を行います。
例えば、壁量については、建築基準法では考慮されていない「準耐力壁」を考慮します。
  建築基準法 品確法(住宅性能表示)
壁量 ■必要壁量の算出
 ・地震に関する必要壁量
 ・風に関する必要壁量

■存在壁量の算出
 ・耐力壁存在壁量

■判定
 ・なし
■必要壁量の算出
 ・地震に関する必要壁量(積雪考慮)
 ・風に関する必要壁量

■存在壁量の算出
 ・耐力壁存在壁量 
 ・準耐力壁存在壁量

■等級判定
 ・耐等級(等級2,等級3)
 ・耐等級(等級2)
壁の配置 4分割法または偏心率 4分割法または偏心率(準耐力壁は考慮しない)
床倍率 なし ■耐力壁線の設定
 ・チェック(耐力壁線間距離8m)
 ※耐力壁線間が8mを超えると、この時点で耐  震等級の話は無効になります

■必要床倍率を求める

■平均存在床倍率を求める

■等級判定
 ・耐等級(等級2,等級3) 
 ・耐等級(等級2)
接合部 ■「筋かい端部」と柱・横架材との接合部のチェック

■「柱頭・柱脚」と横架材との接合部のチェック
■「筋かい端部」と柱・横架材との接合部のチェッ ク

■「柱頭・柱脚」と横架材との接合部のチェック

「胴差の端部と通し柱」の接合部のチェック

「床・屋根の外周の横架材」の接合部のチェック
基礎 ■建築基準法の告示に基づく仕様のチェック ■建物条件に基づいて、構造計算、またはスパン表より基礎の仕様を選択
①基礎形状の選択 
②基礎の各部寸法の選択 
③基礎の配筋の選択
横架材 ■建築基準法の告示に基づく仕様のチェック ■建物条件に基づいて、構造計算による断面算定、またはスパン表より選択

※スパン表を使用する場合、直下率100%でなければスパン表は意味を持ちません。
耐震等級3「相当」
耐震等級3相当という言葉を聞いた事がありませんか?
耐震等級3には「相当」とつくものと、つかないものがあります。

上の表で見ると分かりやすいと思いますが、「相当」とつく場合、ほとんどが「壁量を増やしての耐震等級3」だと思います。

耐震等級3は、基準法と違い、壁量の他に、床などの「水平面」の倍率も求められてきます。
無垢材を使う事に強いこだわりがあり、水平面の倍率が取れないと、「耐震等級3相当」としている場合が多いのではないかと思います。

ちなみに住宅の場合、構造計算は確認申請に不要という事で、「構造計算はやらなくていい」という誤認識を持つ人が、大量に溢れています。

やらなくて良いのではありません。
確認申請には不要なだけです。

「当然、建築が設計する家(建物)なんだから、構造計算はしているよね」

という暗黙の了解ではないですが、そういう事で、住宅の場合は確認申請の審査する人たちの負担軽減みたいなもんです。

住宅の場合、構造計算は2つ種類があると思ってください。

・許容応力度計算
・壁量計算

許容応力度計算の方が、計算の詳細度がかなり上です。
専用ソフトがないと、よほどの構造設計専門者でなければ出来ないです。
※ラファエル設計が行う構造計算は「許容応力度計算」です

基準法で決められているのは「壁量計算」です。
先ほどのもご説明致しました、壁の倍率を高めることと、その耐力壁をバランスよく配置するという感じです。
床などの「水平面」の倍率は求められていません。

なので、それを構造計算と呼べるのか?という疑問はありますが・・・
「相当」とつくのは長期優良住宅を申請するかどうか?という所が一つの分かれ道だと思います。

ちょっと話を難しくすると「性能評価」というものを行政に申請して、取得するわけです。

一般の方が、性能評価とかいうと、話が難しくなるので、長期優良住宅の申請を性能評価とイメージしていただければ、今回の説明を理解するには良いかと思います。

耐震等級「相当」とつく場合にも、レベルというか、種類があります。

【ケース1】
長期優良住宅の申請をしないだけで、耐震等級3で行う計算と同じことをやっている・・・
でも申請してない・・・

という事から、行政に認めてもらってないから「相当」とつく場合。

【ケース2】
後は、水平面の倍率がきちんと取れていないから、長期優良住宅の申請をしても認められない・・・
でも、同じような計算はして、壁量だけ満足させる・・・
みたいな感じですと、場合によっては「相当」とついたとしても、「自称」に近いと思われます。

よく、無垢材にこだわって、屋根の合板を無垢にすると、水平面の倍率が取れないという事になるので、
「相当」にしている会社もあります。



水平面の倍率がしっかり取れないのに、耐震等級3「相当」ってのは、都合よすぎな感じですよね。

はやい話・・・
【ケース1】は耐震等級3に限りなく近い、等級3相当であり、
【ケース2】は耐震等級3とはかけ離れた、等級3相当であり、倍率などが取れなくて、単純に「壁の部分だけ耐震等級3と同じ計算としているだけ」という話です。

つまり、同じ「相当」の中でも、もの凄く差があるという事なのです。

建築基準法では、水平面の倍率は考慮しないというか、計算もしません。
なので、水平面の倍率が取れない時点で、
それは品確法で定められた耐震等級云々の話の土台には乗ってこないんですよ。

普通の基準法通りの家ですよね?って感じですね。

なので、壁だけ考慮して「相当」と言っている会社もあるかもしれません。


ラファエル設計は、お願いされたとしても、倍率が必要な部分に無垢材は使用しません。
無垢材の良さをこだわるよりも、水平面の倍率をこだわりたいと思いますね。
そして、しっかりと許容応力度設計を行った上での耐震等級3を目指します。

つまり、「相当」というのは・・・
  • 公的に認められていない(性能評価と取得していない)
  • 勝手に等級3は取れているだろう思っている「自称相当」
  • 公的に認められないけど、行政に出せば等級3と認められるレベルの「相当」

こんな感じです。

いずれにしても、倍率などがしっかり取れないのに、壁だけ倍率高い「相当」はちょっと怪しいかなと思いますよね。

このようなケースが心配な場合、ラファエル設計が設計・監理者として家づくりに参加する事で解消されますが、一般のお客様が私のような監理者を依頼しない場合、知識として持っていなくてはなりません。

やはりこの辺の話になってくると、一般の方は・・・
  • 素人では限界がある
  • 設計事務所のような第三者に監理者として依頼するべきだった
このようになってしまう可能性が高いです。

耐震等級3をうたう会社に依頼する場合「相当」かどうなのかを必ず確認してください。

当然ながら、「相当」に該当する基準なんてありません。

結構、契約後に「相当」という事に気が付くパターンが見受けられます。
工務店は「耐震等級3【相当】です!」なんて、強調しては言ってこないですからね。