でもお話した通り、月々の返済額をしっかり決めた上での予算オーバーの場合、設計士の設計が原因であれば論外ですが、お客様が高価な住宅設備などを希望する場合、その原因はお客様自身にあります。
そのような状態になった場合、絶対にやってはいけない減額案があります。
それは、性能が落ちる、いわゆる断熱材の厚みを薄くして、別メーカーの商品に変えるという減額です。
下記が、設計当初である、依頼先の標準仕様
断熱材 | 外壁 | セルロースファイバー | 厚さ105mm |
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断熱材 | 小屋裏 | セルロースファイバー | 厚さ200mm |
断熱材 | 1階床下 | ミラフォーム | 厚さ65mm |
下記は減額の為に、『性能に遜色ない仕様変更』という認識で、命の基本仕様である断熱材の厚みを大幅に薄くする行為です。
断熱材 | 外壁 | アクアフォーム (吹付け硬質ウレタンフォーム) |
厚さ80mm |
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断熱材 | 小屋裏 | 高性能グラスウール | 厚さ155mm |
断熱材 | 1階床下 | ミラフォーム | 厚さ65mm |
断熱材というのは、種類よりも「厚み」が重要です!
『性能に遜色ない』というのは、あくまでも断熱材単体の話であり、「熱伝導率」が若干良いかどうかの話です。
元々ダブル断熱で、
105mm+105mm=210mmの壁の断熱材が
105mm+65mm=170mm
とかになるのなら、ダメなわけではありません。
105mmだけの壁断熱というのは、ハッキリ言って、凄くも何ともなく、ちょっと足りないくらいなのです。
省エネ基準はクリアできますが。
そのギリギリ的な断熱材が薄くなってしまったら、元も子もありません。
断熱材費は安くなっても、光熱費が高くなるので、35年という年月で考えたら、断熱材をケチった分、光熱費を多く払うという本末転倒な末路を迎えます。
小屋裏の断熱材の厚みを200mmから155mmに薄くしていますが、これでは、夏は2階がサウナのような暑さになるでしょう。
小屋裏に関しては300mmと400mmではそんなにU値は変わらないので、400mm→300mmとかなら分かりますが、200mm→155というのはU値の差以上に、体感温度が高くなるでしょう。
2018年の夏は40℃超えです。
155mm程度の断熱材の厚みでは、冷房20℃設定でJET運転しても、その周りしか涼しくないような状況が生まれます。
しかも、壁は80mm。
直射日光が当たる外壁からの輻射熱で、さらにエアコンにとって、過酷な状況になります。
これは、他の会社のオープンハウスに行った時の実体験としての経験値がありますので、間違いないです。
減額が必要な場合、命の基本仕様である断熱性能に手を出してはいけません。
絶対にです。
手を出す部分としては、
- 住宅設備(キッチン、お風呂のユニットバス、トイレ)など
- 窓の数
- ドアの数
これらの部分で、個数を減らしたり、住宅設備に関しては、グレードを下げましょう。
一番有効なのは床面積です。
家を小さくしましょう。
どうしても住宅設備などには手を出せず、コストダウンが必要な場合は、床面積を削ってください。